ギャンブラー、猫になる ヤツはまたふらりとどこかへ行ってしまった。それは仕方のないことで、彼が気高き野良猫であるという事以前に――なぜなら今回は俺がそう頼んだからである。
*
乱数のアトリエでミーティングを終えたばかりのことだった。
テーブルの上のマフィンへ手を伸ばそうとした乱数がふと呟く。
「……今日のふたりさぁ、距離感やたら遠くない?」
喧嘩は止めてよね〜と言いながら、彼がこちらをじっと見る。
「え、いやそんなことは……」
それを聞くと帝統は小さくため息をつき「……俺、タバコ買ってくるわ」と言って部屋を出ていった。
それから1ヶ月経ち、更に半月が経っても帝統は姿を見せず――いったいどこのコンビニまで行ってしまったのやら。
1949