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    fuki_yagen

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    fuki_yagen

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    どこにも入れてなかったな〜と思って
    後半付け足して9月に出す予定のWEB再録本にいれるかもしれない

    #ロナドラ
    Rona x Dra
    #嘘ロナドラ
    falseLonadora

    嘘短文 ヌーヌーと泣いている声を頼りに路地を巡り、ようやく目当ての場所へと行き着いてロナルドは溜息を吐いた。しゃがみ込み、アルマジロを撫でて壁際に崩れていた灰をざらりと掴む。
    「おい、なに死んでんだ。ジョンが泣いてんじゃねえか。勝手に俺じゃないやつに殺されてんじゃねえよ」
    「いつも君が私たちをおいていくくせに、随分なご挨拶だな。大体私の心臓は君が持ち歩いてるんだぞ。心臓が近くになければ復活できないと言っただろ」
    「言われてねえな」
     あれ、そうだっけ、と惚けた砂がさらりと崩れ蠢き、ロナルドは帽子のつばの下でほっと安堵の息を吐いた。見下ろす先の塵と使い魔からは丸見えだろう。ロナルドは顰めっ面をして帽子を引き下げ、立ち上がる。
    「さっさと蘇れよ。今夜は守ってやる。朝方になったら事務所に戻って、お前は寝てろ」
    「私たちの城、もうダメじゃない?」
    「ダメではねえわ」
     さらさらと舞う砂が、ロナルドへと纏わり付いた。袖口や襟から入り込む、何故か羽根で擽られるような、指先が掠めていくような感触が左胸のハートの形をした石へと集中して触れた。半ば同化したロナルドの退治服が、この吸血鬼の黒色のマントのように裾を靡かせ装飾を落とす。あの細い躯に巻き付けたようなぴたりとしたデザインだが、生憎ロナルドの体格では細身のコートには見えないだろう。
    「……なんだよ。戻れっつったろ」
     似合ってんのかこれ、似合わねえだろ、こいつの趣味なのか、と考えながら左胸に手を当て、月の光にきらきらとした僅かに周囲を舞う塵に文句を言うと塵はンフフ、と憎たらしい顔が見えるような気配で嗤う。
    『少し疲れちゃったんだ。休ませてくれ、ロナルド君』
    「………、……仕方ねえな。回復したらすぐに出てけよ」
    『はいはい。相変わらずのお人好し退治人だな、君は』
    「そのお人好しに心臓くれてやるテメーのほうがよっぽどだろ」
     そこは利害の一致があっただろ、と嘯いて、ドラルクはあとは黙ってしまった。この状態で彼が言葉を発すること自体が珍しい。無理をしていたのかもしれない。
     ロナルドはまだ目を涙にうるうるとさせていたジョンを抱き上げた。するすると形をなしたスーツの袖に白手袋の腕が、使い魔の頭をちょいちょいと撫でてまた塵へと戻っていく。
    「じゃあ、行くか、ジョン。腹減ってねえか? ギルドに寄ろうぜ」
    「ヌー」
     よし、決まりだ、と腕の中の使い魔に笑い肩へと乗せ、ロナルドは塵と戯れている彼を落とさないよう気を配りながら、暗い路地を素早く駆けた。
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    fuki_yagen

    PROGRESS7/30の新刊の冒頭です。前に準備号として出した部分だけなのでイベント前にはまた別にサンプルが出せたらいいなと思うけどわかんない…時間があるかによる…。
    取り敢えず応援してくれるとうれしいです。
    つるみか準備号だった部分 とんとんと床暖房の張り巡らされた温かな階段を素足で踏んで降りてくると、のんびりとした鼻歌が聞こえた。いい匂いが漂う、というほどではないが、玉ねぎやスパイスの香りがする。
     鶴丸は階段を降りきり、リビングと一続きになった対面式キッチンをひょいを覗いた。ボウルの中に手を入れて、恋刀が何かを捏ねている。
    「何作ってるんだい? 肉種?」
    「ハンバーグだぞ。大侵寇のあとしばらく出陣も止められて暇だっただろう。あのとき燭台切にな、教えてもらった」
    「きみ、和食ならいくつかレパートリーがあるだろう。わざわざ洋食を? そんなに好んでいたか?」
    「美味いものならなんでも好きだ。それにな、」
     三日月は調理用の使い捨て手袋をぴちりと嵌めた手をテレビドラマで見た執刀医のように示してなんだか得意げな顔をした。さらさらと落ちてくる長い横髪は、乱にもらったという可愛らしい髪留めで止めてある。淡い水色のリボンの形をした、きっと乱とお揃いなのだろうな、と察せられる代物だ。
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    irohani8316

    DONE94の小説です。ロド風味……というかCP要素がほぼないですが、ロド推し工場から出荷されています。街を常に昼状態にしてしまう「吸血鬼日光浴大好き」のせいでシンヨコが大変なことに……というエンタメ(?)小説になりました。ラブというかブロマンスな味わいが強いかも知れません。
    長い昼の日 汗ばむくらいに燦々と照りつける太陽の下、俺はレンタカーのバンを路肩に留めると運転席から降りて、荷室のバックドアを開けた。そこには、青天にまったく似つかわしくない黒々とした棺桶が横たわっている。
    「おい、動かすからな」
    一応声をかけるも返事はない。聞いているのか聞いていないのかわからないが、別に構いはしない、俺は両手で棺桶の底を摑み、バンの荷室から引きずり下ろした。ゴリラゴリラと揶揄されるくらいに鍛えてはいるものの、さすがにこの体勢から、ひとりきりで重い棺桶を丁寧に扱うのは難しい。半田でも連れてくればよかったが、あいつも他のやつらと同じく街中を駆けずり回っていて、手伝ってもらうのは忍びなかった。
    案の定、無駄に長い棺桶は向こう側の端の方が落ち、地面に当たってガツンと派手な音を立てた。この衝撃であいつは一度死んだな、たぶん。俺の肩に乗って見守っていた愛すべきイデアの丸、もといアルマジロのジョンが「ヌー!」と泣いている。
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