「獄、今日暇」
部活終わり、鍵当番の虚見獄に職員室まで着いてきた伊達現世が声をかける。
「暇ですよ〜暇じゃなくても伊達さんの為なら予定空けます」
くるっと振り向いて笑う
「そろそろ至剛の誕生日だから、選ぶの手伝ってほしくてさ」
「ほぉ〜デートのお誘いって事ですね♡」
「いや違うけど」
「冷たいですね〜、何処で買うかとか決めてます」
真面目に話を聞いてくれたことに伊達は少し驚いた。
「あ、いや、至剛が派手好きだけど僕はよく分からないから、獄はセンスいいしわかるかなって」
誕生日プレゼントねぇと虚見獄はかんがえる、10歳以来もらったことはなかったから、正直よく分からない。
「獄聞いてる」
「あぁ、すみません。ぼーっとしてて。アクセサリーとかが無難ですかね。とりあえず1区のモールとかみますか」
「そうだね。そうしよう」
校舎を出るとむわっとした蒸し暑さで暑……と伊達が口にだしてて、虚見はクスッと笑う
「とりあえず駅まで歩きましょうか」
「うん」
駅までの道中
「獄って冷たいよね。」
と虚見の半袖から出てる素肌に顔をあてて伊達がいう
「そうなんです、体温が低いから暑いの苦手で……腐ってしまいそう」
その言葉で伊達はビクッっとして虚見から離れてしまった。
「冗談ですよ」
と笑っても伊達はしばらく俯いたままだった
駅についてモノレールを待つ間。自販機でジュースを買う。
「伊達さん何にします」
「オレンジの気分」
「へぇ」
「獄はいつも林檎だね。好きなの」
「あ、そうですね。林檎がすきです」
「至剛はいつも変なの選んでた、このまえは豚骨スープ」
「あはは、想像つきます」
伊達さんはいつも"至剛"ですね
とは流石にいえなかった。
暑さでモノレールが着く頃には2人ともジュースを飲みきっていた。
空き缶を捨てて乗車する。
「涼しいですね〜冷房最高って感じです」
「ちょっと僕には涼しすぎるかも」
「大丈夫ですかあまり当たらないところ行きましょう」
ちょうどいい席に座れた。
伊達が途中で寝てしまい虚見の肩に頭がのる。
愛おしいなあ。可愛いなあ。なんておもって写真を撮る。
こんな人が自分の恋人なんだと少し虚見はにやけていた。
「伊達さんそろそろ1区に着きますよ」
伊達の短くきられた髪を撫でる
「ぅ……寝ちゃってたごめん」
「平気ですよ」
まだ眠そうな伊達さんの手を虚見は優しく掴んで降りて、そのままモールへと向かう。
「至剛なにがいいかな」
「龍が巻いてある剣のストラップとかでも喜びそうですよね」
「ふふ、たしかに。」
なんだかな。なんて思いながら雑貨屋やアパレルショップ。シルバーショップなどをみてまわる。
伊達の口から"至剛"の単語が出てくる度に虚見の虫の居所が悪くなってくる。
古着屋のテナントで織田が好きそうな派手な柄のシャツを見つけた伊達は
「コレこれにしよう」
と虚見の見たことない笑顔をしてよってくる
「いいですね」
どうでも。
虚見の表情は笑顔は保ちつつも、少し暗かった。伊達は気づかなかった。
「少し休憩しますフードコート空いてますし」
「あ、アイス食べたい。ソフトクリームがいいな。獄は付き合ってくれたお礼に奢る」
「じゃあお言葉に甘えて、アイスコーヒー買ってきてくれますブラックで」
「わかった。かってくるね」
どっと疲れた。好きな人といるのにな。
スマホに映る自分の顔は数ヶ月前のときの伊達さんの目に映る自分の顔にそっくりだった。
「おまたせ」
見上げるとアイスとコーヒーを持った伊達さんと目が合う
パチン
「あ……う……うぅ」
伊達は手に持ってたものを落として頭を抱えしゃがみこみうなり始めた
「大丈夫ですか伊達さん。」
虚見は椅子から降りて伊達の背中をさする
その場で嘔吐して、店員が駆けつけてくる。
処理は店員に任せて伊達を抱えて立つ
「私の部屋ここから近いので、そこでやすみましょう。荷物も私が持つので」
「ごめん……急に……」
「大丈夫ですよ。こう見えて私力持ちなので」
やっぱり伊達さんはこうじゃないと。
虚見からは笑みが零れていた
虚見のアパートに着いてベッドに伊達を寝かせ吐瀉物が着いた口をウェットティッシュでふき取る。
どうやら悪夢にうなされてるようで辛そうな顔をしている。
虚見は伊達に使いすぎた。能力を。
「あは……何やってんだろう僕」
虚見も疲れていたから狭いが伊達の隣で寝転がる
辛そうな顔 可愛い
突然寝返りをした伊達に抱きしめられる
「ひとや……」
名前を呼ばれて驚く
悪夢でもなんでも 、伊達の夢に自分が出てきてくれたことがうれしかった。
8月8日
虚見が部室にはいると紙袋をもった伊達が腕を引っ張る。
「なんだまたイチャイチャしてるのか〜」
「いや、今日誕生日。プレゼント獄と選んだんだ。これ」
「へぇ〜」
ラッピングを開けて服を取り出す
「すげーいいセンスしてんじゃん」
「似合うと思って」
虚見が仲良く2人が会話をしているのをぼーっと見つめているとしばらくして
「おいおい虚見はねぇのかよ」
と織田にいわれる
「んあぁありますあります」
虚見は笑顔を取り繕って織田の手を強く掴んでぎゅっと握る
「痛ッッお前何考えて」
握った手を離して
「手の中見てみてください♪」
と笑う
「はぁ手ェあピアス」
「織田さんに似合うと思って」
「いつの間に買ってたんだ」
「偶然みつけたんですよね。伊達さんが選んだ服に合いそうだったので」
「カッケーありがとうなお前ら」
「喜んで頂いて光栄です♡」
織田が2人を抱きしめる
HAPPY ヨND