【海の中で死んでくれ】無配ペーパー【無配/鳥から見た人魚たち】
蜂楽廻は斑類である。それはこの監獄にいる人間なら誰もが、いや一人以外は知っていた。その一人は猿人であったから、そもそも斑類という存在を知らないでいる。その一人以外は皆知っていた。蜂楽廻は斑類であるという事実を。
それは正しい。紛れもない真実。しかし一つだけ、蜂楽は他の斑類を欺いていることがあった。
彼の魂元である。周りは蜂楽のことを猫又だと認識していた。
それは間違いだった。
蜂楽廻の魂元。それは現代において絶滅したといわれる羽がある種族。翼主だった。
翼主は居るだけで権力の象徴になる。狙われることが多々ある。だから蜂楽は母に言われてその魂元を隠すようになった。空を飛び回ることが好きだった彼は少しだけ窮屈な思いをしたけれど、母に仕方がないこと、ごめんね、と謝られれば受け入れるしかなかった。
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