不器用なアンバー #1「ヴァッシュさん、本当に、ほんっとーに、断ってよろしいんですの?」
事務室の応接セット兼ミーティングスペースで、テーブルに両手をついて、こちらを見上げて食い下がるマネージャー。テーブルを挟んで彼女の向かい側に座っている僕に向けられる、確認というより、もはや懇願しているような顔に、申し訳ない気持ちすらしてくる。
そんな顔をさせている原因は、自分にあるのだけれど。
「うん………ごめんね」
彼女の気持ちは分かる。僕には勿体ないくらい良い話だと思うし、マネージャーであるメリルが、あるいは事務所が、一生懸命取って来てくれた仕事なのかもしれない。でも。申し訳ないのだけれどこればかりは、という顔を作る。断る、という考えはテコでも動かない。
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