ネ「お前岩水先生と付き合ってんの?」
黒「……は?」
ネ「この前キスしてたでしょ、放課後、西階段で、」
出し遅れたプリントを提出しようとオレは放課後の静かな廊下を足早に歩いていた。
外からは蝉の声が聞こえていて、窓からはオレンジ色の夏の西陽が容赦なく降り注いでいた。
黒曜のやつ、もう帰っちゃったよなぁ…
あいつといる時間は特段楽しい。それが友情の域を越している事は自覚していた。しかし、認めるにはまだ早い。きっとこの気の狂いそうな暑さのせいだ。と邪な感情を振り払うように心に言い聞かせていた。ふと通りかかった階段に先生がいた。そして黒曜も。
二人は階段の踊り場で何か喋っていた。
「なぁんだお前も出し忘れ?」なんて声をかけようとしていたその時だった。先生は黒曜の頭を優しく撫でたあと少しかがんで黒曜にキスをした。
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