Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    かたやま

    BL強いものはここに置きます
    同じcp20枚くらいでpixivにまとめるかも
    絵文字いっぱい押してください!嬉しいから!

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 19

    かたやま

    ☆quiet follow

    高校寮同室設定綾→桃(ほんのりですが両片思いかもしれない)
    お互いに寝てる相手を見ていろいろ思うだけの話。
    多分「この人たち事件」より前に書いてたものなので、相当仲が良いです。
    次郎がめちゃくちゃ桃吾のこと好きで女々しいです。
    自分でも何を思って書いたのかわからないです……

    寝てるところに何かするなんて最低だと思う。
    けど、だって。
    好きな人だもん。
    好きな人が、隣のベッドですやすやしてるんだもん。
    夜中に起きちゃってトイレ行って、戻ってきて自分のベッドに入ろって前を通ったらさ。
    まあ寝顔が可愛くて。
    いつもギンギンに吊り上げてる眉も目もふにゃ、って緩んでてさぁ。
    文句言うか機嫌悪そうに黙ってるかの2種類しかない口は、ほんのり開いてて。
    肉があんまりついてない薄い唇が、呼吸に合わせて震えてる。
    ねえ、そんな顔しないでよ。
    いつも我慢してるのに、触りたくなっちゃう。
    ……でも今は寝てるし、別にいいか。
    起きたら適当に言い訳しよう。
    ベッドのそばに座って、そーっと右手でほっぺた撫でてみた。
    「ん……」
    つるつるしてふわふわ。
    ぱつんと張ってて、ほとんど力入れてないのに触れた指で肌が凹む。
    うざいねんやめろや、って言うみたいに眉根寄せてるけど、声は飛んでこない。
    まだ寝てる。
    今度はシワが寄った眉間を触ってみる。
    あんまりここシワ寄せてると、戻らなくなるって聞いたぞ。
    穏やかな顔、こんなに可愛いんだから、シワなんてつけないでよね。
    ふ、と力が抜けて、眉間のシワが消えた。
    え、俺のおかげ?
    あと……ここは、さすがにダメかなぁって思うけど。
    思うけど、寝てるし。
    寝てるしいいかなぁ。
    まあいいか。
    起こさないようにできるだけ優しく、下唇に指を乗せてみた。
    とろけちゃいそうに柔らかくて、でもちょっとかさついてる。
    皮のめくれたところがひっかかる。
    端から端までなぞってみたけど、起きないね。
    次は上唇を触ってみる。
    下みたいにかさついてなくて、ふんわりしっとりしてた。
    こっちも端まで滑らせて、それでも起きない。
    え、これしていいやつ?
    していいやつかな。
    いやダメダメ、していいやつとかないから。
    ないけど、こんなに起きないなら、バレないなら。
    ……だってどうせ、起きてる時は、一生できないかもだし。

    そっと脚を伸ばして、座ってた床からお尻を持ち上げた。
    膝立ちでベッドを覗き込む。
    すぐそこにある、柔らかい唇。
    すやすや寝てて、起きそうにない。
    俺だって、俺だって何か欲しい。
    いやいっぱい、もらってはいるけど。
    いつか誰かのものになっちゃう前に。
    俺に一つくらいくれてもいいよね?
    一つじゃ足りないかもだけど。
    でもさ、気持ちはもう手に入んないんだったら……。

    「…………何なん、何で泣いとるん」
    俺本当バカ。
    キスできそうだったのに、気持ちは手に入んないんだって思ったら、泣けてきちゃって無理だった。
    膝立ちからぺたんって床に逆戻りして、寝顔だけ眺めてたら、なんだか情けなくって。
    本格的に涙が込み上げてきて。
    ベッドの脇で床に座ったまま泣いちゃった。
    寝込みも襲えないなんて、そんなことある?
    あるんだなぁ。
    「怖い夢でも見たんけ、ガキか」
    大きくて豆いっぱいの左手が、頭に乗せられる。
    ぽんぽん、て弾むように撫でられるの、俺好きだよ。
    だって俺、背が高いからさ。
    親だってもう、早いうちから頭撫でられなくなったもんね。
    物理的に。
    お前なら、立ってても俺の頭に手が届くもんなあ。
    あー本当、全部俺のためのお前って感じなのに、どうして俺のにならないの?
    「はよ泣きやめー、寝れんやろ」
    「無視していーよ……」
    「ほたらおやすみ」
    「ほんとに無視すんの!?」
    「無視してええ言うたやろげ」
    背を向けて寝ようとしたから思わず文句言ったら、冗談だったみたい。
    ニヤニヤ笑いながら戻ってきた。
    もう胸いっぱいになっちゃう。
    どうしてこんなに好きになっちゃったんだろう。
    好きって思うたびに、でも俺のじゃないって同時に思う。
    だからいつも、これ以上前に進めないんだ。
    「夢は夢やろ……いくら怖ぁても、ほんまのことやないねんから、そない泣くな」
    俺からしたら、この高校3年間が夢みたいなもんだよ。
    いくら楽しくても、いくらそばにいられても、夢から醒めたらお前はいないんでしょ。
    大事な人のとこに戻るんでしょ。
    ねえ、何で。
    好きにさせておいて、そんなのってない。
    「……」
    「お前、俺がこない慰めたっとんのにまだ泣くか……」
    いやそこでイライラしてくるのおかしいよ。
    優しいモードが長続きしないヤツだなほんと。
    「まだ起きる気ぃないねん、はよ寝させろや」
    「ぅ……」
    「しゃあないやっちゃなァ、ほれ」
    目の前でがばっと開かれた掛け布団に、泣くのも忘れてぽかん、てしちゃった。
    意味わかんなくてフリーズしてたら、短気すぎるチンピラがチッ、て舌打ちした。
    泣いてる相手に舌打ちなんてする? ありえないよね。
    「早よ入れ……寒いねん」
    ……え? 入れ? って言った? 入れって? ここに? え? ベッド……ええ!?
    「待って……なんで? え? そこ、桃吾のベッドだよ?」
    「せやから、そんなとこでベソベソ泣かれたら寝れんさけ、ここでもう寝ろや」
    「へ……?」
    一緒のベッドで、寝るって……?
    いやいやいやダメでしょ!? いくら同室で誰も見てないからってそれは!
    てか
    てかさぁ
    それ多分
    俺勃っちゃう……から……
    「いらんのか?」
    「いる!」
    あぁーーーーーあーーーーー反射的にいるって言っちゃったよ……
    いいのかなぁ、反対向いてたらバレないか……
    そうだよね、ベッドで一緒に寝るなんてそんな機会もうないかもだし。
    「お邪魔します……」
    「でかっ! お前でかいねん! せまっ! もっとそっち寄れ!!」
    「おち、落ちるって!」
    夢なのかなぁ、これ。
    背中合わせに寝転がって、できるだけ桃吾に当たらないようにベッドの端ギリギリに寄った。
    落ちそうで怖いけど、仕方ないね。
    掛け布団、桃吾が引っ張りすぎてちょっと体出てる。
    夏だから寒くないけど。
    「こ、これでいい?」
    「おん……ふぁ、なんか知らんけどもう泣いてへんみたいやし、寝よや」
    「うん……おやすみ」
    「おやすみ……なぁ、綾瀬川」
    ドキッとした。
    だってこんな近くで、吐息まじりに名前呼ばれることないし。
    それに今ベッドに……同じベッドにいて……。
    ダメダメダメ変なこと考えるな! 勃っちゃう!!
    「な、なに?」
    「お前……ぬっくいなぁ……」
    「え……」
    その先はもう寝息しか聞こえなかった。
    異常に寝つきいいよね、桃吾。
    なんか数分前に、何で俺のものになんないのーとか言って泣いてたのが嘘みたいな展開。
    これ俺、誰より恵まれてんじゃない? 実は。
    ベッドに誘ってもらえるなんて、すごくない?
    背中に桃吾の体温と息遣いを感じる。
    好きだ。
    この3年が夢なら、もう全力で夢を楽しんじゃおうかな。
    その後のことはそのあと考えて……。
    ダメだ、泣いたからか疲れてもう、起きてられない……あったかいなぁ。
    眠気が……。



    ----------------------------------------------






    朝か……。
    まだ朝練まで時間あるけど。
    狭ぁて目覚まし鳴る前に起きてもうたやろげ! こいつ!
    「んん〜……」
    いやでかいねんて。
    めっちゃ邪魔やん。
    寝返るな寝返るな、俺のスペース無くなるやろ。
    あーあ、顔に涙のあとつけてもうて。
    そんまま顔洗わんと寝たから、ゴワゴワなっとるわ。
    ほんまこいつ、自分のこと無頓着で困るわ……。
    何で俺が睡眠までサポートしたらなあかんねん、オカンけ!!
    ……なんか知らんけどめそめそ泣いとったな。
    俺んとこで泣いとるいうことは、なんか俺に助けて欲しかったんかと思たけど、ちゃうかったかな。
    たまーにあるよな、こいつ。情緒不安定いうんけ? わけわからん理由で凹むこと。
    そんなもん放っといたらええねんけど、野球辞めるだの言われたらこっちが困るしやぁ。
    ……まぁ、おんなし高校おっておんなし部屋住んでもう2年やし、そらぁ……泣いとるより、笑とる方が……寝覚めもええし……。
    しょうもない、情湧いてもうとる。
    「ん……」
    人の気ぃも知らんとよぉ寝よるわ。
    起きとるときはなんや無性に腹立つけど、寝とったらマシやな。
    ごっつい体しとるくせに、顔だけ見たら子どもみたいやん。
    ほっぺたつねったろけ。
    「ふぎぃ……」
    「ふはっ、ブタや!」
    いっつもお行儀よぉすましとるくせに、ブタみたいな声で鳴きよんの、笑うわ。
    おっと、遊んどる場合ちゃう、もうすぐ起きる時間や。
    起こすか……いや、どうせ目覚まし鳴るし、起こさんとほかしとこ。
    あと5分ぐらいやし、一人で広々使てよぉ寝ぇや。
    ついでに布団もかけといたるわ。
    俺は先に着替えるさけ、ゆっくり寝とけ。
    おやすみ、綾瀬川。


    「なんで起こしてくんなかったんだよ!!!」
    「目覚まし鳴っとんのに爆睡しとる方が悪いやろげー!!!」






    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤💖💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works