そうだ、京都へ行こう 五月のものと呼ぶには些か強すぎる日差しが首元をチリチリと灼く。羽織っていたジャケットはとうに脱いでしまっていた。首元のネクタイを緩めると、少しだけ楽になった。近くに案内版があったので、持っていたパンフレットと見比べた。現在地、と表示されている赤い点と、パンフレットに表示されている目的地は、どう見ても違う場所だ。
煉獄杏寿郎は、京都の街で道に迷っていた。まさかほんの少し、通りを変えて人の少ない方に歩いただけで道がわからなくなるとは思わなかった。考えてみれば、京都は有数の観光地ではあるものの、勿論その街の中に居を構えている人々もいる。煉獄が迷い出た通りは、そういう、所謂地元の人間達が使う道だったのだ。
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