連れ子小さい頃、実母とは死別。父親はその時から男手一つで潔高を育ててきてくれた。中学2年生が終わる春休みを前にそんな父親から「会ってほしい人がいる」と言われ二つ返事で頷いた。
待ち合わせをしたレストラン。緊張した面持ちで潔高は父親の恋人を待っている。
やがてウェイターに案内されて入ってくる女性と少年。父親が椅子から立ち上がるのに倣って慌てて自分も立ち上がったのだった。
「お待たせしたかしら?ごめんなさい」
「いや、待ってないよ。時間通り」
親同士の会話。父親が女性の後ろの少年に声をかける。
「君が建人君だね。初めまして…伊地知です」
「初めまして。七海建人です。よろしくお願いします」
「じゃあ、君が潔高君かな?」
女性の問いかけにニコリと微笑み答える。
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