物件、間取り、家賃、立地 午前十時からの会議が終わり自席に戻ると、まるでそれを見計らったかのようにパソコンの社内チャットの新着マークが点灯した。
『三井、今日ランチ行かない?』
同期入社の[[rb:湯田 > ゆだ]]から昼食の誘いだった。
二つ下のフロアの総務部で働く彼女の顔を久しぶりに思い浮かべた。
丁寧に施された化粧、ブラウンの髪はきっと今日も美しく巻かれて、爪は今は青かピンクかオレンジか知らないが、攻撃力がありそうな長さのそれは隙なくつやつやに整えられていることだろう。
──オタクだけどな。
ふ、と含み笑いをしながらキーボードを叩く。
『ランチ同期会か?』
『そうそう、そんな感じ。十二時にすぐ出られそ?』
『いけると思う』
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