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    ホテルのマンスリープランを利用する楽さんとフロントの二階堂さん

    ##楽ヤマ
    ##文章

    「おはようございます」
    「いってらっしゃいませ」
    フロントににこやかに挨拶をしていく美丈夫は当ホテルのマンスリープランを利用しているサラリーマンだ。
    取引先の会社の社員で、社員向けに出したプランの担当者でもある。それなりの値段設定をしているはずだが、彼は初日というか…打合せを済ませたその足でフロントに来て申し込みをして行った。
    初めての事だからと、部下に見せる意味合いも兼ねて俺が対応した。その時いやに名前を何度も確認してきたり、世間話なのか年を聞いてきたり、最後には仕事終わったら飲んだり出来るのかと聞いてきた。一応お客様ではあるので私で宜しければ…とは言ったものの…。
    ものすごく近い距離で、吸い込まれそうなアイスグレーの瞳でイケメンボイスで言ってくるから接客には慣れているとは言えあたふたしたのも記憶に新しい。イケメンの気紛れかと思ったらプランが始まって3日目位に本当にフロントに名指しで電話がかかってきてびっくりした。あのイケボで『二階堂さんいらっしゃいますか』と言われた若いフロントスタッフはアイドルから掛かってきた電話を取った時のようだった。本当にアイドルが宿泊したらどうなるんだ。あの人はあれでも一般人のサラリーマンだぞ。
    「お待たせ致しました八乙女様、二階堂です」
    「終わるの何時だ?」
    「は?」
    「仕事終わるの何時だ?」
    「本日は19時の予定ですが…」
    「終わったら俺の部屋に来てくれるか?」
    「はい?こちらではそういったサービスは行って…」
    「部屋わかるよな、じゃあ」
    ものすごく一方的に話されて、ろくな返事も出来ていないのにもう承諾した事になっていた…。いや、本当にこんなサービス無いんだけど…。

    ⭐︎⭐︎

    会社が取引先の万南ホテルからマンスリープランの話を受けて俺がその担当になった。最近はリモートワークやサテライトオフィスなんかも増えているからそういった事にも使えるとの事だ。家賃の3倍のプランを利用する社員がいるのだろうかと思ったが高級ホテルに住むとかフードからランドリー、フィットネス等のホテル内の施設やサービスは使い放題とかは結構魅力的である。何もしなくてもいいのは独身一人暮らしには有り難い。彼女を呼んでしまうという手もある。彼女はいないが。
    ホテルに着いた時、ふいに目を向けたフロントがそれまでにない色合いで明るく見えた。ホテル従業員の制服でしかもそのジャケットはマネージャーの証で他のスタッフより重厚感がある。すらりとした身体にぴったりと馴染んだそれは品が良く綺麗だった。
    仕事で度々訪れるが今まで見た事なかったのでつい打合せ相手のホテルの営業担当に聞いてしまった。
    「フロントマネージャー、かわられたのですか?」
    「良くお気付きになりましたね、はい、彼は今月からマネージャーに昇格して系列店からこちらに」
    「まだ若そうですが、マネージャーとなるとかなりお出来になるという事ですね」
    「八乙女さんほどではないですが、満足のいくサービスを提供できる人材ではあります。あ、そう、確か歳も同じくらいかと」
    俺はマンスリープランの話をまとめたその足で、第一号の客となった。
    そう、俺は、彼に一目惚れしたのだ。

    ⭐︎⭐︎ナイトマネージャーの証言⭐︎⭐︎
    夜の巡回はナイトマネージャーの仕事でもある。お客様にトラブルが無いようくまなく見て回る。
    おや、あれは、フロントマネージャーの二階堂くんではないか?若くしてマネージャーに昇格した有望な若者だ。切長の瞳で落ち着いた声でどことなくノーブルな佇まいの彼の仕事ぶりはどのお客様からも好評だ。
    今日はもう仕事を終えているはずで、私服でそこにいるのはなんの問題もない。ある部屋の前で止まると、チャイムを鳴らしていた。
    今巡回中のフロアはマンスリープラン専用のフロアである。誰かお友達でも利用しているのだろうか。
    部屋のドアが直ぐに開き、中から芸能人みたいな麗しい美青年が出て来た。
    見た瞬間、スタッフの間で噂になっている第一号のお客様だとわかった。本当はお客様の噂話など業務上良くはないのだが話題にしてしまいたくなる気持ちもわからなくはない端正な青年だ。
    彼は子供のように嬉しそうな顔で二階堂くんを迎え入れている。マネージャーの事を気に入っているお客様がいる、とは聞いていたが成る程ここだったのか。照れながら部屋に入る二階堂くんが見えたが業務時間外だから見なかった事にしておく。
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