シークレット・ジェットコースターに乗り込む「……で! いいですかな、ここからが本題ですよ!」
日頃の翳りなどまるで存在しないようにイキイキと語るイデア先輩を見ながらこくりと頷く。こと自分の得意分野においては信じられないくらい饒舌な人だとはわかっていたつもりだけれど、改めて直面するとちょっと面食らってしまう。それでも止める気になんてなれなくて、私は今日もこの先輩の語りに耳を傾ける。
「もうね、脳汁ドッパドパ! そこでその展開に持ってくことありますって話なんですわ。タイムラインの考察を軽く超えてくる公式パイセン一生愛す。あ〜、明日で最終回とか信じたくない。来週から何を楽しみに生きればいいんだ………」
ジェットコースターのようにイデア先輩のテンションが激しく上下する。楽しそうだけど果たして疲れないのだろうか。普段が普段なだけにこのアッパーとダウナーの反復横跳びは心身ともに消耗しそうだけれども。
「今やってるソシャゲの大型アプデが明後日じゃなかったです?」
「そう! 生配信が大型アプデ中にやるからこれは絶対『このあとすぐ!』してくれると信じてる。ここの公式ちゃんにはそれだけの信頼と実績がある」
流石の君もメジャータイトルは知ってるんだね、とイデア先輩が陰気に笑う。本当は興味ないけど、あなたが好きなものだから追っかけてるんですよなどと言えばどんな反応をするだろうか。