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    Si__Vales_Valeo

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    Si__Vales_Valeo

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    ポカぐだ♀ です。自覚まだ薄いぐだちゃんと、好意を見透かしているけれど不意打ちでクリティカルヒット喰らうテスカトリポカのラブコメです。

    ポカぐだ♀ 小話テスカトリポカはたまにじいっとわたしを見つめてくる時がある。その目はわたしの内側に向いているようで、わたしの何もかもを見透かしているみたいで。どうにも座りが悪くなる。
    とくに隠し事はないけど、わたしの知らない、気づいていないわたしを識られてしまっているみたいな気持ちになる。

    千里眼みたいなもの?神様だから、わかっちゃうの?
    何が視えてるの?

    そうやって聞いてみればテスカトリポカはおかしそうに笑うんだ。

    「そーゆーんじゃねぇよ。
    ……まぁそういうのもあるけど。」

    どっちなのさと問うても、彼ははぐらかすばかりで明確な答えはくれない。






    最近日課のようになっていることがある。それはテスカトリポカとコーヒーを飲みながらおしゃべりすることだ。
    神様だしあまり馴れ馴れしくしちゃダメかな?なんて思ってたんだけど。語る言葉が物騒でちょっと怖かったんだけど。
    おしゃべりが好きと言うから、少しは打ち解けられたらいいなぁ、断られても仕方ないよね。なんて軽い気持ちのダメ元でお茶に誘ったら、いいぜとすんなりオーケーがもらえてしまったのがきっかけだ。

    話す内容は、これまでの旅のことだったり、任務のことだったり、食堂のどのメニューが美味しかったとかだったり。
    だいたいわたしが好き勝手に話してるんだけど。彼はいつも頬杖をついて口元に笑みを浮かべて、いいところで相槌を打ってくれる。なるほどって思わず唸っちゃうような助言をくれることもあるんだよね。
    語り口がたまに物騒なのは変わらないけれど、何度も同じ時間を過ごしているうちに、こういうことを言いたいんだろうなぁ……とわかるようになってきた。

    低くて深みのある声は心地よくて、ずっと聞いていたくなって。引き込まれるように聞き入ってしまう。

    たまにお誘いしてたコーヒータイムも気がつけば日課になっていた。もちろん出ずっぱりの任務中は、おあずけになるけどね。

    このひと、意外と現代の常識も持ち合わせている上に結構面倒見が良いよね。たぶんきっと、わたしの息抜きに付き合ってくれてるんだろうなと思っている。
    そんなことは、彼は一言も言わないけど。






    目の前でマグカップを呷るひとを、バレないようにじいっと見つめる。わたしにはない喉仏が上下するのをついつい不思議だなと眺めてしまう。喉仏が、じゃなくて、こうやってマイルームでふたり向かい合って、手が届く距離に座ってコーヒーを飲んでいるこの時間が、ね。
    神様で、ついこの前戦った人なのに、普通にこの状況を受け入れていて、しかもリラックスして過ごせているんだもん。やっぱり不思議な感じがする。

    バレないようにと思っていたけど、わたしは熱心に彼を見つめてしまっていたらしい。テスカトリポカはわたしの視線に気づいてニヤリと笑った。頬杖をついて、じいっと見下ろしてくる。
    例のわたしを見透かすような目だ。
    口元に笑みを浮かべたまま彼は尋ねた。

    「それで、好きな男は見つかったか?」

    これは最近テスカトリポカが必ず上げる話題だ。またか、と、つい顔を顰めてしまう。わたしの表情を見て彼は呆れたように笑った。

    「なんだよ。まだ見つからないって?」
    「だから。そんなひと、いませんってば。」

    わたしは口を尖らせて笑い顔をじとりと睨んだ。
    ちなみに「好きな男うんぬん」と言い出したのは、「おまえさんのいちばん大切な存在とは何だ?」と問われて、マシュと即答した後からだ。
    あの時彼は手で顔を覆い、「おまえさんさぁ……」と項垂れてしまった。そういうことじゃないらしかった。

    この神様は戦いだけではダメだ!戦い以外は楽しめ!って考えの人で、食事は楽しむべきだし、バカンスもとるべきだし、その……え、えっちなことも愉しめというのだ。そのための問いらしい。
    ……みんなとワイワイご飯食べたり、マリーンとバドミントンするのも楽しいけど。べつにそんな……そんな……そういうの、べつにいいし!

    この話はいつもならばテスカトリポカがからかうように喉を鳴らしてそれでおしまいになる。
    わたしは熱くなる頬を隠すように、そして話の切り替えにもすべく、マグカップを傾けた。

    「キスしたいなーとか、セックスしたいなーとか、そう思うコトってないワケ?」
    「ぶっ……な、ないないない!!」

    あっぶない。危うくコーヒー噴き出すところだった!
    なんてタイミングで変なこと聞くの!わたしは眉を怒らせ即座に否定した。
    キスとかそんな……そんな……なんて考えて、つい正面のくちびるに目が囚われる。
    テスカトリポカのくちびるは薄い珊瑚色でスラっとしてて。かたちはキレイで、しかもカサつきなんて無縁なんだろうなってくらい、ぷるんとしてて。
    それはうっすらと開いていて、そのくちびるの奥へと、なんだか吸い込まれてしまいそうで……。

    かたちの良いくちびるがゆっくりと開き、歯列と舌がちろりと見えた。……ん?口パクで、何か言ってる?
    眉を寄せ、読み取ろうとじいっと見つめた。

    『え っ ち』
    「はいぃ!?」

    びっくりして慌ててくちびるから視線を離した。顔を上げると彼はにんまりと目を細めてわたしを見下ろしていた。口元も今やもうすっかり吊り上がっている。

    「まったく興味ないってワケじゃあなさそうだなぁ?
    試しにしてみるか?キ・ス♡」
    「わーーッ!ごめんなさい無理ですごめんなさい!!」

    表情がえっちすぎてもう無理ですキャパオーバーです!
    わたしは視線から逃げたくなってテーブルに突っ伏した。部屋暑くない?顔がすごく熱くなってきたぞ!

    「アン?無理ってなんだよ?」

    わたしの頭上から氷点下まで冷えた低い声が落ちてきた。ええ?わたし、こんな熱いのに?
    無理なんて強い言葉で否定しちゃったことはちくちく胸に罪悪感が刺さるけれど、でもでも、なんでこんなに振り回されないといけないんだって、だんだんとムカムカしてきた。
    そもそもの原因、あなたなんですけど!

    顔を上げテスカトリポカをキッと睨みつけた。もうヤケクソだ。

    「すっ……好きとかキスとかまだよくわかんないけど!
    あなたとコーヒー飲むの好きなんだけど。それでよくないっ!?」

    みんなとワイワイご飯食べたり、マリーンとバドミントンするのも楽しいけど!最近毎日過ごしてるの、あなたなんですけどー!

    テスカトリポカは目を瞠ったかと思えば顔から表情が消えた。と思ったら、口を歪めてドスの効いた地を這うような声を出した。目が据わっている。

    「はぁ?許すが?」

    なぜかキレ気味に許された。テスカトリポカはぽかんと呆けてるわたしのことなんてお構いなしに、大きな手で目を覆い、深く長いため息を吐いた。指で隠せていない眉間にはとても深い皺が走っている。

    「チッ……なんだよ明日も誘えよクソが。」

    彼は低くなんとか聞き取れるくらいの声量で悪態を吐いた。地面ほどではないけれど、テーブルは這ってるなーくらいの低い声。
    もしかしてわたしの享楽に浸かるレベルが彼の求めるものに比べて低すぎるのかな?だから怒ってるのかな?

    「もちろん誘うけど!
    お子様でごめんね!でも明日も明後日も、一緒にお茶して欲しいです!」

    お願い!と手を合わせて拝む。すると彼は今度は両手で顔を覆い、俯いてしまった。絹みたいな金の髪がさらさらと流れ、表情を窺うことはできなくなった。
    わたしの目の前に普段見ることのできない彼の頭頂部が現れた。引っかかりのないサラツヤ髪は、天井の蛍光灯の光を受けてキラキラしている。

    あ。旋毛!超レアじゃない!?
    わたしはテスカトリポカの旋毛を見つけられたことに気を取られて、彼の怒りを滲ませた呟きを拾えなかった。
    それはスキンシップが増えたり距離感バグったり、彼があからさまなアプローチを仕掛けてくるきっかけとなったのだけれど、旋毛に喜んじゃうお子様なわたしは聞き逃してしまったのだった。






    「くっそ……見てろよ。
    早々に自覚させてめちゃくちゃに抱いてやるからな……!」







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    Si__Vales_Valeo

    DONEポカぐだ♀ です。ふたりがただイチャコラしてるの書きたいなぁと思っていたところ、日曜の朝が寒かったので思いついて、起き抜けに書いたお話です。(そして二度寝してしまったという…)
    まだしばらく寒い日が続くみたいですので、朝、お布団の中でぬくぬくしながら読んでいただけたらなと思っております。

    ……年齢制限しなくても大丈夫かな。直接的な表現ないし……?。
    ポカぐだ♀ / ほのぼのイチャイチャジリジリジリ……

    遠くから不快な音が聞こえる。引っ張られるように、ふわりふわりと、意識が浮上していった。
    その音は頭上でけたたましく鳴り響く、ヘッドボードに置いた時計の起床せよと命じるアラームだった。


    ……うるっさいなぁ。まだもうちょっと、寝てたいのに。



    まどろみの中、小さく唸って寝返りを打つ。首元から冷気が入り込み、ぶるりとからだが震えた。普段、部屋は空調が効いていて適温なのだが、寝る時はそれを切っているため朝方には外気温に近いほど温度が下がるためだ。からだを包む布団のありがたみを痛感する。



    あったかい。ぬくぬく。お布団最高。



    あたたかさに包まれ再び意識が沈みそうになるがアラームがそれを妨げる。
    わたしはしょうがないと眉を寄せ、布団の中から片腕だけをにゅっと突き出した。途端、ひんやりした空気が肌を刺す。長袖のパジャマを着ればマシなのだろうが、布地が多いとどうにも落ち着かず半袖のTシャツ・短パンで寝ているせいだ。
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