春眠 長く寒い冬を超え、眠っていた生き物が行動を開始し始める春を迎えた。桜を満開にするほどのぽかぽかと温かい日の光が逆に眠気を誘ってくる。くぁと一つ欠伸をし、ごろんと寝ころんだ。
暫くうとうとと微睡んでいれば不意に顔に影がかかる。
「こんなところでねていては、はるになったとはいえ、かぜをひいてしまうよ?」
「んぁ?」
「まったく…かけぶとんはどこだったかな…。」
殆ど寝言のような状態で返事をすれば影の主は起こすことを諦めたらしく、風邪をひかせないように布団を取りに行ったらしい。再び自分に降り注ぐ暖かい日差しに浮上していた意識が沈んでいった。
*
「おやおや…。」
掛け布団を手に、部屋の日当たりが良い場所で微睡んでいた兄弟のところへ戻れば完全に夢の世界へと旅立っていた。布団をかけてやり、隣に座ってぽんぽんとあやす。
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