シャンプーの話 風呂場に、ヒマワリの花が二輪咲いていた。と言うのは比喩的表現だが、よくよく見れば、そのヒマワリはシャンプーとリンスのボトルに描かれたモノだった。
「おい。カンタロウ」
「何でありますか! ナギリさんっ!!」
「シャンプーが…」
「はい! こちら、ナギリさん専用のシャンプーとリンスであります!!」
ヒマワリの花にも負けない程の明るさでカンタロウが答える。
「本官、ナギリさんのサラサラの髪の毛が大好きでありまして!! 男性用のシャンプーより女性用のシャンプーの方がサラサラになると思い購入して来ました!!」
後になってドラッグストアを覗いてみたら、普段使っているシャンプーより数百円高かった。
ミントは香りばかりでなく洗い心地までスッキリさせるが、ヒマワリのシャンプーにはそんな効果はなくただただ香りばかりが良いように感じられた。
「さっ、ナギリさん! こちらへどうぞ!!」
風呂から上がるとカンタロウはドライヤーを手にしてソファーで待ち構えていた。
「わぁあ! やはり、指通りが全然違いますね!!」
丁寧な手つきで髪が乾かされた。耳にかけるが、さらりと落ちてきてしまう。
「はわわわ。えっちであります! 辻田さん!!」
コイツの目に、世界はどう見えているんだ。