降り暮らす硝子に音を混ぜて しとしとしと。静かに降る雨を窓からモンてんがじっと見つめている。ベランダのプランターに植わったプチトマトの葉がぱちぱちと水を弾いて歌っている。
久し振りの雨だった。少なくともジョウロを持ったモンてんがいつも通り窓から出ようとするのを慌てて止めねばならない程度には久々の恵みの雨だった。
止めたら止めたで訝しまれてしまったが、雨が降っているからモンてんが水を上げなくてもいいんだよと説明したらすんなり引き下がった。ピンクのジョウロは定位置にそっと戻された。なお水がたっぷり入ったままだったので、天はこっそり回収して中の水を捨てた。
それから窓際に座ってじっと外を見つめている。眠っているのかと思うほど静かなので時折覗き込むが、ぱっちりおめめのままだった。
「……モンてん、クッション使ったら?」
あまりにも動かないのでお尻が冷えてしまうだろうと差し出したクッションにモンてんは笑顔で座った。そしてやがて寝落ちしてしまうまで、モンてんはただじっと雨降りしきる空模様を見つめ続けていた。