そういうものなのです「いきなり止めたのは悪かったよ。けど、おまえらだってやっちゃダメだって言われてることやっただろうが」
天がキッチンからアイスティーのポットの中身を詰め替えて戻ってみれば、楽とモンたちが討論を交わしている光景だった。モンたちはし唇を引き締めていたり反省したり尻尾をビタンビタンさせたりと反応は様々であるが、いずれにしてもお世辞にもご機嫌とは言い難い様子である。席を外した数分のうちに一体何があったというのだろう。手にしたポットをコースターの上に置いて龍之介を見た。
「どうしたの、これ」
「モンたちのチーズ伸ばし大会を中断させたら抗議されちゃって……」
「は? チーズ伸ばし大会?」
「ピザのチーズをどこまで伸ばせるかって競ってたみたい」
「は?」
「それでモンたちが机の端っこに向かってバックで歩いてるとこを楽が止めてくれたんだけど……」
あの通り拗ねちゃったんだ、と龍之介が苦笑する。なるほど、事情は理解した。
「楽の言い方が納得いかないのかもしれないけど、食べ物で遊んじゃダメって言ったよね?」
天の言葉にモンたちが一斉にぎくりとした。それまでの反抗的な態度はどこへやら、居た堪れなさそうにそわそわしている。やがて、ぺこり……と謝罪のポーズを見せた。
「おい、なんで天の言うことは素直に聞いてんだ。俺だって同じこと言っただろうが」