Good chaps「あなたは良い子ね」
母はよくそう表現して私を褒めた。まるで実際とは異なっていても、良い子なのだと刷り込むように念じていた。彼女にとって、私は待望の男児であったことも理由の一つかもしれない。
彼女の優しさは、私が”良い子”であり続ける限りにおいて保証されていた。学校に通い、寄り道をせず悪戯もせず、行儀作法は羊のようにおとなしい。日曜日にはかかさず教会に通う。どんな大人の目から見ても、私は典型的な”良い子”であり、同年代の子供にとっては”つまらない奴”だった。女性にもてなかったのは言うまでもない。
それでも、あの大きな家で一人ぼっちにされるよりは、誰からもいないように扱われるよりは余程ましであるように思えた。犬を飼いたかったが許されず、野良猫に構った日には手ひどく折檻された。ビスケットはいつだって全粒粉で、アイスクリームなんて夢のまた夢。私の子供時代は、子供らしからぬ味気ないものだった――十分満ち足りたものだと私は信じていた。何しろ私は”良い子”なのだから。
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