休みの日、KKがせっかくだからと回らない寿司屋に連れて行ってくれた。
「好きな物を頼めよ、遠慮するな」
あの時の約束、覚えててくれたんだな…と暁人は内心嬉しく思い、KKの言葉通り食べたいものを好きなだけ食べた。腹八分目以上も食べてしまって少しお腹が苦しい。
「美味しくてつい食べすぎちゃったよ、僕も出すね」
「いいよ、オレの奢りだ。支払いは任せろ」
なんだか悪いなぁと思いつつも、ここで奢ると言ってくれるKKのカッコ良さに惚れ直しそうになったその時
バリバリバリバリッ
店内に場違いな音が響き渡る。
KKが懐から取り出したのはマジックテープ式の財布だった。
てっきりそれなりにくたびれた革財布が出てくるかと思いきや、意外すぎる展開に惚れ直す所か周囲の刺さる視線に暁人まで恥ずかしくなる。
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