願いごと┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「かっちゃん!かっちゃんはお願いごと、何にした?」
そう言いながらデクは自分で書いた短冊を笹に結んでいく。
「ァ?なんでテメェに教えねぇといけねぇんだよ」
第一そんなモン願ったって自分で行動しねぇと意味がねぇ。そりゃ、昔はそれなりに楽しんで短冊に願いごとを書いていた。でも今は七夕なんてくだらないとしか思えない。デクは困った顔をして俺を見ながら笑った。
「かっちゃんは変わらないなあ。でも3歳の頃は一緒に短冊書いたりしたよね」
楽しかったなぁ、と呟きながら当時のことを思い出しているのかニコニコしながらソファでコーヒーを飲む俺の横に座る。
「あの時は2人とも同じこと書いたんだよ、覚えてる?」
「……覚えてねェ」
嘘だ。本当は覚えてる。確か「デクとずっと一緒にいられますように」的なことを書いたはずだ。まあ、幼稚園に入ったりデクが無個性だって分かったりして一緒にいる、というよりいじめいじめられる関係に近くなったのは言うまでもない。
「…テメェは覚えとんのか」
そう聞くとデクはこっちを向いて笑顔で頷いた。
「当たり前だよ!僕すっごく嬉しかったんだから!かっちゃんも同じ気持ちなんだーって!」
デクは嬉しいとキラキラした笑顔をこちらに向けながらそう言った。
「キメェ、こっち向くなや」
「ひどいなあ!でもそれは照れ隠しだってことも、その願いごとは今もずっと同じだってこと知ってるよ」
さっきの笑顔とは違い、目を細め愛おしそうに笑いながらこっちを見つめるデクに俺は一瞬息を詰まらせた。
あぁ、おれはこいつのこういうところも大嫌いだ。