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    suno_kabeuchi

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    suno_kabeuchi

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    twst夢/イデア・シュラウド
    ガチ罵倒が「虫」であるイデアのはなし

    ##twst夢_SS

    呆れるほどに弱虫なので イデア先輩が相手を本気で罵倒する時は「虫」と形容する。
     たまたまとは言え、初めてそれを耳にしてしまった時は固まったし、何を勘違いしたのか必死に「アッいや違っ、君のことじゃなくて! オンゲの! オンゲの対戦相手が! 本当に君じゃないから!! 信じて!!」とものすごく必死に言い募っていた。何をそんなに弁明するんだろうとは疑問に思いつつびっくりしただけだからと宥めたのも遠くない記憶だ。
    「……虫、か」
     中庭のベンチに座って地を這う蟻をぼんやりと観察する。生きるために外の世界に這い出ている姿はともすると人間より強いんじゃないかと思う。少なくとも私は自分の巣から出られないので。
     背凭れに身を預けて空を見上げる。憎らしいくらいに爽やかな青が広がっている。もう二度と会うことのできない人の姿を思い出して自嘲の笑みが溢れた。
    「………連絡先の一つでも聞いとけばよかったな」
     それなりに仲は良かった方だと思う。少なくとも部屋に入り浸らせてもらえる程度には。それでも連絡先は知らない。踏み出すには勇気も度胸も自信も何もかも足りなかった。いなくなるのはわかっていたのに、リミットは傍らまで来ていたのに、影と喉を縫い止めたのは紛れもなく私なのだ。
     いつかこの痛みも苦しみも風化する。褪せた記録として思い起こせる日が訪れる。そのための忘却機能が人間には備わっている。
     そしてその「いつか」が来るまでは、罰を受ける罪人のようにこの胸の痛みを抱き続けるしかないのだ。
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    suno_kabeuchi

    TRAININGtwst夢/イデア・シュラウド
    集中している間に髪と戯れられてるはなし
    待てができるいいこなので ゆらゆらとゆらめくサファイアブルーを見つめること数十分。幸いにしてプログラム生成に集中しているイデア先輩に気取られることもなく、私はじっくりとっくり拝ませてもらっている。
     ほう、と何度目かもわからない感嘆の息が漏れる。昼だろうが夜だろうが、常に薄暗いイデア先輩の部屋ではそのサファイアブルーが陽の下のそれよりも鮮やかに映る。彩度の高いそれは驚くほど瞼に焼き付いては目を伏せてもその名残で閉じた視界に青が散る。
     足首まである長いそれはいざ座ると殆どが背凭れと痩躯の間に隠れてしまうけれど、一筋二筋と零れ落ちるそれもある。カーペットに座っていたけれど、そろりそろりと近づいて音もなくそれに手を伸ばす。燃えているだけあって毛先こそ掴めはしないが、もう少し上の方であれば実体がある。指に絡ませてみれば鮮やかな青に照らされて私の肌が青褪めたように光を受ける。視線だけイデア先輩に向ける。足元にいる私に気づいた様子もなくブツブツと早口で何か捲し立てながらキーボードを叩いている。それに小さく笑みを零して指に絡ませたそれに唇を添える。殆ど何も感じないけれど、ほんのりと温かい気がした。
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