守り守られ共にあれ 八つ時も近く、くぅくぅと軽く腹が鳴る。そろそろプロが作っているであろうおやつが出来上がる頃合いかと以前手に入れた戦利品を愛でる手を休め腰を上げた時だった。突然ブーッ、ブーッとけたたましいサイレン音が本丸中に鳴り響く。
「何事だ!?」
慌てて部屋の襖を開ければ結界で守られているはずの本丸内に遡行軍が侵入してきているのが確認できた。
「なっ…。」
突然の出来事に思考が止まりそうになるのをなんとか押しとどめ、本体を持って主人の元へと向かった。その道中で何体か斬り伏せたが、斬り伏せた以上に敵が侵入してきているようで追撃の手は強まるばかりだった。
「大般若君!こっち!」
「悪いっ。」
己を呼ぶ燭台切がいる部屋へ滑り込むような形で入れば、ぴしゃんと襖が閉まって結界が張られる気配がした。一旦、一息をついてから部屋の奥に居る主人へと声をかける。
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