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    nami

    tkrvでは蘭はるをメインに小説を書いています。梵ギャが好き。光のおたくなのでだいたいハピエンです。

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    nami

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    韓国の蘭はる字書きさんたちで、9月の1か月間を蘭はるweek企画で楽しんでいらっしゃると聞いてひっそり日本からも参加させて頂きました!

    9月1週目のお題は「乳首」だそうです。
    雰囲気程度のすけべです。

    雨宿りの間だけ乳繰り合う蘭はるの話ポツリ ポツリ

    小さく肩を叩くように落ちてきた水の粒に気づき、三途は空を見上げた。頭上には鉛色の雲が重苦しく立ち込めている。今朝見た情報番組の天気予報では雨の予報はなかったはずだが、気象予報士は当てを外したらしい。

    仕事を終えた三途は、迎えの車を待っていた。繁華街のメインストリートから少し入り込んだ雑居ビルの一角に見える空はひどく狭い。それでも、こんな狭い隙間を縫って降り込んでくる雨は少なくない。この調子では車が到着する前に水浸しになってしまいそうだ。
    生憎、傘など持ち合わせていない。辺りを見回した三途はシャッターの閉まった店舗を見つけて軒先に身を寄せた。シャッターが下りて長らく経つのか、手入れされていない軒からはところどころ雨が漏れて三途の鼻先を雫がかすめていく。気持ち程度の雨宿り効果しか期待できなさそうだ。

    憂鬱そうにため息を吐き出した三途は、スーツジャケットを脱いでシャツ姿になった。雨に濡れたスーツは型崩れしやすい。ナンバー2として不格好な姿で過ごすことも、オーダーメイドスーツを再び仕立てに行かなければいけない手間も、三途としては避けたいところだった。
    路地裏の隙間から大通りに目を向けると、行き交う人たちは足早にその場を去ったり、傘を咲かせたりと慌ただしい。徐々に雨足が強くなり、降り注ぐ水の粒が増えて地面を煙らせるように叩きつけている。

    しばらくすると、パシャリと水の跳ねる音を立てて誰かが同じ軒下に入ってきた。チラリと視界に入った高級そうな飴色の革靴は、雨に降られて濡れてしまっている。「ああ、これはきちんと対処をしないとダメになるな。ご愁傷様」なんて思いながら視線を上げた。
    雨が染み込み、所々色が濃くなった上品なスーツ。走ってきたせいか、呼吸を整えるように大きく上下する肩。そしてさらに視線を上げていくと、柔和な目が印象的な、やけに整った顔。
    「やっと来たのかよ」
    「いや、お前こそこんな車が入ってこれない場所にいないで、大通りまで来いよ」
    軽く息をついて「あっちに停めてるから」と車を止めた方向に視線を向けた蘭は、体についた水滴を払うようにジャケットを軽く引っ張った。密度高く織り込まれた生地を伝い、手の動きに合わせてはらはらと落ちていく水滴を目で追う。ふと、視界の端に三途のシャツが見えた。
    視線が自然と吸い寄せられ、シャツ越しに浮かび上がる三途の乳首が目に入る。雨で濡れたシャツが肌にぴったりと張り付き、くっきりと形を描いていた。
    「透けてんぞ」
    蘭の口元が意地悪く弧を描く。
    「何が、」と三途が言いかけた言葉を遮るように、ゆっくりとした動作で腕が伸びてシャツ越しに指が這う。濡れたシャツが身体に貼り付き、蘭の指先が上下に動くたびに突起の形が浮かび上がる。冷えた肌にじわじわと熱を残して動く指先の淫靡な動きに、思わず三途は息を詰まらせた。
    「やめ……ッ」
    制止を無視するように、くるりと弧を描いて指が乳首の周りをなぞる。こんな路肩で文字通り乳繰られてはかなわないと、三途は制止するように蘭の手首をつかんだ。
    「やめろって言ってんだろ!こんな場所で何考えてんだ、クソ野郎」
    ひどく忌々しそうに鋭く睨みつけるが、その目元は少し赤くなっている。蘭は三途に顔を寄せると耳元に唇を寄せた。どこか愉しそうに弾んだ声で囁く。
    「こんな場所じゃなかったらいい?」
    三途の喉がひくりと動いた。否定したいのに下唇を噛むばかりで言葉は出てこない。その反応を了承と受け取った蘭は、三途の腕を引いて歩き出した。
    先ほどまで濡れるのを避けて雨宿りをしていたというのに、ざぁざぁと雨の降り注ぐ中ずぶ濡れになるのも気にせず進む。車に到着した蘭は、バックシートへ三途を押し込むと自身の身体も滑り込ませた。
    バタンと音を立ててドアが閉まると、先ほどまで鼓膜を打っていた雨音が遠くなり車内は切り取られたように静かになった。二人きりの湿った空気の中、互いの呼吸が吐き出されるたび、徐々に車内の熱が上がっていく。
    肩を掴んで三途に覆いかぶさった蘭は低く掠れた声で囁いた。
    「ちょっと触られただけで、シたくなった?」
    三途は息を詰まらせたまま蘭の目を見返す。湿った空気が身体にまとわりつき、熱が身体中にじんわりと広がっていくのを感じた。唇をわずかに開きかけたが、言葉は出てこない。
    「雨が止むまでここに居ようよ」
    三途の挙動を楽しむように蘭の指がシャツの上から乳首をなぞる。甘く痺れる感触が背筋を走るたびに、三途の身体が小さく震えた。

    所詮、天気予報になかったゲリラ豪雨だ。ものの数十分もすれば止んでしまうだろう。こいつと共に過ごす時間なんて、この程度がちょうどいい。
    ポタポタと水を滴らせて自分を見つめてくる男を見上げながら、三途は冷たいシャツ越しに触れる混じり合う体温を受け入れた。
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