高梨くんと持田さん2「俺は持田宏希。ま、分かんないことがあったら聞いてくれたらいいから」
ここは、簡単に言うとゲーム会社。
海外発のゲームで地域ごとに運営会社があり日本支社として
20年近く続いているMMORPGの運営をしている。
と、言っても俺はそこの一スタッフでしかないが日々充実している。
高校の時、このゲームにはまり自分も未だやっているファンの1人でもある。
大変のことのほうが多いが好きな作品に携われるのは正直、嬉しい。
とは言え、新人を教育する係にも抜擢されてしまいここ最近は
指導、教育に日々に追われている。
そして、今回。
最も相性の悪そうな奴に当たってしまった…。
高梨充。新入社員5人の中で飛びぬけて背が高く、いかにも皆と仲良く
皆から好かれます!と言わんばかりの整った顔でにっこり笑っている。
一方、俺は大人数で群れることがあまり好きではなく1人のほうが
楽だしちょっとめんどくさいとさえ思うタイプである。
ゲームではボイスチャットで仲間でわいわい言いながらやるのは
好きなのだがリアルはそうでもない。
別にコミュニケーションがとれないということでもないが
特別仲良くする必要もないかなと思っている。
だから、キラキラしている奴をみるとなぜかちょっとむかつく。
しかも、俺よりも身長が高くて不愛想に振舞ったつもりだが、妙に
気に入られたような、、距離が近く目を合わせてキラキラさせてくる。
「だから、近いって」
「す、すいません、先輩」
何って、近くに寄られると俺との身長差が目立ってまわりの女性たちから
笑われる・・・それが腹が立つ。
なぜか、俺の所属している部署の女性陣は皆、俺より背が高い。
ま、ぶっちゃけ言うと「身長体格コンプレックス」なのである。
昔から、かわいい、ちび、女の子みたいと言われ続けて27年。
これらのワードが飛び交えば俺を正気で居られない。
だから、高梨の上から目線でニコニコとされると
「先輩、ちっちゃいですね」と言われるんじゃないかとヒヤヒヤしている。