JAM三勢力が完全に安定し東京の治安は前よりも安定した。
そんな頃ジャミが東京に戻ってきてから様々な変化がおきた。
まずは食料や生活必需品配給の再開。
これで民間人はジャミをまるで神様のように扱った。
「ジャミ様のおかげで生きていける」
なんて。
彼の顔や名前は大きく広まった。
そしてもう1つ、大きな抗争が生じた。
安定しているはずの治安が崩れたのだ。
原因は芙蓉がリーダーの勢力「オーピメント」に薬物や毒、武器が流通しはじめたからだ。
薬物に脳みそを壊されたオーピメントの人間達はほかの2つの勢力を襲った。
被害は大きかった。
3勢力のリーダー達は定期的に集会をしていた。
原因はオーピメントだ。
優しく紅蓮が問いかけるが芙蓉は
「僕がそんな事すると思うか」
と苛立った様子で立ち上がり「やってらんねぇ」と出ていこうとする。
その時、ガチャりとドアが開く音がした。
「久しぶり。兄さん達、おっと、仲間割れまあまあ、一緒に話そうよ。芙蓉兄さんも。」
芙蓉を席に戻し、ジャミは円卓の上に寝転んだ。
「久しぶりだな、ジャミ、噂は聞いてる、すごいな。」
「感心する事か……そもそも今までどこに。」
「まあまあ、そーゆーのは置いといてさ、うーん。完結に言うと僕も混ぜて」
ジャミが笑う
「何を言ってんだよお前。コレは遊びじゃ」
「というかもう。混ざってるんだけどね。」
呆れたような芙蓉を遮るようにジャミは口をひらき、よいしょ、と円卓の上に立つ。
「ルベライト、ターコイズ、オーピメント。この3つに新しい勢力が登場〜っていうわけ。勿論リーダーは僕。そしてその勢力が"クオーツ"……つまり無色だね。」
「まてまて、全く話が見えてこないぞ」
ペラペラと話すジャミに頭を抱えながら紅蓮が問う。
「クオーツは3勢力のどこにでもいるよ。今は数人だけど。目的は監視、統制によって抗争を阻止すること」
「……監視そんな必要」
「念には念を。だよ、と言いたいけど。この間の大きな抗争を仕掛けたのは芙蓉兄さんじゃなくてクオーツ。」
「つまんない冗談やめろよ」
「つまんないのは兄さん達だよ。」
笑顔だったジャミがすっと真顔になる。
「平和はつまんない。つまんないからさあ、昔みたいに。遊ぼうよ。ここで。東京で。」
「ジャミ……さっきから言ってる事がめちゃくちゃだぞ」
紅蓮はずっと頭を抱えている。
縹と芙蓉は睨んでいる
「神様気取りか」
「あは、僕は人間だよ。兄さん達の弟。家族。」
「まあさ、そういう事だからよろしくね、兄さん達。」
円卓からひょいっと飛び降りて帰ろうとするジャミに
「……1つだけ聞いていいか」
と縹が口を開く
「なあに」
「先生が銃殺された。あれもお前が……」
「え何それあは」
ジャミがわざとらしくとぼけるので痺れを切らした縹がジャミに掴みかかる。
ジャミは優しい笑顔で縹の下腹部にカチャリと銃口をあてる
「僕ね、皆が居なくなったあと、先生に殺されかけたんだ。何回も。何回も。何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も。嘘じゃない。」
縹がつかみかかったた手を離すとジャミは銃をおさめてチョーカーを外す。
刃物で切りつけられた古い痕が刻まれていた。
「僕を養子にしてくれたおじさんに言ったらさ、そんな奴殺してしまえって。殺せば僕にここをくれるって。別に信じなくてもいいよ。でも、殺す動機にはなってるよね。先生の事は許してくれる縹兄さん」
「わ……からない……」
「つまりココで、神様ごっこがしたいから先生を殺した。ってことだよ」
動揺している縹に芙蓉が言う。
チョーカーをつけ直してあからさまに不機嫌そうになるジャミ
「それでいいよ。好きに捉えて。めんどくさい。じゃあね。帰るから。やな事思い出しちゃったなあ」
引き止める声。罵声を聞き流して部屋を後にしたジャミは三島に声をかける。
「さんちゃーん。終わったよ」
「お疲れ様です」
「今日。ご飯いらないや」
「……分かりました。」
ジャミが出ていった後3人の空気は最悪だった。
芙蓉 縹と順に無言で出ていく
1人残った紅蓮は久しぶりに泣いていた。