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    涼之介

    らくがきとか短いのとか整えてないのとか支部に投げるようなのじゃない文章とか投げる。

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    涼之介

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    そろじゃなるもので遊んだ結果。魔女のみきみき。
    遊び方あってる?なにもわからない。魔女のこともわからないのでファンタジー120%にした。

    魔女のオシゴト。で遊んだ。

    魔女の三木さん
    特徴 ♥7
    たばこの代わりにほぼ常に飴を舐めている。薬作りが得意。飴は自作のいろんな効果があるもの。
    使い魔 ♣8
    不承のカエル。まあ都会ってカエルには危険がいっぱいだよね。でも用水路にいたお前が悪いよ。

    ☆☽☆

    現代における魔女は都市伝説にしては印象がはっきりしている。
    大っぴらにどこの誰が魔女だなんて話すことではないが、しかるべき場所へ赴けばおおよそ会えるし、交渉次第で魔女の使う技術の恩恵に与れる。人によって悪しきものであるとか、占い師であるとか、ファンタジー映画の魔法使いのようなものであるとか、好き勝手なイメージを持っている。それで構わない、魔女の本質など明らかにするようなモンでもない。

    月が昇って15分間だけ路地裏に存在する扉。今夜の月は十三夜。時間にして17時ごろだ。
    影を踏まないように扉を開けて、ちりんと高く鈴の音が鳴れば成功。久々の客は背が低く、「すみません」と小鳥のような声を出した。
    「いらっしゃいませ。……お嬢さんは何がお望みですか」
    普段から吸血鬼が町を練り歩いているから大抵のことには驚かない人々でも、魔女が男であることには多少面食らうらしい。少女も例に漏れず男の声がしたことに驚いたようだった。仕方ないだろ魔女なんだから。
    「あ、あの! ここに魔女さんがいるって聞い、たんですけど……!」
    少女は焦ったような声を出してきょろきょろと店内を見回す。どれだけ見てもここにいるのは黒くてつばの広いとんがり帽子しか魔女要素がない柄の悪いおじさんですよ。
    「魔女さんであってますよ。性別なんてさした問題じゃないです。それでご用向きは?」
    少女の願いは大抵面倒だ。向いていないとわかっているが、ここに来れてしまった以上客なので蔑ろにもできない。
    少女は言いづらそうにもじもじとして、か細い声で言う。
    「その、好きな人がいて、今度一緒のグループで課題をすることになったから……えっと……」
    「仲が進展するように何とかして欲しいと」
    顔を赤くしてこくりと頷いた。ほら面倒だ。この年頃の女の子は大抵がこの手の話題を持ってくる。魔女と言えば惚れ薬、って万人が通る児童書にでも書いてるのだろうか。
    「人の好意をどうこうするのは難しいってことだけわかっていてください。それでもいいなら気休め程度の薬を貴女に」
    少女はこくこくと何度も頷く。
    「お望みの薬は一晩ほど調合に時間がかかりますが、それでも?」
    「はい」
    軽やかで、世の中の穢れをまだ知らないであろう少女の声は、暗い店内から浮いていた。大切にされているのだろう、上等な衣服に身を包み、魔女の法について疑うことも知らない。
    「それじゃ、この石を窓辺に置いておいてください。目印になるので。明日の朝には石の代わりに小瓶を置いておきますから」
    「わかりました。お金はいくら払えばいいですか?」
    「渡す薬の対価としてお金では意味が無いので、他のものを貰います。小瓶と一緒に対価の支払いについても書き添えておくので確認してください」
    少女は手渡した緑色の混ざる小石を大事にぎゅっと握りしめ、「よろしくお願いします」と言い残してそっと扉から出ていく。扉が閉まると店内はより薄暗くなる。
    灯りをつけて、久々の調合タイムだ。飲むタイプは避けた方がいいかもしれない。いいところのお嬢さんのようだから、怪しい薬を口にするなんてためらうだろう。粉にしてしまうか。気休め程度でいいのだ。願いの大きさ的に真面目に取り合うことでもない――等と考えながら机の上をざっと片付け、使えそうものを並べていく。
    黒焼きと、赤い花びらをいくつか、それからまあまあ貴重な植物の根、赤い宝石の粉末……繋ぎの細々。
    水気があれば飛ばして、大きいものは挽いて、奇麗に混ぜて小瓶に詰める。あとはしばらく馴染ませて、月の光に晒しておいて、仕上げに夢見がちな詩の読み聞かせだ。
    下準備を済ませて店を出る。すっかり日も暮れて夜の空気が隅まで満ちる路地裏に、もう店の扉は無い。
    黒くてつばの広いとんがり帽子を外して指先でくるりと回せば、よくある黒い長財布へと変貌する。
    先ほどまで帽子だった財布をポケットへねじ込んで、今夜のバイト先へ足を進めた。

    ☆☽☆

    仕事を終えて部屋へ帰る前に店へ寄る。
    窓辺の小瓶は薄っすらと光を帯びて、光にかざせば黒っぽい粉の中に赤色の輝きが散る。上々だ。
    ランプシェードの下、色とりどりのシルクの布に小瓶を置き、棚から古びた本を手に取って椅子に座る。
    開いた絵本のページをめくり息を吸い込んだ。
    「As white as milk, And not milk……As green as grass, And not grass……」
    書かれた言葉を口ずさむと、小瓶の周りで鼓動のように光が瞬き始めた。
    歌うように囁くように。星のように月のように。
    「As red as blood, And not blood……As black as soot, And not soot……」
    繰り返すたび小瓶の中は淡い色になっていく。少女の願いの通り、甘くて酸っぱい夢のかけら。
    中身がすっかり桃色に染まったら終了だ。
    メッセージカードに特殊なインクで使い方と注意事項、対価の内容を書き記す。
    対価を回収するための空の小瓶と、対価を受け取ってから開くように仕掛けを施した桃色の粉が入った小瓶を、薔薇の香りが染みた懐紙で包んで使い魔に持たせる。広げた羊皮紙の上で目をぎょろりと回してから、げこりと一声鳴いて使い魔の姿は消えた。少女が忘れず窓辺に石を置いているなら無事に跳んだだろう。置いていなかった場合は鞄やポケットの中にでも出るかな。

    ☆☽☆

    部屋に戻って翌朝、使い魔が戻ってきていた。
    傍らの小瓶の中には一滴の透明な液体が入っている。依頼が無事完了している証だ。鮮度が落ちる前に加工してしまった方が良さそうだが、朝から仕事が入っていて店に寄る時間はない――このカエルは使い魔のくせに何にもならないお使いやお手伝いは嫌いなので頼むことも出来ない――ので、一旦小瓶ごと密閉して帽子の中へ入れた。
    身支度をして、朝飯代わりの特別な飴玉を口に放り込んで部屋を出る。
    忙しなく動く朝の人々の中に交じって町を歩くと、普通の人間として仕事をしていることもあって、魔女であることを忘れそうになる。
    通勤中の会社員、夜勤を終えて帰宅中の人、玄関先の植物に水やりをするご婦人に、通学途中の少年少女。
    「なんか今日ほっぺと目のとこきらきらしてるね! カワイイ!」
    「そうなの! 先生に怒られるかもだけどちょっとだけお化粧してるの。××君と一緒だから……」
    数人の少女がきゃあきゃあ楽しそうに話しながら歩いている。一人は昨日見た顔だ。
    魔法はしっかり効いているようで何より。あとはあの少女の頑張り次第だ。
    すれ違いざま少女がちらとこちらを見た。
    帽子を被っていないし、店の中では軽い認識阻害の魔法が掛かっているから、同業でもない限り気付かれることはない。
    やはりその少女も何も気付かず、友達に呼ばれてこちらから視線を外し、足早に歩いていく。
    薔薇の残り香が風に流されていった。


    ----------

    引いたものリスト

    手札
    ♦5 黒焼きの爬虫類
    ♣6 何かの目玉
    ♣10 植物の毒や生き物の毒腺
    ♣J 伝説の植物、マンドラゴラなど
    ♦Q 伝説の生き物の一部、分泌物など

    依頼人
    ♦A 1 焦っている ♦ 少年・少女
    ♥K K 支配者。領主や政治家、がき大将など。 ♥♦ 女性
    盛るとこないから割と無視した()

    依頼内容
    ♥7 7 恋愛について。 適した手法は薬。べただぁ。
    飲むやつじゃなくて塗るやつにしました。

    解決
    ♦5、♣J消費。適したもんないし最低限でいいか……。

    報酬
    ♦3 消費と合わせて5。小瓶に1滴の涙。少女の涙か~。まあいろいろ使えそうではある。呪いの解除とか系で。


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