好奇心なんか出さなきゃよかった 水平線に沈みゆく陽光は、今日を惜しむように広く橙を広げている。ほんの僅かに残る陽気が頬をさすが、海からの風はひんやりとしている。
沈む夕日を見に行こうよ、と誰かが言い出して皆で海辺に散歩に来たのに、どういうわけかミスタと(気まぐれで姿を表した)光ノが肩を並べて歩いている。他の3人は、2人よりはるかに前方でケラケラと談笑して振り向きもしない。
「僕の願いですか?」
「あぁ。何かあるのかなって」
探偵稼業で気付いた傾向。心の奥底の願いが依頼に繋がっている事が多い。実際の依頼が浮気調査だろうが迷子の犬探しだろうが、だ。無意識のうちに本当の想いを叶えようと本人を突き動かしている。
ミスタは偶然出くわした光ノに、世間話の一つとして聞いてみた。
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