【white memories】お正月「その格好、どうしたんだ?」
「『着物』って言って東の国の伝統装束なんだって。父さんが外交の時にもらったから着てみろって言ってたんだ」
ルイの問いかけにティジはその場でくるりと回って答える。因みにここは城に住み込みで働いている医者(ルイの伯父でもある)クルベスの私室だ。部屋の主は席を外している。
「どうかな?」
「……うん、まぁ良いと思う」
首を傾げて感想を求めるその姿に顔を背ける。
ティジが纏うのは黒の着物に灰色の袴。
白い髪に赤い瞳という人目を引く容姿には少々コントラストがキツく映ってしまうが、ティジに惚れてしまっているルイには些細なことでしかない。
「やっぱり、俺には似合ってなかった……かな」
ルイが顔を反らしたのを、見るにたえなかったかと思いシュン……と肩を落とす。
2725