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    nobutgstgm

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    『嘘がつけないカメラマン葬 ✕ トラウマを抱えたアイドル台のラブストーリー』葬台
    診断メーカーさんのお導きにより書き始めたのですが、何やら長くなって来たので、出来たとこまで上げちゃう。
    ※まだ葬くんは少ししか出てきません。

    不器用なアンバー #1「ヴァッシュさん、本当に、ほんっとーに、断ってよろしいんですの?」
     事務室の応接セット兼ミーティングスペースで、テーブルに両手をついて、こちらを見上げて食い下がるマネージャー。テーブルを挟んで彼女の向かい側に座っている僕に向けられる、確認というより、もはや懇願しているような顔に、申し訳ない気持ちすらしてくる。
     そんな顔をさせている原因は、自分にあるのだけれど。
    「うん………ごめんね」
     彼女の気持ちは分かる。僕には勿体ないくらい良い話だと思うし、マネージャーであるメリルが、あるいは事務所が、一生懸命取って来てくれた仕事なのかもしれない。でも。申し訳ないのだけれどこればかりは、という顔を作る。断る、という考えはテコでも動かない。
     う、とこちらを見たまま口を噤んだメリルに企画書を差し返せば、横でこちらの出方を見ていた兄も同様に続いた。恐らく、僕の返事如何で判断するつもりだったのだろう。
     差し出された書類を、もちろん彼女は簡単には受け取ったりしない。物分かりが良く、聞き分けが良いだけが、優秀なマネージャーの条件ではない。粘り強く、諦めの悪い彼女は、職について短いが、間違いなく敏腕マネージャーとしての素質が既に備わっている。
    「ほら僕、ナイとは違ってダイコンだしさ」
    「ほとんど演技したことないのに、大根役者かどうかなんて解らないじゃありませんか! ヴァッシュさんなら、きっと……!!」
    「はは、そう言ってもらえるのはありがたいんだけど」
    「このお話を受ければ、役者業初挑戦にして初主演、その上、ナイヴズさんとダブル主演で、記録に残る兄弟初共演作品の誕生、なんですよ。考え直してはくれませんか」
    「………ごめん」
    「……おい、くどいぞ」
     平行線を辿る僕らのやり取りを黙って聞いていた兄が、久方ぶりに口を開いた。ですけど、と尚も彼女は諦めきれない様子だ。
     なかなか引き下がらないメリルに痺れを切らしたナイヴズは、手にしていた企画書を彼女の頭の上へ置き去りにして、さっさとソファに背を戻してしまった。俄に慌てて、書類を落とさぬよう受け取ったメリルへの関心をすっかり失ったかのように、テーブルに置いてあった雑誌の見本誌を手にしている。きっと、特段読みたいということではなく、この話は終わりだ、と言外に態度で示しているのだ。
     冷たく嫌な態度だけど、僕のためにやってる事だというのが分かっているから無碍に出来ない。
     可能な限り頂いたオファーは受けるのが僕の信条で、最近はほとんどマルチタレントのみたいなもんだけれど、役者業への挑戦だけは頑なに断り続けている。演技に挑戦してみたい気持ちもないことはないが、それに付随するたった一つの不安が、もうずっと僕の決断を躊躇させていた。
    「うう、勿体ないですわ……」
    「だから言ったろ、新人。結果は見えてるってな」
    「い、言われなくても、分かっていますわ! あくまで、ダメ元です、ダメ元!」
     部屋の奥から別の声に窘められて言い返したメリルは、ついに諦めたのか不承不承の体で僕からも書類を回収すると、それらを手早くまとめて立ち上がる。
     案件を断るなら可能な限り早く、というのは、どの業界でも鉄則だ。
    「さっそく断って参ります」
    「メリル」
     思わず呼び止めた僕に、なんですか、と向き直った信頼のおけるマネージャーは、既に仕事モードに切り替っている。
    「……ありがとう」
     いつもありがとう、我儘言ってごめんね。
     向けたのは、仕事用じゃない僕の精一杯の笑顔、のつもりだ。顔のパーツひとつひとつを意識して形良く動かし、“笑ってみせる”んじゃない。いつだって感情のままに微笑むのは、僕にとって難しいことだ。逆に意識してしまって歪だろうし、一体自分がどんな顔をしているのか、自分でも想像がつかない。ちゃんと笑えているだろうかと、いつも不安で。
     僕を見て、パチパチと瞬きをした彼女は、小さく頭を振って、花が綻ぶように優しく微笑んだ。素敵な笑顔だ、彼女も表の仕事をすれば、きっとすぐに人気が出るだろうに。いつだったかそんな事を言った僕に、彼女は、自分はやりたい仕事をやりたいように全うしたいのだと、揺るがぬ瞳で答えた。
    「いいえ、いいんです。私の仕事は、皆さんが快くお仕事ができるように、全力でマネジメントすることですもの」
     今回の案件は本当にちょっと、いや、とてもとても残念なのですけど、と尚も零すメリルに、僕の横で足を組んでいたナイが、刃物のように鋭利な一瞥を投げつけた。その剣呑さに肩を竦めて退散するメリルへ小さく手を振って、僕も背中をソファへ戻した。その拍子に触れあった肩が、まるでこちらを気遣うように少し寄せられる。こと、僕のこととなると過保護気味で、身内にすら厳しい態度を取る。まったくもって兄らしい。
    「怒らないでよ、ナイ」
     君と同じで、僕の事を思ってしてくれたことだったんだから。
     視界を覆っていたオレンジのレンズを少し下げて、透き通るアイスブルーの瞳を覗き込めば、彼は不機嫌そうな顔のまま、さら、と僕の前髪に指を通すと、身体ごと離れていった。無意識なのか故意なのか、どちらにしても、こうして折に触れて気遣うように触れてくるナイヴズには、なんだかんだ言って救われている。彼とは、ずっと一緒に、こうやって生きてきた。
     
     少し前、トーク番組に二人で出演して以降、どうも二人を共演させようという動きが一部活発になっているようだった。
     今どき珍しい男性ソロアイドルの僕と、舞台を中心に活動する舞台役者の彼は、分野が違うこともあってか同じ事務所に所属しながら、ほとんど共演はしてこなかったのだ。
     もしかしたら、件のトーク番組出演をきっかけに、世の中に兄弟だということが認知されたのかもしれない。
     とにかく、反響がすごかった。収録後は特に特別な事はなく、いつもどおり二人で話をしただけという認識でいた僕らだったけど、新しい層からの注目も集めたらしかった。
     僕のSNSのアカウントはもちろん、ほとんど更新されないナイヴズのアカウントすら、フォロワー数が振り切れんばかりの勢いで激増している。
     何をポストしても見たことがないインプレッション数を弾き出すし、過去の投稿までわざわざ遡って全部いいねを押してくれる人もいた。別に、今までと投稿内容が変わったわけではないのに、いつの間にか沢山の人に応援してもらっている。
     応援してくれる人が増えるのはとてもありがたいことだ。兄にとってはどうでもいい事らしいけど。
     
     リムを持ち上げてサングラスをかけ直し、定位置に戻したレンズ越しに、部屋の奥をチラリと見遣った。この小さな事務室の一番奥、一応、一番立派なデスクにもたれて腕を組み、電話をかけているメリルの様子を伺っている壮年の男。何だかんだ言って、結局部下思いの優しい彼は僕らの事務所の、所謂“雇われ社長”だ。
    「ロベルト、……悪いね」
     元々僕らのマネージャーを長く務めてくれていたせいか、未だに社長なんて呼びなれない。上下関係なんかない、気安い間柄は今も続いている。
    「悪いと思ってるなら、精々、他でしっかり働いてたんまり稼いでくれや」
    「うん」
     もちろん、そのつもりだ。
     この道に進んで五年が経つ。この事務所があったからこそ、このスタッフがいてくれたからこそ、歩いて来れた五年間だった。
    「頼むぞ、うちの稼ぎ頭」
     そういうと、ロベルトは腰を上げる。断るついでに次の話を上手く取り付けようとしているメリルの頭をぐしゃりと混ぜ返し、ナイと僕の頭を小脇に挟んでいた芸能新聞で軽くはたいて、ジャケットの内ポケットを探りながら出て行った。煙草でも吸いに、屋上へ出て行ったのだろう。
     非喫煙者である僕らの為に、彼が煙草を吸うのは、いつも屋上の寒空の下だ。社長になってもそういう所は変わらない。頂いた仕事の打診を丁寧に交通整理しながらも、僕達のメンタルもヘルスも十分すぎるくらい気にかけてくれている。
     彼ら事務所のスタッフには、本当に頭が下がる。
     
     一応この事務所の看板アイドルという扱いになっているらしい僕の、活動五周年で迎えるデビュー記念日を半年後に控え、ロベルト率いる芸能事務所ベルナルデリプロダクションは大いに盛り上がりを見せていた。ここから、この記念イヤーが終わるまで、怒涛の如くスケジュールが埋まっている。アルバム収録に、全国ツアー、それに伴うテレビ出演……確実に、今までで一番忙しい。今日もこの後、バラエティ番組の撮影が数本控えている。
     隣で僕が表紙の見本誌をパラパラと捲るナイにスマホを向ける。中のページが写り込まないようにして撮った短い動画を、早速ポスト。テキストはこう。『明日発売! お楽しみに』これ、確か表紙のビジュアルがメディアに出たときには、とても好評だったんだっけ。シックで大人っぽい衣装に紫レンズのサングラスが格好いい、なんて話題になったんだった。
     ポストにはすぐ反応があって、沢山のリプライが並んでいる。
    『明日が楽しみ!』
    『もちろん予約済みだよ』
    『この表紙、本当に格好いい……』
    『お兄ちゃんによる最終チェックだね』
    『なにか、難しい顔してらっしゃる……?』
    『パープルレンズやば!格好いい!』
    『暖色も良いけど寒色も似合うね』
    『本当に仲良し双子なのね』
     返信はしないけど、ひとつひとつ確認していく。とあるリプライに、画面の上を滑らせていた指を思わず止める。
    『レンズから微かに透けて見える目が、』
     ヒクリと引き攣ってしまった身体を誤魔化しながら、意識的に瞬きをして、薄目で画面を再確認する。
    『透けて見える目が、格好いい! サングラス外した所も見てみたいなぁ』
     きゅ、と縮んでいた心臓が、徐々に安心して戻っていく。格好いいと言ってくれるのなら、良かった。それでも、最後の一文が気になってしまう。無意識にオレンジの縁に指先で触れていたようで、カシャリと鼻当てが鳴るのを、なんだか遠くで聞いていた。
     
    『目ぇが』
     今でも忘れられない、あの声がリフレインする。
    『目ぇが笑ろてへんな』
     あれはデビュー前で、僕がアイドルとして売り出してまだ間もない頃の事。まだオリジナルの曲もなくて、先輩アイドルの曲を歌いながら地道な営業をして回っていたときに、お客さんに言われた一言だ。
     まだまだ駆け出しの僕にとって、お客さんと距離の近い仕事は気の張ることの連続だったけど、実際に応援してくれている人と直接会えるのは有り難かった。それに、数少ない男性のファンが会いに来てくれたのが、心から嬉しかったのに。
     わざわざ握手会に並んでまで、そんなことを直接言ってくるなんて、よっぽど僕の目付きが酷かったんだろう。握った手はそのままに、何も言えずにいる僕に、何か加えて言おうとしたその人は、スタッフに促されて次のお客さんと交代し、僕の前から去って行った。
     余りのショックで、その人がどんな人だったかは思い出せない。ちょっと訛った低い声で紡がれた、その言葉だけ。ただ、それだけが印象に残っている。
     そんな言葉なんか気にしなくていい、とロベルトは言ってくれたけれど、その言葉がどうしても頭の中にチラついて。それからだ。なんだか上手く笑えていない気がして、人前に立つ自信がすっかりなくなってしまった。
     僕ってこんなに暗かったかな、と思い悩んでいる中で、雰囲気だけでもマシにならないかと、苦し紛れに明るいカラーレンズのサングラスをかけてみた。それが意外とファンに受けて、今では僕のトレードマークになっている。自信がない目元も誤魔化せるし、これは好都合だと思ったけれど、今度はサングラス無しで人前に立つのが不安で仕方なくなってしまった。
     このままじゃ駄目だ、と思ってはいるのだけど、優しい事務所に甘えてサングラスを外さなくてもこなすことが出来るオファーばかりを受けながら、ここまでやって来た。やって来てしまった。
     今では、僕にサングラスのデザインを、なんて話まで来るくらいだ。だから、このままで良いのかもしれない………でも。
    『目ぇが笑ろてへんな』
     あの一言が今でも時々、フラッシュバックのように蘇ってしまう。
     
    「ヴァッシュ」
     不意に、横から名前を呼ばれて、ハッとする。雑誌を閉じたナイヴズが、静かにこちらを見ていた。
    「……ナイ、見て、『難しい顔』だって」
     慌てて、届いたコメントを見せながら、こんなのいつもの顔なのにね、と笑って見せる。じ、とこちらの様子を見定めるように見詰めてきたナイは、ふん、と鼻を鳴らして僕の髪の毛を掻き回した。
    「わ、ナイ、やめろよ」
     ワシャワシャと僕の髪を乱して気が済んだのか、ナイはソファから立ち上がった。ナイの方が先に移動らしい、コートを羽織り、カバンを手に取っている。ナイヴズはナイヴズで、同じく役者デビュー五周年目にして、大きな舞台が控えており、しばらく稽古三昧の日々が続いている。
     ナイヴズにも、ロベルト達にも、僕の事で心配をかけたくはない。僕には僕の出来る限りで、みんなの期待に答えていきたい。
    「……今日は何色にしようかなぁ」
     明るく元気一杯なビビットイエローか、ふんわり可愛いコーラルピンクか。皆が格好いいと言ってくれたダークパープルも良いかもしれない。
     ソファに沈みながら、目を閉じる。今日も、しっかり仕事をこなさなきゃ。
     なんて言ったって僕はここ、ベルナルデリプロダクションの看板アイドルなんだから。
     
     
    「お疲れ様です、失礼します」
     忙しそうにすれ違うスタッフに挨拶しながら、テレビ局内を歩く。柔らかい琥珀色のレンズ越しに見る景色は、いつも慌ただしい。一つ収録が終われば、撮影した素材を確認して編集し、放送番組として作り上げていくのだ。
     裏に車回して来ますから、十分位後に降りてきて下さいね、というメリルの言い付けを守って、時間通りにキャップにマスク、アンバーのサングラスをかけて楽屋を出た。下の階へ降りるボタンを押して、到着をゆっくりと待っている間、誰かが横に立ち、上の階へ行くボタンを押した。こんな所で出会う人は同業者の可能性が高い。知り合いなら挨拶を、と思って横目でちらりと盗み見た。
     スモークレンズのサングラスをつけ、サラリとスーツを着こんでいる男。重そうなバッグを肩から下げ、のっそりと立ってエレベーターが来るのを待っている。僕の見立てでいけば、同業者ではなく、どちらかと言えば技術職の人、という風貌だ。
     あんまりジロジロ見ちゃ駄目だな、と目を逸らそうとした時、階数のモニターを見上げていた顔が不意にこちらへ向いて、レンズ越しに視線がぶつかった。
    「あ、どうも、こんにちは」
    「どうも」
     目が合ってしまった気まずさの裏返しで、妙に明るい挨拶をしてしまった僕に、返ってきた男の返事はそっけない。しかし、僕にとってそんなのは気にならない。その場に居合わせた人と何気なく交わす世間話は、むしろ得意だ。
    「来ませんねぇ、エレベーター」
    「……せやな」
    「この局、いつもエレベーター来るの遅くて……今日は話し相手がいてラッキーだったな」
     いつもの調子で続けた言葉に、男がなにやら気付いた素振りをした。話し声で僕のことが分かってしまったのだろうか。
    「……ヴァッシュ・ザ・スタンピード?」
    「へへ……まぁ、はい」
     案の定、名前を言い当てられてマスクをちょっとずらせば、男は身体ごとこちらへ向き直ってサングラスを外した。僅かに見える無精ひげも相まって、少し強面に見えていた印象だったが、意外と同年代か、僕より少し年下くらいに見える。
     僕の名前を口にしたきり黙ってしまった男。君、大丈夫? と声をかけようとしたそのとき、突然、手がこちらへ向かってきた。次の瞬間には、視界を覆っていたアンバーがすっかり取り除かれていた。突然、カラフルな色のついた景色の中で、ただ一人黒尽くめな男が、ずい、とこちらへ一歩踏み出してくる。
     まっすぐ正面から向けられた視線に、反射的に目を反らす。自分が親しくしている人以外と、こうしてサングラスなしで対面するのは、いつぶりの事だろう。
    「……」
     何も言わない男に、心臓が騒めく。早くサングラスを取り返して、文句の一つでも言ってやりたいのに、なんだか身体が上手く動かない。彷徨わせた視線を、意を決して相手へ戻した。
    「……あの、えーっと。それ、」
     返してくれるかな、と口にしようとした僕の顔前に男の顔が近付いて、今度こそ息を飲む。深いチャコールグレーの瞳が、お世辞にも明るいとは言えないテレビ局内の廊下の照明の下、透き通るように輝いていた。
    「相変わらず、勿体ないな」
     聞きなれないイントネーション。この訛り方に、聞き覚えがあった。
    「……あ、」
     奪い取ったサングラスを、元のように器用にかけ直すと、その人は距離を詰めた唐突さと同様に離れていく。ちょうど、上へ向かうエレベーターが到着したらしく、茫然とする僕を置き去りにして乗り込むスーツの背中。
     ドアが閉まる寸前に振り返った男の顔を、レンズ越しに見つめた。
    「ほなまた」
     リフレインする声と重なった声色と同様に、その顔も像をはっきりと結んで重なった。
    「あ、待って、」
     無情にもドアが閉まる。待ってと言ったって、当たり前だけど、僕の事情なんて関係ない。
     混乱した頭のまま、到着した下へ向かうエレベーターに乗り込んで、バクバクと走る鼓動を落ち着かせようと大きく息をした。落ち着け、落ち着け。そう言い聞かせながら壁に寄りかかり、リムを触って、少しずれているサングラスの位置をきちんと直す。
     どうして今更。何であの人が。いや、同じ話し方をする人なんて五万といるだろう。人違いかもしれない。似てただけかも。ほら、向こうも勘違いしていたのかもしれないし。……それにしても、あの深いグレーの瞳、綺麗だったな。いや、そうじゃなくて。
     無意識にレンズの淵をなぞっていた指を、きゅっと握りしめると、もう一度大きく深呼吸をした。
    「しっかりしなきゃ」
     開いた両手のひらで、頬をパチパチと叩く。
     
     なんて言ったって、僕は看板アイドルなんだから。
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