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    nezuno

    @nezuno
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    nezuno

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    ポケマスにユウリちゃん実装決定後、ガチャ祈願でかいたポケマス時空のふわっとしたお話
    ユウリちゃんとメイちゃんがお話しているだけですが、ホプユウ前提
    カプというほどの絡みはないのでタグ無しで

    身じろぎをした拍子にベッド……ではなく、硬いベンチから転げ落ちそうになって慌てて飛び起きる。
    『ようこそポケモントレーナー、そしてバディポケモンのみなさん。ここは人工島パシオ』
     頭の上のスピーカーが繰り返すアナウンスでここが何処だったのかようやく思い出した。
     そうだわたし、ホップと一緒に水上バスに乗ってパシオに向かっていたんだった。座席に並んで二人で一冊のガイドブックを覗き込み、どこに行こうか、どんなトレーナーに会えるかな、なんてお喋りに夢中になっているうちに眠ってしまったんだろう。あたりの様子をみるに、ここはパシオの船着場のようだ。でも、どうにもバスから降りた記憶がないし、ホップともはぐれてしまったようだ。腰掛けたベンチの小脇にはさっきまで枕がわりにしていた荷物で膨れ上がったお気に入りのレザーボストン。足元には呆れたように「わふ」とため息を溢すザシアン。きっと眠りこけているわたしの代わりに荷物の番をしていてくれたのだろう。
     左手に妙な違和感がある気がして、空に広げた手をかざしてぼんやりと眺めてみるけどいまひとつ思い当たらない。
    「こんにちは、ポケモントレーナーさん! あなたはどこの地方から来たんですか?」
     広げた掌の向こうに、空より深い青い目をした女の子がとつぜんひょっこりと現れたので、寝起きのぼんやりもたちまち吹き飛んでしまう。ザシアンは耳をピコン、と立てて鼻を何度か鳴らしたあと、またその場に伏せて寛ぎはじめる。彼女が警戒していないところをみると、きっと悪い人ではないのだと思う。それにしても、わたしと似たような栗色の髪で大きなお団子ヘアー、どこかでみたような気がして仕方ない。
    「こ、こんにちは。あたしユウリ。友達といっしょにガラルからきたんだけど、どこかではぐれてしまって……。あなたもポケモントレーナーさんですか?」
    「もちろん! この島にいるのはみーんなポケモントレーナー、夢みたいですよね! 今日は人を探しに来たんだけど、新しいトレーナーさんに会えるなんてラッキーです。あたしはイッシュ地方のメイ!」
    「イッシュ、メイ、さん……、そうだ、思い出した! 前にホップとみたポケウッド映画の主演女優さん!」
    「女優さんだなんて! ポケウッドは誰でも主人公になれる夢のステージなんですよ。でも嬉しいなぁ、あたしの映画が海を越えてガラルまで伝わってるなんて」
     メイさんは青い瞳をきらきらさせながらうっとりとしている。あれ、でもあの映画を見たのは旅に出るよりずっと前、わたしもホップも今より小さかったころだの事だ。それなのに、映画の中で役を演じていたメイさんと目の前にいるメイさんはそう変わらない年ごろに見えた。ベンチから立ち上がってみても、背丈だってわたしとほとんど同じくらい。映画をみたとき、正義のヒロインを演じるメイさんはずっとお姉さんに見えたのに。
    「ふふ、ここではよくあることなんです」
     わたしの訝し気な表情に気付いたのか、メイさんが青い目を細めて微笑み、内緒話をするように唇に人差し指を添える。
    「たぶん、この島は幕が下りれば消えてしまう舞台、いつか終わる夢のうつし絵みたいなものだと思います。だからみんな、それぞれがめいっぱい輝ける姿でこの島に立つんです」
     お芝居の台詞を諳んじるみたいに、メイさんはふわりとステップを踏む。するといつの間にか姿を現した緋色の切れ長な目をした大きな蛇みたいなポケモンがその周りをくるりとまわりはじめ、まるでダンスをしているようで視線を奪われてしまう。
    「違う時代に生まれたはずのトレーナーが歳の近いライバルになったり、同い年だったはずの友達が先に大人になっていたり、ここでは不思議なことが起こるんですよ」
     タンッ、とかかとを鳴らしてメイさんがこちらを向き直る音でふわふわしていた意識が現実に引き戻される。
    「でも、そんなことみなさんぜーんぜん気にしません! ここには強いトレーナーさんが集まっていて好きなだけバトルできるんです! それだけわかればだいじょうぶ! あなた、強いですよね。あたしの目はごまかされませんよ!」
     メイさんは映画の話をしているときよりずっとぎらついた眼差しでぐぐっと顔を寄せてくる。彼女が連れているポケモンも、ザシアンに興味しんしんな様子で互いに涼やかな眼差しを交わしている。
    「さぁさぁ! あっちに広い場所がありますから、さっそくバトルしましょう!」
    「え、え、でもあたしホップを探さなきゃ……! それにメイさんだって人を探してるって」
     有無を言わさず腕を絡めて引っ張られるものだから、わたしは慌ててバッグを背負いなおす。戸惑うわたしをよそに、ザシアンは気合充分という様子で立ち上がり、高らかに鳴き声を上げる。
    「だいじょうぶ! セントラルシティの一番大きいポケモンセンターにだいたいみんな集まってきますから、バトルが終わった後そこにいけばそのうちユウリの友達にもあたしの待ち人にも会えますよ。それと、あたしの事はメイって気軽に呼んでくださいね!」
    「うん、よろしく、メイ!」
     メイに促されるままにバスターミナルのベンチを後にする。ホップのことも気になるけど、わたしだって初めて見る彼女のポケモンが気にならないといえば噓になる。何タイプかな、どんな技を使うのかな。ホップだったらたくさん勉強しているから、よその地方のポケモンのこともわかったかもしれないんだけど。
     相変わらず妙に軽い気がする左手が気になるし、何か大切なことを忘れている気がするけど、初めてみるポケモン、遠い地方のトレーナーとのバトルという魅力には抗えなかった。スマホだってあるんだし、メイの言う通りきっとすぐにホップに合流できるに違いない。
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    nezuno

    DONE2021年一作目
    とくに季節ネタではないです
    食いしん坊ユウリちゃんのよくわからない悩み事に付き合ってくれるホップのお話です
    推しポケモンと推しカプを並べたかったやつです
    「こんなことホップにしか頼めないの……!」
     バトル以外では普段マイペースなユウリが珍しく差し迫った表情でそんな言葉を口にしてすがってくるのを断る理由などあるわけがなかった。ライバルが困ってるとき力を貸すのは当然だぞ、なんて耳触りの良い言葉で二つ返事したものの、内心はユウリが困ったときに最初に頼るのがアニキをはじめとするリーグ委員会の大人たちや、他のトレーナーの誰でもなくオレだという事実に安堵とほんの少しの優越感を感じていた。
     だからどんな頼み事だって聞くつもりでユウリに言われるままに研究所の表に出て目にしたのは、彼女の苦悩の表情とは裏腹にのんきな光景だった。
    「ヤドンか。こっちは、ガラル以外の地方で見られる姿だな」
     生息地域ごとの環境や生態系の違いによって同じ種のポケモンでも姿やタイプが変化する、学術的にはリージョンフォームと呼ばれてる現象だ。ガラル以外の地域でみられるヤドンは──個体数でいえばこちがのほうが一般的な姿と考えられるだろう──のぼせたみたいな全身ピンク色で、しっぽの先だけが白い。ガラルのヤドンは額から頭部にかけて、それからしっぽがカレーみたいな黄色になっている。この 3326

    nezuno

    DONEポケマスにユウリちゃん実装決定後、ガチャ祈願でかいたポケマス時空のふわっとしたお話
    ユウリちゃんとメイちゃんがお話しているだけですが、ホプユウ前提
    カプというほどの絡みはないのでタグ無しで
    身じろぎをした拍子にベッド……ではなく、硬いベンチから転げ落ちそうになって慌てて飛び起きる。
    『ようこそポケモントレーナー、そしてバディポケモンのみなさん。ここは人工島パシオ』
     頭の上のスピーカーが繰り返すアナウンスでここが何処だったのかようやく思い出した。
     そうだわたし、ホップと一緒に水上バスに乗ってパシオに向かっていたんだった。座席に並んで二人で一冊のガイドブックを覗き込み、どこに行こうか、どんなトレーナーに会えるかな、なんてお喋りに夢中になっているうちに眠ってしまったんだろう。あたりの様子をみるに、ここはパシオの船着場のようだ。でも、どうにもバスから降りた記憶がないし、ホップともはぐれてしまったようだ。腰掛けたベンチの小脇にはさっきまで枕がわりにしていた荷物で膨れ上がったお気に入りのレザーボストン。足元には呆れたように「わふ」とため息を溢すザシアン。きっと眠りこけているわたしの代わりに荷物の番をしていてくれたのだろう。
     左手に妙な違和感がある気がして、空に広げた手をかざしてぼんやりと眺めてみるけどいまひとつ思い当たらない。
    「こんにちは、ポケモントレーナーさん! あなたはど 2361