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    suno_kabeuchi

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    suno_kabeuchi

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    twst夢/イデア・シュラウド
    行き倒れてるのを見かけたはなし

    ##twst夢_SS

    ままならないハート・ビート 己の感情を全て自分の意思で制御できたなら。
     誰もが一度は考えるであろう問いを脳内で反芻する。こんなことを考えている時点で自分が相当滅入っているのがわかってほろ苦い笑みが零れた。意味のないたらればを夢想するなんてナンセンス。それはわかっている。それでもそうしたイフに逃げなければやっていけない時だってあるのだ。
    「ヒッ! び、びっくりした……なんでそんなところで行き倒れてんの?」
     掛けられた声に反応してゆっくりと視線を合わせる。想像通り、困惑に満ちたイエローアンバーが私を見下ろしていた。たったそれだけのことで馬鹿みたいにはしゃぎ回る心臓はあまりにも幼稚すぎて反吐が出そうだ。
    「そんな気分です」
    「いやどんな気分? 普通に不審者でしかないからやめた方がいいと思うけど……」
    「その不審者によく話しかけましたね」
    「うっ。そ、それはそうなんだけど……一応顔見知りだし……反射で口に出てたっていうか」
     顔見知り。客観的に見た私たちの関係性をこの上なく的確に表した言葉に浮かれて空も飛びそうな心臓が撃ち落された。
     イデア先輩の言っていることは正しい。ただ私が、それだけでしかないという事実に勝手に傷ついているだけだ。
    「でもご忠告ありがとうございます。次は人通り絶無のところを探してみますね」
     にこ、と綺麗に作った笑みと共に向けた言葉に、イデア先輩は何とも言えない顔をした。そういう問題じゃないんだけど、と小さく呟いた言葉は聞かなかったことにした。
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    suno_kabeuchi

    TRAININGtwst夢/イデア・シュラウド
    集中している間に髪と戯れられてるはなし
    待てができるいいこなので ゆらゆらとゆらめくサファイアブルーを見つめること数十分。幸いにしてプログラム生成に集中しているイデア先輩に気取られることもなく、私はじっくりとっくり拝ませてもらっている。
     ほう、と何度目かもわからない感嘆の息が漏れる。昼だろうが夜だろうが、常に薄暗いイデア先輩の部屋ではそのサファイアブルーが陽の下のそれよりも鮮やかに映る。彩度の高いそれは驚くほど瞼に焼き付いては目を伏せてもその名残で閉じた視界に青が散る。
     足首まである長いそれはいざ座ると殆どが背凭れと痩躯の間に隠れてしまうけれど、一筋二筋と零れ落ちるそれもある。カーペットに座っていたけれど、そろりそろりと近づいて音もなくそれに手を伸ばす。燃えているだけあって毛先こそ掴めはしないが、もう少し上の方であれば実体がある。指に絡ませてみれば鮮やかな青に照らされて私の肌が青褪めたように光を受ける。視線だけイデア先輩に向ける。足元にいる私に気づいた様子もなくブツブツと早口で何か捲し立てながらキーボードを叩いている。それに小さく笑みを零して指に絡ませたそれに唇を添える。殆ど何も感じないけれど、ほんのりと温かい気がした。
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