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    nezuno

    @nezuno
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    nezuno

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    恋がわからないユウリちゃんとお試しでキスしてみるホプユウのお話 in研究所
    ソニアさんを添えて

    #ホプユウ
    Hopscotch (Hop/Gloria ship)

    恋焦がれサマープディング


    「ホップと付き合ってるの? って最近よく聞かれるんだけど、よくわかんないんだよね」
     ソニアは自分を褒めたくなった。「ここ研究所(しょくば)なんですけど?」「あたしも居るんですけど」「それ、本人に聞いちゃうんだ!?」という瞬時に脳内を駆け巡った叫びを口には出さなかったからだ。
     ちょっと確認したいことがあって、と差し入れを片手に研究所を訪れたユウリ。天気の話をする程度の気軽さで繰り出した言葉で、場の空気が一瞬固まるものの、当のユウリは気付く様子がない。
     ここが研究所であることに関しては、まぁ、休憩時間であること、そして差し入れに頂いたユウリママお手製のサマープディングに免じて許しましょう。
     しかしながら、ホップ本人もいる場でいきなりこの話題はいかがなものだろうか。男友達の誰が気になる、とか、付き合う付き合わない、だとか少女にありがちな話題はいきなり本人に直球で蹴り込んでいくものはないはずだ。例えば同世代の女子同士の内緒話のようなそういう機会に──
    「マリィやシャクちゃんにも相談したけど、ホップと話し合ってみたら、って言うばっかりで解決しないし」
     どうやら、既に試みてはいたようだ。先に相談を受けたティーンの少女たちは、友人とはいえ第三者が口出しするのではなくユウリが自覚するべきだと結論付けたのだろう。
     バトルに強いトレーナーあるある、というやつなのだろうか、ユウリは良い子なのだけどバトルとポケモンとカレー以外にはとことん疎い。「これ」と決めたことはとことん突き詰めるが、その分、他の事にまでは意識が回らないらしい。
     そんなユウリだから、いっそ本人同士ぶつけてみたほうが手っ取り早い、という考えもわかる。が、巻き込まれるこちらの身にもなって欲しい、とソニアは頭を抱える。
     切り分けたプディングの皿の上、ベリーのシロップがたっぷり染み込んだ赤い食パンをフォークで刺しながらホップを横目で見る。平静を装って相槌を打ってはいるが、丸いカシスにコロコロと逃げられて、空のフォークを口に運ぶという意味のない動作を繰り返している。これは助け船が必要なやつだわ、とソニアは覚悟を決めた。
    「最近、よく聞かれるっていうのは……、具体的に誰から?」
     半分放心していたホップがようやく口を開き、途切れ途切れになりつつも尋ねる。
    「メディアの取材とか、ファンの人とか。取材は面白い返事できなかったらカットされるんだけど、ファンへの返事が……」
     悩みのせいか、口に運んだブラックベリーが酸っぱかったのかきゅっと顔を顰める。
    「それで何て返事を?」
     ソニアが促す。
    「お付き合いとかそういうのはわかんないけど、ホップは一番大切な人です、って」
     大切な人、の前にはライバルとして、友達として、という言葉が含まれているのだが、ユウリにとってはあまりにも当たり前の事ですっかり省略してしまっている。
    「ファンの人、泣きそうな顔になったり怒ったりしてどっか行っちゃうから、返事としてダメだったのかなって」
    「そのファンの人ってさ……、女の子」
    「うん」
     それは、ファンはファンでもホップのファンなのでは、とソニアは遠い目になる。「あんた彼の何なのさ」と揺さぶりをかけたつもりが、チャンピオンスマイルでそんなことを言われたら勝利宣言にしか聞こえないだろう。
     ライバルとして、という意味だったとしても、スタートーナメントでのホップの「オレがユウリの最初のライバル」アピールをみていれば誰も入り込む隙間が無いことは明らかだが。それはファンの子だって泣きたくもなる。
     取材の方も、拡大解釈したゴシップ記事にされたって不思議ではないのだが。案外ユウリ本人の与り知らぬところでリーグ委員会あたりが釘を刺しているのかもしれない。
     有象無象の苦労などつゆ知らず、ユウリは頭の上に疑問符をいくつも飛ばすばかりだし、ホップは満更でもない様子で「一番大切な……」と口の中でもごもごと繰り返しニヤつきそうな頬を隠している。
     いっそのこと、さっさと結ばれてくれた方が世界平和のためになりそうなくらいだ。

    「ソニアさんはどう思う?」
     意外なことにこちらに質問を投げられる。どう思うと問われても、何がわからなくて何を解決したいのか、ソニアにもさっぱりだ。
     ユウリが自分自身で解を導くことができないから、方々に相談したのだろうけど、まずは彼女の「わからない」を紐解くしかない。学びを得るにはまずは無知を知る事だと、祖母もよく言っている。
    「そもそもさ、ユウリは何がわかんないわけ?」
    「付き合うって恋人同士ってことだよね? まず、恋がわからない」
    「恋かぁ」
     最後の一切を口に運び、うんうんと頷く。甘酸っぱい。アイスティーとの相性も最高だ。
    恋愛相談の報酬としてユウリママからサマープディングのレシピを聞いてもらえないか、後で交渉してみよう、とソニアは舌鼓を打つ。
    「恋って、ドキドキしたり不安になったり、胸が苦しくなったりするんでしょ?」
    「ユウリはそういうの、ないの?」
    「ホップと一緒にいるとき? うーん……、今日はどんな冒険になるのかなぁってドキドキワクワクするのはいつもだけど、苦しいっていうのはわかんないや」
    「そっかぁ」
    「だから、ホップのことは好きだけど、恋じゃないと思う!」
     満面の笑みで宣言され、ホップがカラリとフォークを落とす。つい先ほどまでユウリの言葉に嬉しそうにしていたというのに、これでは天国から地獄だ。何しろ、密かに思いを寄せている相手にまだ告白してもないのに振られたのだから、堪ったものではないだろう。
    「むしろ逆に、ホップと一緒なのが一番しっくりくる感じ! 顔を見るとほっとするし、二人でいると何でもできる気がする!」
    「それは、もう」
     恋とすっとばして、愛じゃん。と言いたくなる気持ちをぐっと抑える。お隣さんの立場に甘えて距離を詰め過ぎた結果、ドキドキする時期をとばして一緒にいるのが当たり前になってしまった、というやつなのか。これはホップにも原因がある気がするけど、肝心の本人はショックのあまり聞こえてなさそうだ。
    「ホップも同じだよね」
     ねー、とにこやかに話題を振る。無邪気なことにユウリはホップも自分と全く同じ気持ちだと思い込んでいる。ドキドキだとかトキメキではなく、一緒にいるのが当たり前で、安心できる存在なのだと。
     だが、ソニアは知っている。今日、ユウリが研究所を訪れるという連絡を受けてから、ずっとソワソワと過ごしていたホップを。ユウリとお茶をする時間を作るために大幅にペースアップして仕事を片付け、自分のデスク周りを整頓して、ダイニングテーブルをピカピカに磨き上げる。外は暑いだろうからと、水出しアイスティーを準備し、最後には鏡を覗いて身だしなみチェック。
     これがドキドキしていないというなら何なのだろうか。
     彼女が到着する頃には、涼しい顔をして学術書と向き合い「さっきまで勉強してたぞ」みたいな顔をして出迎えるものだから、ユウリが気付かないのも無理はないのだが。
    「ユウリはさ、恋人同士ってどんなことすると思う?」
     そう尋ねるホップの落ち着きとにこやかさが逆に不穏だ。「恋じゃないと思う」という非常に不味い結論のまま話が流れていきそうで、破れかぶれになっているようにさえ見えるが、ユウリは気付かない。のほほんと自分の分のサマープディングを味わいながら首を傾げて思案する。
    「デート、とか……?」
     もごもごと言葉を返すユウリ。
     最近は女の子の友達が増えて恋愛やファッションの話題にも興味を示すようになったユウリだが、旅立つ前はホップと一緒にバトルや冒険にばかり思いを馳せていたわんぱく少女だ。
     自分から話題を出したくせに、いざ具体的にイメージしてみると気恥ずかしいらしい。
    「うんうん。二人で好きな場所に出かけたり、食事したりするんだよな。他には?」
    「メッセージアプリで毎日お話したり……って、あれ? いつもホップとしてるね!?」
     慣れない事を熟考したせいか、目を回し始める。ホップの方は「手応えあり」みたいな表情で満足気だ。
    「あたしとホップは……すでに付き合ってた……? 次からは取材でそう答えたほうがいいのかな!?」
    「まって。炎上するから。リーグ委員会の人困るから」
     チャンピオンはアイドルではないので、恋愛禁止というわけではないけど、流石にいろいろ不味い。とばっちりで研究所の電話とお問い合わせフォームもパンクしかねない。
    「落ち着けユウリ」
    「落ち着かなくさせたのあんたでしょうが」
     何でもない顔をしてもホップの方もいっぱいいっぱいなのだろう。
     それだけデートを取り付け、お互い忙しい日々でも連絡を絶やさないのに、今の関係に甘んじていたのは、それがホップにとっても心地良いものだったのだろうし。それを先に混ぜっ返してきたのは冒頭のユウリの相談、というわけだ。
    「あれ……でも一緒にでかけるのは他の友達ともしてるような?」
     他の友達、という言葉にホップの眉がピクリと動いたのに焦りが見える。彼女が社交的で人懐っこいのは今に始まった事でもあるまい。普段は慎重すぎるくらいのホップも、ユウリの暴走に巻き込まれるとすっかりペースを乱されてしまうようだ。
    とくに、恋愛というものは事前の勉強やマニュアルでどうこうできるものではない。ユウリのような型破りな相手ならなおさら。完全に相性不利、といったところだ。
    最初は「研究所でなんて話してんのよ」と思っていたソニアも内心、面白くなってきた──否、微笑ましく成り行きを見守っている。
    「じゃあ、恋人と友達の違いは? 恋人とだけする事って、何だと思う?」
    「えっと、き、キス……とか……」
    「実験してみよう」
    「実験?」
    「オレとオマエがキスできたら恋人同士、出来なかったら友達ってことで」
    「なるほど……!?」
     なるほど、で納得してしまって良いのだろうか。二人ともファーストキスだろうに。
    「はいはい、お姉さんのことはお構いなく」
     ここで!? というツッコミなんてもうあきらめた。両手で目を覆い隠して見てませんアピールをするが、もちろんポーズだけ。ここまで巻き込まれたのだから、指の隙間からちゃっかりしっかり見届けさせてもらおう。
     がたり、と椅子を引いて席を立つホップ。ろくに喉を通らなかったのだろう、目の前の皿にほとんど残ったままのプディングを置き去りにしてユウリに歩み寄る。
    「無理そうだったらちゃんと言えよな?」
    「わかった!」
     妙に力が籠った返事は今から口付けを交わす、という甘やかな空気ではない。ホップが緊張しているのは見るまでもなく上ずった声で丸わかりだが、ユウリの方は「キス」という未知の領域に好奇心がくすぐられて仕方ない、という目をしている。
     座ったままのユウリがホップを見上げるような形になる。添えられた手にくすぐったそうに、嬉しそうに頬を擦り寄せる。それに他意がなさそうで、余計に質が悪い。そんなことをされたら「実験でキスしようとしてる」なんて突飛な思いつきから正気に戻るどころか、余計に血が上るばかりだろうに。
    「いくぞ……?」
     言葉と共にホップが身をかがめる。ユウリはそっと目をふせるけど、ベリーのシロップが赤くにじんだ唇はしどけなく開かれている。初めてのキスのやり方すら、少女はまだ知らない。
     これ以上は流石に無粋、とソニアも両手を覆った目を閉じた。
     トレーナーとしては一人前だとしても、まだ幼さが残る二人だ。上手くいかなくて拗れたときの仲裁くらいはしましょうか、などと考えながら、しばしの沈黙を耐える。

    ──ゴッ

     硬いものがぶつかったような音に目を開くと、それぞれ自分の口元を手で覆って「いひゃ……」「ごめ……」とか言い合っている二人の姿が。
     ユウリが焦れて急に顔を上げたか、ホップの気が急いて間合いを間違えたのか、あるいはその両方か。ファーストキス、というよりは衝突事故の現場という有様だった。
    「ユウリ、唇とか切らなかったか?」
    「わかんない……見てみてー?」
     あー、と口を開けて見せる距離は先ほどと同じような近さだが、もはやムードもなにもあったものではない。
    「切れては、なさそうだ。ほんと、ごめんな……」
     ホップは流石に頭が冷えた様子。
    「ホップも痛かったでしょ? 気にしないでよ。それよりも」
     しかしユウリはタフだ。瞳を爛爛と輝かせ、ちっともめげない、くじけない。
    「さっきのは痛くてわかんなかったし、もう一回──」
    「ダメ」
     一蹴され、ユウリは口を尖らせ不満の声を上げる。
    「なんで?」
    「オレがドキドキしすぎてるから、もうダメ」
    「えー……嘘、」
     ホップがユウリの頭を胸に抱え込むように抱き寄せ、言葉は途切れる。
    「な?」
     ホップの顔は耳まで真っ赤だけど、抱きしめられているユウリにはきっとわからないだろう。それでも、至近距離から伝わる鼓動が全てを物語っている。
    「わぁ、ホントだ……。すごく早い。ホップ大丈夫なの?」
    「大丈夫じゃない。それに、今だけじゃなくてずっとドキドキしてた」
    「ずっと?」
    「二人で出かけてるときも、食事してるときも、一緒にトーナメントを勝ち抜いたときだって、道場でユウリが帰ってくるの待ってたときだってずっと」
    「そんなの、全然知らなかった! ホップ、いつも通りだったし」
    「平気なふりしてただけだぞ。一人で舞い上がって、格好付かないだろ?」
    「恋って、二人とも同じ気持ちじゃなくてもいいのかな?」
    「んー、どうだろ。オレにもわかんないや。でも、本にも書いてあったぞ。『別の生き物だから、生態も考え方も気持ちも違う。だからこそ、一緒に過ごす事で世界が広がる』って」
    「それってホップが貸してくれたポケモンの本の話でしょ」
     ホップが諳んじたのはトレーナーとポケモンの付き合い方を題材にした有名な文献の一説だ。確かに、人と人の関係性にも通ずるところはあるかもしれない。
    「それに、ちゃんとユウリと同じ気持ちもあるぞ」
    「同じ気持ち?」
    「ユウリと一緒なら、何でもできるし、何処までも行ける気がする! だから、ドキドキしても苦しくても一緒にいたいって思うんだぞ」
     されるがままホップの胸に収まっていたユウリが、巻き付いていた腕をぽん、ぽんと叩く。
    「ま、まって、離して……」
    「ごめん、きつかったか?」
    「そうじゃなくて、ホップのドキドキ、うつったかも……」
     のろのろと重たそうに上げた顔はカジッチュ色に染まっている。
    「胸もなんかきゅーってなって苦しい……ホップはいつもこんなだったの?」
    「どうかな、オレのドキドキとユウリのドキドキが同じかどうか、わかんないよな」
     ホップがいたずらっぽく笑うと、ユウリは飛び上がってリュックを引っ掴む。
    「かっ、帰ります……ドキドキするから、帰ってもう寝る!」
     つむじ風でも起こしそうな勢いでバタバタと玄関を飛び出して行くと、何事も無かったように研究所には静寂が戻る。

     ホップはダイニングテーブルの自分の席に戻ると、氷が溶けきったアイスティーを飲み干して、少し温くなり始めたサマープディングに向き合う。
    「あ、レシピ聞きそびれた。ねぇ、あんたは追いかけなくて大丈夫なの?」
    「ユウリの方もちょっとくらいドキドキしないとフェアじゃないだろ」
    「そっかー」
     追い詰められ、思いがけないタイミングで思いの丈を打ち明けることになったとはいえ、言いたい事を出し切ったホップは妙に晴れやかな様子だ。
     恋とは、自分の意思でどうこうできるものではない。考えないようにしても、いつの間にか心を乱している。自分が散々振り回された分、ユウリにも意識してもらいたいホップの気持ちもわかる。
     が、ホップとは違ってユウリは振り幅が大きい。極端なくらいに。
     放っておいたらおかしなことになるのは想像に難くない。そんなことはホップが一番わかっていることだろうけど。
     ほんと、甘酸っぱいことね。胸の中だけで呟いて、ソニアは空になった食器をまとめてシンクへと運ぶ。
    「じゃあ、優秀な助手のホップに本日最後のお仕事を言い渡しましょう」
    「なんだよ」
    「ユウリママにお皿、返してきて。ユウリってば忘れて帰っちゃうんだから」
     にやりと笑うソニアの手には、洗ったばかりで水滴のしたたるガラスボウル。お裾分けのサマープディングが入っていたものだ。
     家に届ける以上、ユウリとも顔を合わせることになるだろう。遠回しに、ちゃんと話し合ってこい、と。午後の散歩にでも連れ出して、今度こそ二人きりで。
     仕事を終えるにはいつもより早い時間だが、今日は特別だ。
    「……わかったよ」
     ソニアのおせっかいを少し煙たそうにしながらも、深く頷いてホップは最後の一口、大粒のブルーベリーを頬張った。
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    Replies from the creator

    nezuno

    DONE2021年一作目
    とくに季節ネタではないです
    食いしん坊ユウリちゃんのよくわからない悩み事に付き合ってくれるホップのお話です
    推しポケモンと推しカプを並べたかったやつです
    「こんなことホップにしか頼めないの……!」
     バトル以外では普段マイペースなユウリが珍しく差し迫った表情でそんな言葉を口にしてすがってくるのを断る理由などあるわけがなかった。ライバルが困ってるとき力を貸すのは当然だぞ、なんて耳触りの良い言葉で二つ返事したものの、内心はユウリが困ったときに最初に頼るのがアニキをはじめとするリーグ委員会の大人たちや、他のトレーナーの誰でもなくオレだという事実に安堵とほんの少しの優越感を感じていた。
     だからどんな頼み事だって聞くつもりでユウリに言われるままに研究所の表に出て目にしたのは、彼女の苦悩の表情とは裏腹にのんきな光景だった。
    「ヤドンか。こっちは、ガラル以外の地方で見られる姿だな」
     生息地域ごとの環境や生態系の違いによって同じ種のポケモンでも姿やタイプが変化する、学術的にはリージョンフォームと呼ばれてる現象だ。ガラル以外の地域でみられるヤドンは──個体数でいえばこちがのほうが一般的な姿と考えられるだろう──のぼせたみたいな全身ピンク色で、しっぽの先だけが白い。ガラルのヤドンは額から頭部にかけて、それからしっぽがカレーみたいな黄色になっている。この 3326

    nezuno

    DONEポケマスにユウリちゃん実装決定後、ガチャ祈願でかいたポケマス時空のふわっとしたお話
    ユウリちゃんとメイちゃんがお話しているだけですが、ホプユウ前提
    カプというほどの絡みはないのでタグ無しで
    身じろぎをした拍子にベッド……ではなく、硬いベンチから転げ落ちそうになって慌てて飛び起きる。
    『ようこそポケモントレーナー、そしてバディポケモンのみなさん。ここは人工島パシオ』
     頭の上のスピーカーが繰り返すアナウンスでここが何処だったのかようやく思い出した。
     そうだわたし、ホップと一緒に水上バスに乗ってパシオに向かっていたんだった。座席に並んで二人で一冊のガイドブックを覗き込み、どこに行こうか、どんなトレーナーに会えるかな、なんてお喋りに夢中になっているうちに眠ってしまったんだろう。あたりの様子をみるに、ここはパシオの船着場のようだ。でも、どうにもバスから降りた記憶がないし、ホップともはぐれてしまったようだ。腰掛けたベンチの小脇にはさっきまで枕がわりにしていた荷物で膨れ上がったお気に入りのレザーボストン。足元には呆れたように「わふ」とため息を溢すザシアン。きっと眠りこけているわたしの代わりに荷物の番をしていてくれたのだろう。
     左手に妙な違和感がある気がして、空に広げた手をかざしてぼんやりと眺めてみるけどいまひとつ思い当たらない。
    「こんにちは、ポケモントレーナーさん! あなたはど 2361

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