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    kusamochi_uma

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    kusamochi_uma

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    いつさん宅のアーサーくんお借りしての転×転のトクアサです。
    現パロアイドルパロ、名前呼び捨ての話ふわっと読んでください

    ##トクアサ

    呼び捨ての話 ちょっとした悪戯心と好奇心だった。いつもはくん付けで呼んでいるからそれを外してみたらどういう反応をしてくれるだろうかと不意に思って、二人きりになったタイミングで試してみようと一人で考えていた。そして丁度そのタイミングが訪れた。

    「ねえ……アーサー。」

     少しだけどきどきしながら呼び捨てにしてみた。どんな反応をするかなと思って、ちらりと彼の反応を窺うと彼は大きな目を見開いてこちらを凝視していた。

    「……!?!?!?」
    「……あれ、ねえ、アーサーくん?ちょっと?」
    「……え。」
    「アーサーくん大丈夫?」
    「……えっ?」

     単語だけ発して固まっている彼の顔の前で手を振る。それに反応がなくて、あまりに反応のなさにじわじわと笑いが込み上げてきた。彼の背中をとんとんと叩きながら笑う。

    「あはは!固まってる!アーサーくんしっかりしてよ!」
    「……ゆめ?」

     やっと反応があったと思ったらそんなことをこぼすから、くすくす笑いながら頷くことにした。

    「うん、夢だよ。」

     反応がなくなるほど嫌だったのかなと少し寂しい気持ちもあるけど、彼にばれないように笑うことにした。笑っていれば、ちょっとだけ滲みそうになった涙も誤魔化せるはずだ。
     そんなことを考えていたらやっとアーサーくんの意識が戻ってきたらしい。ぱちりと瞬きをして、やっと視線があったのが分かった。それからわずかに眉間に皺を寄せて、その口元をきゅっとした。なあにその顔、かわいいねアーサーくん。

    「……いや、夢じゃないでしょ。」
    「ふふ、ばれたか。」

     そう言って笑うと、アーサーくんは深いため息をついてちょっとだけ口角をあげた。



    「アーサーくん!おはよう!」

     朝、彼を見つけてぶんぶんと手を振って挨拶をした。彼はこちらを振り返って一瞬笑みを浮かべたけど、すぐにふいと顔を背けた。あれと思って駆け寄って彼の顔を覗き込む。

    「あれ?アーサーくーん?」
    「……なに。」
    「え?なんか怒ってる?」

     彼が怒る理由に心当たりがなくて、自然と眉が下がる。僕、知らないうちに何かしちゃったんだろうか。そう思いながら彼を見つめていると、ぐっと唸った彼ははあとため息を吐いてこちらをみると目を細めた。

    「……トクサが悪いわけじゃないんだ。」
    「そう、なの?」
    「そう、僕が勝手に……あーもう、ねえトクサ。」

     そう言ってアーサーくんが僕の肩を掴んだ。掴むと言っても全く痛くないところが彼らしいなあと思いつつ、どうしたのと首を傾げた。アーサーくんは少しだけ迷ったように目線をさ迷わせてからゆっくり口を開いた。

    「ねえ、あのさ。」
    「なに?」
    「……どうして、呼び捨てしないの。」
    「え?」

     そう言ったアーサーくんは、わずかに頬を染めていた。彼の口からその話題が出るとは思わなくて、先日の彼の反応のように僕も一瞬固まってしまった。だって、あの反応は嫌だったんじゃないの。でも、そうだとしたら今こんなふうに呼び捨ての話をしたりしないよね。ということはつまり。

    「ねえ、アーサーくん、呼び捨て嫌じゃないの?」
    「……いやだったら、その時言ってるよ。」

     アーサーくんのその言葉にたしかにと頷いた。好き嫌いははっきりしているから、彼は嫌なことはすぐに嫌といってくれるんだった。そんなことも忘れていたなんて、思っていたよりも先日の彼の反応が自分の中で結構ショックだったみたいだ。

    「じゃあ、嫌じゃない?」
    「うん、嫌じゃない。」
    「そっかあ。」

     はっきりとそう言い切った彼に思わずへらりと笑みがこぼれた。なんだかすごく安心した。嫌じゃなくてよかった。そう思いながらほっと胸をなでおろす。そして。
     ──僕のことが嫌いになったんじゃなくてよかった。
     ついぽろっとそうこぼすと、アーサーくんは眉を吊り上げて険しい表情をした。

    「僕がトクサのこと、理由もなく嫌いになるわけないでしょ。」
    「たしかに。……アーサーくん。」

     僕の肩に乗せている彼の手を取って、両手でぎゅっと握った。今日も綺麗にネイルの塗られている指先がとてもきれいだ。

    「僕のこと嫌いになるときはちゃんといってね、心の準備がいるからさ。」
    「……だから嫌いにならないって。」
    「うん……うれしい。いつもありがとう、アーサー。」

     そう言って微笑むと、アーサーくんは今度こそ顔を真っ赤にして片手で顔を覆い、僕から顔を背けた。白い肌が真っ赤に染まって、とてもいい眺めだった。あ、耳まで真っ赤になってる。かわいいなあ。
     そんなことを思いながら眺めていると、アーサーくんはちらりとこちらに視線を向けて目を細めた。

    「……僕には、心の準備はさせてくれないってこと?」

     顔を赤く染めながらも不敵に笑う彼に、僕も笑い返した。
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