Identity👟
穏やかな陽気が照らす午前8時。
シューシューと湯が湧く音と、アールグレイの香りに瞼が開く。
今日は……あぁ、アイクとルカとドライブだっけ?いや、その前に朝市で買い物に……
どうやら頭はまだ寝惚けているらしく、今日のスケジュールすら怪しい。
体を起こせば、身体のあちこちから骨の鳴る音。昨晩の依頼はやけに多くて、一晩の間に幾つの依代を使ったことか。
やっぱり今までは彼が抑えてくれていたんだ。
買い物用に軽装に身を包み、気だるい足取りでリビングへ向かう。
扉がちょっとだけ空いてる。
最近は朝冷えするからってずっと閉め切っていたのに。
少し開いている所から差し込む朝日と紅茶の香り。
扉を開けば、髪を束ねて朝から優雅な茶会を開く男が1人。いつもならアイクも居るはずなのに。
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