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    toko0505

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    ※クエスト581時の書と罪の書のネタバレを含みます。

    初めて小説を投稿するので、所々おかしい所があると思いますが、優しい目で見てください。
    お手柔らかに。

    【内容】
    ゼフさんとファラスの小話です。
    カップリングではございません!
    ファラスの生死はおまかせいたします。

    主人公は@minyan_dq10さんをお借りしました。

    この話ではモンスターの特性の捏造が含まれております。ご了承ください。






    「トキミダテの種子、採ってきましたよ!ゼフさん!」

    朗らかな声とともに店の扉が開く。
    扉の前には、綺麗なオーロラ色の髪を携えたドワーフの少女が立っていた。

    「流石、仕事が早いですね。みにゃんさん。」
    この店の店主、ゼフは緑の髪を揺らしながら
    少女、みにゃんの下へ歩みを進めた。

    「へへ、ありがとうございます!これでベルマさんの指針書を直せますね!」


    先日、ゼフより乱心したベルマを救うため、指針書を取り戻すのに協力してほしいと頼み込まれた。

    指針書自体は時獄の迷宮で見つかったものの、損傷がひどく使い物にならない状態だったため、
    錬金による修復を試みることになったのだ。

    今回は錬金に必要な素材である、
    トキミダテの種子をじめじめバブルから採取し、
    ゼフに納品したところである。

    「そうですね。それでは早速錬金を…っと、みにゃんさん、その腕の傷は?」

    「え?」

    ゼフが指を差した部分に顔を向けると、
    右腕の皮膚が少し抉れて赤く腫れ上がっている。

    「ああ、これですか!
    これはさっきじめじめバブルと戦ったときに、きのこ爆弾にうっかり被弾しちゃいまして…。でも、そんな大した傷じゃないので、後で薬草を使っておけばよいかなーって」

    少しバツの悪い顔を浮かべながらははは、と笑う。
    そんな彼女を真面目な顔をしたゼフがこちらをじっと見つめた。

    「だめですよ、みにゃんさん。
    じめじめバブルのきのこ爆弾には、遅効性の毒があるんです。このままだと後に発熱、嘔吐、幻覚の症状が出ます。今治療しますので、少し待っててもらえますか?」

    そう言うと、ゼフは後ろの棚から液体の入った小瓶を取り出した。
    蓋を開け、みにゃんの腕に振りかけると、液体が光り、傷を優しく覆っていく。

    「私が錬金した治療薬です。30分ほどで効いてきますから、それまで安静にしていてくださいね。」

    「あ、ありがとうございます…!!」

    「まったく…みにゃんさんといい、ファラスといい、あなた達は自分の身体に対して無頓着すぎですよ…」

    はあ、とため息を尽きながらゼフが言うと、
    みにゃんは驚いた表情でこちらに顔を向けた。

    「ファラスさんもここに通っていたんですか」

    「ええ。そりゃもう何度も…」

    「その話、聞かせてもらえませんか!
    キィンベルにいた頃のファラスさんのこと教えて欲しいです!」

    興奮気味にお願いするみにゃんを片目に、
    ゼフは少し考えたふりをしながら答える。

    「そうですか…良いでしょう。錬金しながらにでもお話しましょうか。その代わり、今後は怪我には気を付けてくださいね。」   

    はい!とみにゃんの力強い声が店中に響き渡る。

    ゼフは口元に手を当てふっと笑みを浮かべると、懐かしい記憶を辿り始めた。


    ***

    時は遡り、ゼフがこの店を持ってから間もないときのこと。
    閉店の時間が近づいたため、外にある店の看板を下ろそうと、扉に手をかけた時だった。

    「ゼフ…すまんが開けてくれないか。俺だ…」
     
    扉の向こうから聞き慣れた声がする。
    扉を開けると、脇腹を抱え苦痛に顔を歪めたファラスがそこに立っていた。

    「!!ファラス!?なんですかその傷は…」

    「遅くなって悪い…依頼されていた素材を、渡しに、来た。これで…パドレ様の…指輪を、直してくれ。」

    息を切らしながら答えると、ファラスは膝から崩れ落ちた。

    「そんなことより、とにかく治療が先です!歩けますか?奥の部屋まで行きますよ!」

    ゼフがそう叫ぶと、すぐさま細い腕でファラスの肩を担ぎ、部屋までの道のりを急いだ。
    **

    奥の部屋でファラスをベッドに寝かせると、
    腰のベルトを緩め、傷の様子を早く確認した。

    「!傷が思ったより深い…!」

    傷というより、もはや風穴であろうか。
    左脇腹に大きく穴が空いている。 
    幸い内臓へのダメージは少ないが、出血が止まらずベッドシーツに大きく血のシミができてしまっていた。

    「ゼフ…俺は大丈夫だから、指輪の修復を、頼む…」

    「冗談言わないでください!
    こんな傷、今生きているのが奇跡なくらいの傷ですよ!すぐ錬金の準備をするので、そこで待っていてください!」

    バタバタと足音を立てながら錬金の準備を急ぐゼフを見ながら、ファラスはふっと微笑を浮かべる。

    こんなにも焦っているあいつを見るのは、いつぶりだろう。

    10歳の時、フォレストドラゴに挑んで大怪我した時以来だろうか…

    そんな遠い昔を懐かしみながら、ゆっくりと瞼を閉じていった。



    ***


    どれくらい時間がたっただろうか。
    ファラスが目を覚ますと、ゼフが目の前で薬の調合を行っていた。

    ゼフが目覚めたファラスに気がつくと、立ち上がってこちらに駆け寄ってきた。

    「お目覚めになりましたか。傷はまだ完治してませんので、まだ安静に…」

    「ゼフ、パドレ様の指輪は」

    ゼフの言葉を遮りつつ、ファラスが問いかける。

    「まったく人の気も知らずに…指輪はすでに修復済です。先ほどエムリヤさんにお渡し致しました。」

    「!そうか!よかった…」

    安堵の表情を浮かべるファラスとは対に、
    ゼフは呆れた表情を見せた。

    「よかったじゃありませんよ。その傷はどこで負ってきたものですか。
    素材の場所は、比較的モンスターも弱く安全な場所だったはずです。」

    「…キィンベルへ帰る途中、見たこともない異型の魔物達と戦った。この傷は不意を突かれたときに負ったものだ。」 

    ファラスは傷を負った脇腹をさすりながら、苦悶の表情を浮かべて語った。

    「貴方にそこまでの深手を負わせる魔物とは一体…」

    「わからない…。だが次はこうはいかん。
    今日会ったあの魔物に関しては後日調査する予定だ。それより、パドレ様の指輪が無事に直ってよかった。」

    ファラスが満足そうに笑みをうかべると、
    ゼフは青筋を立てて長いため息をついた。
     
    「指輪はともかく、あなたは昔から無茶をし過ぎです…毎回治療する私の身にもなってください!」

    若干キレ気味になりながらファラスを一喝した。
       
    が、当の本人はそんなのを気にもとめず、
    カラッとした笑い声を上げている。

    「はは、いつもすまないな。
    だがこれもパドラ様とマローネ様の為だ。
    今後もよろしく頼むよ、ゼフ。」

    「はぁ…」
    ゼフはがっくりと肩を降ろした。

    「貴方がパドレ公に忠信を尽くす気持ちは分かりました。ですが…」

    そう口にした所で、次に出す言葉を飲み込んだ。

    「…なんでもございません。とにかく、しばらくは安静にしていてくださいね。」

    そう言い残すと、ゼフは調合した薬を持って部屋を出ていく準備をし始めた。

    ファラスが苦笑いでわかったよ、と答えると
    そこで会話が途切れる。


    …その後は、翌日ファラスがゼフの店を発つまで、言葉を交わすことはなかった。


    ***

    「そんな事があったんですね…」

    話を聞いていたみにゃんがぽつりと小さな声で呟く。 

    ゼフの錬金は既に終わっており、
    二人は隣の部屋でシャンテが用意した紅茶を嗜んでいた。

    「因みにパドレ公の指輪については、公務で時渡りのチカラを使った時にヒビが入ってしまったそうです。きっとチカラが強すぎて指輪が耐えきれなかったのでしょう。」

    ゼフがそう語り、コップに残っていた紅茶を一気に飲み干す。

    「まあでも、既に過去のお話です。お気になさらないで下さい。」

    コップをソーサーに移すと、カシャンと小さく音が鳴る。

    ゼフは一息ついてから、隣の椅子に置いていたベルマの指針書を取り出した。

    「さて、ベルマさんの指針書についてでですが…
    外装とページの再構築には成功しましたが、肝心の文章が読めない状態です。」

    ゼフが指針書のページを開くと、
    綺麗になった外装とは裏腹に文字がかすれて読めなくなっている部分が露わになる。

    「こうなると、指針書の書き換えが必要になりますね。…みにゃんさん、もう少しだけお力をお借りしてもよろしいでしょうか?」

    申し訳無さそうにゼフが話すと、
    みにゃんは即座に首を縦に振った。

    「はい!もちろんです!ちょうど腕の傷が丁度癒えてきたところなので、いつでも行けますよ!」

    右腕に力こぶをつくり、ニカッと歯を見せて無邪気な笑顔を見せる。

    「ご協力ありがとうございます。でも無茶は禁物ですよ。」

    ゼフはみにゃんの笑顔を目に留めつつ、あの時伝えられなかった気持ちに思いを馳せる。

    あの人と貴方はとても似ている。
    私がこう言っても、きっと無茶をするんでしょう。
    それはきっと、どうしても止められない。
    でも、これだけは覚えておいてほしい。
    私にとってあなた方は…

    「貴方は私達家族にとって、かけがえのない大切な友人です。どうか無事に戻ってきてくださいね。」

    ゼフはみにゃんのマスカット色の瞳を見つめながら、そう口にした。
    彼女の瞳の奥に、翡翠の瞳を持つ彼の姿を思い浮かべながら。




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    扉の前には、綺麗なオーロラ色の髪を携えたドワーフの少女が立っていた。

    「流石、仕事が早いですね。みにゃんさん。」
    この店の店主、ゼフは緑の髪を揺らしながら
    少女、みにゃんの下へ歩みを進めた。

    「へへ、ありがとうございます!これでベルマさんの指針書を直せますね!」


    先日、ゼフより乱心したベルマを救うため、指針書を取り戻すのに協力してほしいと頼み込まれた。

    指針書自体は時獄の迷宮で見つかったものの、損傷がひどく使い物にならない状態だったため、
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