プリズン・フローズン 法廷内に木槌を叩く音が鳴り響く。
「主文、被告人フレデリック・クレイバーグを殺人の罪により終身刑と処す」
法壇の中央に座る裁判長から判決は下され、同時に執行官に腕を掴まれた。
「ち、違う……私は何もしていない!」
高い位置で此方を見下ろす裁判長に訴えかけるように見上げるが、その双眸は冷酷で有無を言わさない目をしていた。その視線で悟ってしまう。この判決は例え控訴したとしても棄却されるだろうと。助けを求めるように周囲を見渡しても、法廷内の傍聴人が向けてくる視線も囁き声も全て罪人に向けるそのものだった。
絶望に打ちひしがれ、恐怖で強張っている体を無理矢理引っ張られる形で執行官に腕を引かれて、重く冷たい法廷を後にした。
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