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    蟹味噌さんの所のケモ竜花主花

    ◆◆◆◆◆



    「もう見慣れちゃったけど、何てのか……ホント花村って鳴上くんにじゃれつくの好きだよねー」

     ギャウギャウと鳴き交わしながらじゃれ合っている生き物たち……モフモフとした毛並みとファンタジーもので描かれる竜の様な体躯のそれらを見ながら、千枝は何処か少し呆れた様な声を出す。
     稲羽の街で起きている事件を解決する為に有志で結成した自称特別捜査隊……そのリーダーである鳴上悠と、自称参謀役の花村陽介は、ただ今人間の姿を失い獣の様な竜の様な何とも言えない存在になって、それはもう楽しそうに絶賛じゃれつき合っている。
     ギャウギャウガウガウ鳴き交わしながらカプカプ甘噛みしたり、伸し掛る様にじゃれついたり……その姿は人間のそれには見えないが。まあこれにはそれなりに理由?があるのだ。

     摩訶不思議な現象と異世界が絡んだ事件を追う為に、特捜隊の面々が行使している『ペルソナ』というその力は、過度に使うと一時的に人間の姿を喪失する事態になるのだ。何でなのかとかは千枝にはよく分からないのだが、とにかくそういう代償?が伴う。
     そりゃあ最初にリーダーの姿が変わってしまった時は皆してパニックになったし、自分がそうなった時もやっぱり驚いたのだけど。
     まあ、本当に一時的なものであるし、理性を失った化け物になるだとかそんな事も無いので、今となっては『まあそんなもの』って扱いになっていった。慣れって凄い。というか、ああなった後は少し疲れるけど何だかスッキリとした開放感もあるので、そう悪い訳では無いのだ。
     ああなっても完全に理性が飛ぶ訳では無いが、結構緩くはなる。緩いと言うか……感情に素直になると言うか、抑圧しようというそれが軽くなると言うか。ある意味ではシャドウに近くなるのかもしれない。よく知らないけど。何となく、直感的に。考えるな感じろってヤツ。
     まあとにかく、普段はあんまり考えられない様な行動も取ってしまう訳なのだ。それは傍から見ていると意外でもあり新たな一面を見てる様な気持ちにもなり、何となくそんな一面を見れた事が嬉しかったり。
     なので、ああやって人間の姿を失っている間はそっと見守る事も特捜隊内での暗黙の了解である。
     ちなみにこうなる頻度としては、ワイルドと言う特殊な力を持つが故に力を過度に使いがちなリーダーと、切り込み隊長とばかりに敵に先駆けて先制する事の多い花村がツートップである。
     どっちかがこうなる事もあれば今みたいに二人ともと言う時もある。

     我らがリーダーである鳴上悠は、立派な角と大きな翼を持つザ・ドラゴン!って感じの見た目だが何より胸元のモフモフ具合が凄まじい。彼の包容力をそのまま形にしたかの様に万物を優しく包み込んでいく。
     普段は優しく親切だが常に冷静な彼であるが、こうなると特捜隊の皆を抱き抱える様にそのモフモフに沈めたがったり、或いはその頭をグリグリ押し付ける様にして甘えてくる。あと、時々ちょっと加減を間違えてモフモフで圧死させかけたりもする。なおこれは主に被害者は花村だ。
     鳴上くんのそう言った行動に対して、雪子は「鳴上くんって本当に私たちの事が大好きなんだね」なんて嬉しそうな顔をしているし、完二くんはモフモフに秒で陥落した。
     我らがリーダーは、例えモフモフの獣になってもリーダーなのである。

     そして花村は、ちょっとした羽みたいになってる前足と狐とか犬とかみたいにピンッと立ってピョコピョコ動く大きな耳が特徴的な見た目だ。
     竜とかよりはケモノ!って感じ。
     そんな花村は困った事にカプカプ甘噛みする癖がある。本人的には甘噛みで止めてるのだろうし実際痕が残る程では無いが、それはそれとしてそこそこ痛いらしい。なお、被害者は鳴上くん限定である。
     親愛の表現なのか何なのかは知らないが、前足で押さえ込んでカプカプ甘噛みしてるそれは傍から見ると完全に捕食してる光景だ。
     不思議な事に、人間に戻った後の花村はこの狼藉をあんまり覚えて無いらしい。

     どっちかが人間のままだと、相手に押し潰されかけたり或いはずっと甘噛みされ続けたりして大変そうだが、今の様にどちらも獣になってしまうとそれはもう仲良くじゃれ合い始める。
     今も花村は鳴上くんのモフモフに埋もれながら、ガブガブとその喉元に噛み付きつつ肉球のある前足でタシタシと鳴上くんの翼を猫パンチの様に撫でているし。鳴上くんは鳴上くんで、モフモフな花村を毛ずくろいする様に丁寧に舐めている。
     二人して縺れ合う様にコロコロ転がったりして、それはもう仲が良い。
     ちょっと邪推しかねない程に。まあ、人間の時のお互いの距離感を見るに、お互いに近過ぎて親愛表現が過激になりがちなだけなんだろうけど。

    「二人ともー、程々にしときなさいよー!」

     あんまり暴れ回ってると後で動けない位ヘトヘトになってしまうのだ。
     完二くんが居てくれるから鳴上くんはどうにかなっても、花村を引き摺っていくのは女子二人にはちょっと厳しい。
     ギャウギャウと元気よく返事した二人は分かっているのかいないのか。
     少なくとも二人が元に戻るにはまだ少し時間がかかりそうだ。
     


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