揺れる心情サインをファンにする花。
その様子を後方から伺う流。
ファンが色紙以外でタオルに書いてとお願いしているところで、どうにも我慢できずに花の隣へ。
「俺にも書け」
花の肩に顎を乗せながらサインをお願いする流。
「あ?この間サインの練習してる時に、欲しいか?って聞いたら『いらん』って断ったのは誰だよ」
なんで今言うのか、と呆れる花。
「あの時はあの時」
いまは欲しいと伝えれば、
「…わかったよ、後で書いてやるから離れろ」
その後、ロッカールームで2人になり、
「ほら、どこに書くんだよ」と言えば
ん、と無言で流がよく使うタオルを渡される。
「洗濯したら消えてくるだろ、このアホギツネ!」
「また書けばいいだろ」
「っ、それが人に頼む態度か!」
いつもの喧嘩をしつつ、タオルを受け取る花。
サインをして、流に返せば、おもむろに花がサインをした所に口づけをする。
「は、おま、なにやって…」
「お前がいない時のお守り」
「そうじゃねぇって」
なぜサインしたタオルに口づけをしたのか、
お守りなんて言葉じゃ片づけられない。
「この馬鹿ギツネ」
そう答えるのが精一杯。
なぜなら、流が口づけした姿が頭から離れなかったから。
後日、練習中に流がサイン入りのタオルを使うと
真っ赤になる花がいた。
「オレがいない時のお守りじゃなかったのかよ!」
「タオルなんだし毎日つかうだろ、どあほう」