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    kazuneko_611

    @kazuneko_611

    どうにもならない子達の行き場……になる予定

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    kazuneko_611

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    これは書いたけどあげる勇気がなかった黒曜birthday

    黒曜birthday……朝起きて部屋の時計を確認すれば
    針はもう13時頃をさしていた
    いくら休日だと言ってもこの時間まで寝てしまうと
    少し罪悪感というか時間を無駄にした感がある
    最近は忙しかったからバイクでどこかへ出かけようかとも考えていたが、睡魔に負けて二度寝した記憶がうっすらとある。
    それに窓の外からは止む気配のなさそうな雨の音が聞これる。
    これじゃ出かけるのは難しいよな…
    家のテレビには録画しといた映画が何本か溜まっている
    それを消化するのもいいかもしれない…
    というかまずは腹が減った。朝も昼も食べていないことになるからさすがに何か腹に入れたい
    そう思ってベッドから起き上がり、部屋を出ると
    キッチンの方から物音がする
    すると突然、水色の頭がヒョコっと出てきて
    楽しそな顔した晶と目が合う。

    「おはよう、お寝坊さん」

    「…はよ」

    「腹減ったんだろ〜?」

    「おう…」

    「さすがオレ!そろそろ起きてくんな〜って思って準備してたら見事的中!顔洗って座って待っててね〜」


    アイツに指示されるのは少し納得いかないが、今回は俺が普段のあいつのように起きなかっただけだから、あいつからしたら飛んだ八つ当たりだと思って大人しく洗面所へ向かう
    というかやけに上機嫌だなあいつ

    リビングへ戻れば、既にテーブルの上にはいくつかの料理が並べられていた。
    いつもは、俺が作る担当だから、起きてすぐに
    食べることが出来るのは少し新鮮だ

    「ほいどーぞ、めしあがれ〜」

    「ん、いただきます」

    「ふはっ、オレお前のそうゆうところ大好きだよ」

    「は?」

    「んーや、ほらほら早く食べてよ
    珍しくオレが作ったんだよ?」

    「お前は?」

    「え?」

    「昼飯、食わねぇのか」

    「あ〜、考えてなかった
    つまみ食い沢山したし大丈夫かなぁ」

    「そうか…」

    晶は俺の前に座って俺が食べるところを眺めている
    一緒に食べたかった。なんて絶対に言えない
    そんなとこ言ったら確実にめんどうなことになる
    いや、それは言い訳かもしれない
    ただ、自分の中のクソみたいなプライドが
    邪魔をしているだけかもしれない
    そんな脳内会議を開きながら晶の料理を口に運ぶ

    視線がうるさい…

    ちらりと晶をみると
    テーブルに肘をつき手のひらに顎を乗せながら
    嬉しそうにこちらをみる晶と目が合った

    「こくよー、今日何の日か知ってる?」

    「?…なんかあんのか?」

    「はぁ〜、、、やっぱりな、今日は黒曜の誕生日でしょ?」

    「あー…そうか、今日か…」

    すっかり忘れていた、
    だから今日の晶は上機嫌なのか
    なんだか去年もこんなやり取りをした気がする

    「まぁ、今年は忙しかったから仕方ねぇよ」

    「なぁにが仕方ないだよ
    去年もこんな反応された気がするぅ」

    そういうと突然晶は席から立ち上がり、俺の足元に膝を着いてズボンのポケットから黒いブレスレットのようなものを取り出した。

    「黒曜、足かして」

    「?…おう」

    晶の方に足を向ければ、晶は慣れた手つきで俺の左の足首にそれをつける、そして俺の足の甲にキスをする。

    「誕生日おめでとう黒曜」

    「コレ誕プレ。アンクレットってやつ」

    「なんで足首なんだよ」

    「ん〜、だって首はドッグタグで腕だと外す時間の方が長いしょ?ピアスは去年あげたでしょ?だから」

    「ふーん」

    「別にずっと付けててくれなんて言わねーよ
    オレの気持ちってこと」

    「気に入ってくれた?」

    「おう、サンキュ」

    「よかったよかった」

    「ま、そう言うことだから今日はたくさんお願い言ってよね、叶えたげる」

    そう言った晶は、さっき俺が考えていたことをまるでわかっているかのような顔をしながらニヤリと笑った

    「……」

    「ありゃりゃ、だんまり?」

    「なんかあるかな〜って思ってたんだけど?」

    「……わかってんなら言わせんな」

    「いたたたたた!ごめんって!頬っぺつねないで!!」

    コイツのこういうところが嫌いだ
    なんでもお見通しってか
    なんなんだよ…
    晶の右頬をから手を離せば「いてて…本当力強すぎ…」なんて言いながらキッチンに入る
    そして既に皿に乗っている料理を運んでくる
    なんだよ、お前自分の分作ってんじゃん
    最初から食う気だったんだな…
    なんだか今日はずっと晶のペースな気がする
    それを悪くないと感じてしまう俺がいることに腹が立つ

    結局2人で昼飯を食べる
    『お願い』ね…
    こうやって一緒にメシ食ったり、ただ隣にいてくれるだけ俺は満足なんだが…
    晶が待ってる答えがそうゆうものではないのはわかっている。
    もっと具体的なものなんだろ
    具体的な…

    「晶」

    「なぁに?」

    「今日、、」

    「ん?」


    言葉が詰まる
    今日はお前とずっと家にいたい
    その一文が言えない
    下を向き言葉をしぼりだす


    「今日…は、」

    「うんうん」

    「……お前と、…」

    「オレと?」

    「ぁ、晶と……ずっと、家にいたぃ……」

    なんでこんな事も普通に言えないのか
    自分でも不思議に思う
    こんなにも面倒な俺のそばに居てくれる
    晶のことも不思議に思う
    なかなか晶の返事がないので顔を上げて見ると
    さっきとは打って変わって
    少し驚いた顔をしていた。

    「なんだよ…」

    「それが黒曜のお願いなの?」

    「そうだよ、、なんか文句あんのか」

    「いーや、ただお前ホントにかわいいな」

    「意味わかんね、今のどこに可愛い要素があるんだよ」

    「2人でずっと家にいたいなんてお願いのうちにはいらないよ」

    「じゃあ、どんなのがよかったんだよ…」

    「オレはもっとえっちなお願いくるかなーって思ってた」

    「お前と違って変態じゃねぇんだ誰がそんなお願いするかよ」

    「ひどーい!てか、なんやかんやで楽しんでるお前も対して変わr、痛い痛い痛い頬っぺつねないでって!!!」

    「痛いなぁ、ほんとに…」

    「お前が余計なこと言うからだ」

    「はいはい、オレが悪ぅございやした
    それじゃ、今日はこれ食い終わったら、溜まってた映画でも消化するか!」

    「ん、そうする」

    ――

    テレビの前のソファに座って録画リストを漁る
    どこから消化していこう…
    時間はあるしどれでもいいか
    ふと晶の方を見ると、隣でスマホをいじっていた。
    すると、突然スマホの画面をオレの前にズイッとだして
    ある写真を見せてきた


    「みてみてーこくよー」

    「うぉ、なんだよいきなり、」

    「いーからコレ見て!」

    その写真に写っていたのは
    誕生日プレゼントと思われる箱を嬉しそうに抱える赤髪の少年と、その少年の頬に楽しそうにキスをする水色の髪色をした少年の写真だった
    写真左上には2001年4月20日と表示されていた

    「すげー昔じゃね?」

    「なんかこの機能何年前の今日はこんなことしてます〜みたいなのをやってくれるんだけどさー」

    「そんな昔の写真がお前のスマホに入ってるのが不思議だな」

    「ひどっ!一応お前の恋人だからな!?」

    「別に悪い意味で言った訳ではねぇよ」

    でも確かにコイツの写真ホルダーには
    女とのツーショが多かった記憶がある
    その中にこの写真があるのは少しくすぐったい
    感じがする

    「これお前の何歳の誕生日?」

    「2001年だから7ぐらいか?」

    「ふ〜ん…」

    次にこいつが言う言葉はわかってる
    もう、誰だって予想が着くだろう

    「ねぇ、今年はs…ッんむ!」

    晶が言うよりも早く俺は晶の顎をとっつかんで
    らんほのキスをした

    「ハッ、すげーアホズラ」

    ポカンとした顔をした晶を煽るように笑えば
    晶の目がキラリと光り俺と同じように笑った

    「やったな」

    その瞬間晶は勢いよく俺を押し倒してキスをした
    短いキスを何回も繰り返す。それを焦れったく思って小さく口を開けば、晶の舌が入ってくる。
    あつい舌を絡めれば、くちゅりと音を立てる。口蓋をなぞられて思わず息が漏れる。息をする間もなくキスをされるせいで頭が回らなくなる。だんだん息が苦しくなってきて晶の背中を叩く。口を離せば糸を引く。
    微かにテレビから音が聞こえる気がするが、すぐに聞こえなくなる。乱れた息を整えると、晶は言った


    「黒曜、続きどうする?」


    まただ、なんでもわかってる様なこいつの目
    答えなんてわかってんだろ

    「…ッいわせんな」

    「今日2回目だねそのセリフ」

    「……」

    「ベッド行く?ここでいい?」

    「ここで、いい…」

    「りょーかい」



    映画はBGMと化し
    外の雑音は雨音がクリアにする
    そこはもう2人の世界だった。




    END
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