つつ闇に幽光 隣で眠る人を見る。穏やかな寝息を立てるその顔はどことなく幼く見えた。そろりと青く燃える炎髪に触れる。私の髪とは全然違う質感のそれにうっかり夢中になって戯れてしまいそうだ。そうしてしまえば、今は深い眠りに揺蕩うこの人もすぐに起きてしまうに違いない。そうして「何してんの」と寝起き特有の掠れ声を向けられてしまう。それはそれで悪くないけれど、疲れているのも知っているから寝かせてあげたい気持ちが大きいのでぐっと我慢した。戯れるのはまたの機会ね、と鮮やかな青から手を離す。
燐光を放つそれは夜闇の中では少しばかり眩しくて、私は正直あまり深く眠れない。でもそれを言ってしまえばこの人は二度とこうして隣で寝てはくれないだろう。それはあまりにも勿体ないし、何より寂しい。
それにこうしてふとした瞬間に目が覚めてしまうこの夜の静寂も嫌いではないのだ。眠るこの人の吐息だけが聞こえるこの時間が愛しい。日頃はあれだけ身を強張らせておどおどびくびくしているのに、夜も更け切ってこの夜明けに向かう時間帯ではこんなにも無防備だ。相部屋生活で人の気配の中で寝ることに慣らされたとぼやいていたけれど、それがこうして私の隣で眠ってくれる素地になったのならこの上なく最高だと思うのだ。
声を殺して笑う。込み上げる愛しさそのままにぎゅうと抱きついてしまいたくなったけれど、流石に起きてしまうだろう。ならばせめてと身を寄せた。そろりと力の抜けた腕を持ち上げて作った隙間に頭を突っ込む。身体ごと捻じ込めればいいのだけれど、残念なことに小さく丸くなって眠るこの人にそれは求められないのだ。