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    紫蘭(シラン)

    @shiran_wx48

    短編の格納スペースです。

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    紫蘭(シラン)

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    グルアオ(gr→ao) with🍁さん。
    ※aoちゃん不在で、gr氏と🍁さんが話をしているだけです。
    ※🍁さん目線です。

    忍れど 色に出にけり わが恋は/グルアオ今日お客様として訪れたのはジムリーダー会議の時以外、雪山にこもられているから滅多にお会いすることのない人物だった。
    あらあら、彼がお菓子を買いに来るだなんて珍しいこともあるんですね〜。

    「いらっしゃいませ、グルーシャさん。パティスリー ムクロジへようこそ」

    にこやかに挨拶を告げると、こんにちはと頭を下げながら彼は挨拶を返してくれた。
    そしてじっとショーウィンドウ内に陳列された様々なお菓子達を眺めていたかと思えば、眉を中央に寄せながら小さな唸り声を上げ始める。
    会議の度に差し入れとしていくつか持って行ってはいるけれど、確か彼はそれらに手をつけているところを一切見たことがないことを思い出す。
    その様子を見てこの方は甘いものが苦手なのね…と察したからあまり勧めることはしなかったのだけれど、今日は一体どうしたのかしら〜?

    お客様にはゆっくりじっくり選んでいただきたいから、最初の入店時の声かけ以外はじっと待っていた。
    すると、意を決した様に顔をあげると普段とは少し違う、真剣な表情で問いかけてくる。

    「…あの、この中で一番美味しいケーキはどれですか?」
    「あらあら〜、全部って言いたいところですけれど、何かお好みはあるかしら?」

    そう返答すれば、目の前の人物はしまったと顔色を一変させた。
    まあ、そんな気にされなくてもいいのに。
    普段甘い物を召し上がらない方々はよくその質問をされますから〜。

    にこにこと彼からの回答を待っていれば、グルーシャさんは目を泳がせながら言葉を紡いでいく。

    「果物がたくさんあって、さっぱりした甘さがあるものが好きだったと思うんだけど…」
    「それでしたら、こちらのフルーツタルトはどうかしら〜?
    今の季節で採れる旬のオレンジをふんだんに使っているので、お口に合うかと」
    「ならそれを一つ」
    「ああ、あとジンジャークッキーもいかがかしら?
    甘さ控えめだから、あなたでも食べやすいと思いますよ〜」

    そう伝えると、アイスブルーの瞳をまんまるにしながら キョトンとした表情でわたしを見る。
    あら、この顔は初めて見ますね〜。
    凍てつく氷のようなあなたを、ここまで表情豊かにさせるだなんてすごいわ〜。

    「サービスとしてそれぞれに合う紅茶もつけますね。
    ラブカス印の可愛いパッケージなので、きっとアオイさんも喜ぶわ〜」
    「は、え…ななんで…!」

    わたし、前に見たことあるんですよ〜。
    ジムリーダー会議が終わったあと、テーブルシティでアオイさんと待ち合わせをして一緒に歩いているところを。

    それに気づいたナンジャモさんが、お二人に声をかけようとしていたところを止めたのはわたしですから〜。

    その時のマフラーをしていないグルーシャさんの幸せそうな笑顔を見て、インスピレーションが沸いたので、今新作を作っている最中なんです。
    出来上がったら真っ先にお二人で食べてくださいね〜。
    彼女とお会いする日を教えていただけたら、ナッペ山ジムにお持ちしますから。

    そうお伝えすると、みるみる内に赤くなっていくグルーシャさんの顔を見て、あらあらと笑う。

    「あ、アオイとぼくはまだそんな関係じゃ…!」

    そんな耳まで真っ赤にして叫ばなくても、既に多くの方々に気づかれていると思いますよ。
    だって、あなた…とってもわかりやすいんですもの。

    マフラーでは隠せないほど、アオイさんを大切に想っているのね〜。
    ああ、またグルーシャさんを見ていい案が浮かんできたわ。
    忘れないうちにメモしなくっちゃ〜。

    「それともお二人のウエディングケーキ用にアイディアを残した方がいいかしら」


    終わり
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    recommended works

    chikiho_s

    PASTTwitterに上げたバレンタインとホワイトデーの連作。
    プレゼントは死ぬほど貰うけど、自分からあげるなんて無いだろうから悩み悶えていればいい
    ココアの件はフォロワーさんのリクエストで。グランブルマウンテン(砂糖たんまり)でもいいね。可愛いね。

    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19706108
    氷の貴公子とチョコレイト今年もこの日がやってきた。一年の中でも憂鬱な日。バレンタインだ。

    ジムの建物内を埋め尽くす勢いでチョコレートやプレゼントが届く。言うまでもなく全部ぼく宛て。わざわざ雪山の山頂にあるジムまで届けにやってくる人もいる。多分明日は本部に届けられた分がやってくる。正直、意味がわからない。
    この日だけ特別に一階のエントランスに設置されるプレゼントボックスは何度回収しても溢れていて、業務に支障が出るレベル。下手にぼくが表に出ようものならパニックが起きて大惨事になるから、貰ったチョコレートを消費しながら上のフロアにある自室に篭もる。ほとぼりが冷めたらプレゼントの山を仕分けして、日持ちしない物から皆で頂いて、残りは皆で手分けして持ち帰る。それでも裁ききれないからポケモン達に食べさせたり、建物の裏にある箱を冷蔵庫代わりにして保管する。これは雪山の小さな特権。
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