神代類の反逆譚たとえばの話をしよう。そう、これらはイフ。『もしも』の上で成り立つ話だ。
もしも、別の世界に住んでいたら。
生まれたのが、十年も先の未来だったら。
あの時、ショーを見ていなかったら。
あの日、君に出会わなかったら。
それらのイフの先に待つ『僕』は、果たして『僕』と言えるのだろうか?
もしも僕の人生を紡ぐすべてが運命だというのなら。
この世界に神様がいて、その神様が敷いたレールが運命だというのなら。
そのレールを踏み外すことは、罪に値するのだろうか?
これから話すのは、すべて『もしも』の話。
たった一人の青年が起こした、ヒーローとはほど遠い、抗いの物語だ。
* * *
強い光に視界を遮られ、天馬司は反射的に強くまぶたを閉じた。
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