当主×高専♀ 6「縁談…ですか?私に?」
夏油は、学長の夜蛾に尋ね返した。
「お前には必要ないとは思ったんだが、本人の意思を聞かないわけにはいかないからな…」
夜蛾は苦い顔をして言った。
その手元には若い男性の写真とプロフィールらしきものが書かれた紙があった。
プロフィールと夜蛾の説明によると、相手は夏油が一度一緒に仕事をしたことのある人物だった。家は一桁ほど続く呪術師家系であり、階級は3級、年齢は30歳。
夏油が話をした感じは特別悪い印象は抱かなかった。しかし夏油の圧倒的な強さを恐れ、帰り際には距離を置かれていた。
「断るのは…あまりよくないですよね?」
「言いたくないんだが、家のことを考えるとな…」
家柄だけ比べると、どうしても夏油の方が下の扱いになる。これを夏油が断るのはかなり失礼な行為にあたるらしい。
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