Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    nostalgie_22

    @nostalgie_22

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 3

    nostalgie_22

    ☆quiet follow

    違法マイクでえっちするじゃくらむの冒頭(えっちまでいかなかった)
    エッチなシーン書く前に四連休が終わったので一旦供養します・・・
    続きは気が向いたときに・・・・車でomorasiするらむが書きたかったよ・・・

    「ぁ……っあ、あう……っはぁ、あ……」

    「……らむ、だいじょうぶかい」

    「うー……」

    「つらいね、もうすぐ……着くから」

     その言葉に、助手席でぐったりしている乱数くんが微かに頷いた。いつもふんわりしている髪は汗で濡れて頬に張り付いてしまっている。片手を伸ばしてそれをなおすと、乱数くんはふるりと体を震わせた。ただこれだけの刺激にも、耐えられないのだろう。大きな瞳からぼろぼろと涙をこぼして体を捩る。本当はその涙も拭ってあげたいのだけれども、きっと今は逆効果でしかない。もうすぐだからねと、もう一度同じ言葉をかけてアクセルペダルを踏みこむ脚に力を込めた。本来ならば、今頃彼のお気に入りのお店で向かい合ってディナーを食べていたというのに。どうしてこんなことになったのだろう。そう思って吐いたため息は酷く熱かった。



     ことの発端はいたってシンプルだ。今日は乱数くんとの数週間ぶりのデートだった。ここ最近どうにもこうにもお互い忙しくて、声も聴けない日々が続いていて。待ち望んだデートだった。はやくあって抱きしめてキスがしたくて。今日は乱数くんにしっかりと食事をとらせて(彼は忙しいと決まって食事をおろそかにしてしまうので)そのまま自宅に招いて。一緒にお風呂に入って、少し話をして、ゆっくり眠るはずだった。私の腕の中ですやすや眠る彼を思う存分堪能して、私も同じようにーー。なんて、そんな優しい夜にはならなかった。もうこれは本当に救いようがないくらいに、どうしようもない夜になってしまった。



     まず私の仕事が予定通りに終わらなかった。いやこればかりは人の命がかかっているのだから仕方がないのだけれども。ようやく連絡ができたのが約束の時間から一時間と四十五分が経過した頃だった。半端ない疲労感を携えながらも急いで携帯を開けば絵文字だらけのメッセージが入っている。寂雷急患っぽいから僕いつものカフェでまってるね♥そんな優しいメッセージに思わず目の奥がじんわりと熱くなった。たまらずそのまま電話をかける。「あ、じゃくらい?やっほー♥らむだちゃんだよ」「連絡もできずごめんね、急患が入ってしまって」「だいじょびだいじょーび!今終わった感じ?」「うん、今すぐ行くからもう少しだけ待っていてくれるかな」「あは、そんなに急がなくても僕は逃げないよ?ちゃーんと安全運転できてね?」そんな会話に視界が滲んだ。言っておくけれども年のせいなんかではない。断じて違う。ただ純粋に、こうして彼と日常を過ごせるのがうれしくて、私は軽率に泣いてしまう。そんな私の様子を感じ取ったのか、電話口で乱数くんが笑った。泣き虫寂雷だ!なんて、はしゃぐような、可愛い声で笑う。それにつられて私も笑った。電話を切った後も心が浮足立っていて、スタッフ用の出入り口で盛大に頭をぶつけるほどに私は浮かれていた。



     だって、久方ぶりのデートなのだ。可愛らしくて愛らしくて頭のてっぺんから丸呑みにしてしまいたいくらい愛しい乱数くんとのデートなのだ。浮かれずにいられるわけがないだろう。紆余曲折を経て、ようやくつかんだ幸せなのだ。今の彼は日常生活を送れるくらいには元気になってくれたし、何よりもようやくつかんだ自由を謳歌している。自分の人生というものを歩き始めたばかりなのだ。すべてにおいて自分の意志でつかみ取れる、そんな状況になった彼が一番最初に私の腕をつかんでくれたことが、私はどうしようもなく嬉しかった。



     そんなことを思いながら近道をして彼を迎えにシブヤへと向かう。待ち合わせ場所にほど近い駐車場に車を停めて待ち合わせ場所まで全力で走った。髪が乱れるのも汗がつたうのも全部全部どうでもよくて、早く乱数くんに会いたくて。人ごみをかき分けて、かき分けてカフェのテラス席にちょこんと座る可愛い可愛い乱数くんを見つけた。向こうもほぼ同時に私を見つけたのだろう。アイスティーのグラスを両手で握りしめたままぴょんと立ち上がってくれた。あぁ、可愛い。本当にかわいい。たまらず彼を抱き上げて(グラスは危ないのでテーブルの上に置かせてもらった)そのまま力いっぱい抱きしめてくるくる回る。自分が人前でこんなことをする日が来るなんて思ってもみなかった。まさに恋は盲目。愛は人を狂わせる。私よりほんの少し高い位置にいる乱数くんがにこにこと可愛らしく微笑んでそっと顔を近づけてきてくれて……



     でも唇が触れることはなかった。あと少しでキスができる、そんな距離でそんな空気を壊したのは鼓膜を破らんばかりの怒声だった。

    「見つけたぞ飴村乱数ァ」

    「およ?」

     せっかくいいところだったのに。正直そんな言葉が喉元までこみ上げていた。いやだってそうだろう。私はようやく、乱数くんに会えたのに。髪からも体からもふんわり甘い匂いがする彼をこれから堪能しようと、そう、思っていたのに。けれどもそんな空気ではなくなってしまった。顔がさしてしまったせいで人の視線が痛い。仕方なく乱数くんを下ろすけれども、名残惜しくてそっと指先を絡めた。これくらいは許されてもいいだろう。

    「……知り合いかい?」

    「ん~僕は知らないよ?」

    「てめぇこの野郎!」

    「あ、でもあっちは僕のこと知ってるみたぁい♥」

    「今度は何をしたの?」

    「あは♥」

     ちらりと音がした方を見やれば顔を真っ赤にしている男が目に入った。うん、私の知り合いではないようだ。私の知らないことろで遊んでいたのだろう。目を離せばすぐにこうやって問題を連れて帰ってきてしまう。どこかいけないところに行ったのかいと声をかけると言ってないよ♥と言葉が返ってくる。ほんとだよ?じゃくらいはさ、ちゃぁんと僕のこと信じてくれるよね♥そうにっこり微笑まれてしまってはもう何にも言えなかった。先ほどから怒りを向けられているというのに乱数くんは楽しそうに私の周りをまわっている。とりあえず、名前を、呼んだ。乱数くん、と一度だけ。すると彼は嬉しそうに微笑んで私の足の付け根に腕を回して頬を摺り寄せてくる。可愛い。本当にかわいい。こんな場面でなければ本当に幸せだというのに。

    「お前のせいで……!」

    「彼はかなり君のことを恨んでいるようだけれど」

    「っていっても僕最近オネーサンたちとはそういったアソビはしてないから~ほんとに身に覚えがないんだけどねぇ……うーん、もしかしたら僕の愛しのシブヤでオイタしてたオニーサンとかかもしんないね♥あは、これってさぁ、ただの逆恨みじゃん♥悪いオニーサンだ!」

    「こら、乱数くん。少し静かにーー」

    「お前らなんか」

    「あれれ、なぁに?僕とラップバトルしたいの?怖いもの知らずだね」

     先ほどよりも大きな声を出して、激高した男がどこからかマイクを取り出した。それにはしゃいだように飛び跳ねる乱数くんと、大きくため息をつく私がいる。壁がほろんだ今でも、ヒプノシスマイクは健在だ。けれどもかつてのような威力はもちろんない。生み出されたリリックが過剰に精神に働きかけることはない。娯楽としてのラップだ。そんなものを取り出して何になるのだろう、とどこか心が冷めてしまう。もちろん、かつてのようなラップバトルが恋しいだとか、そういうことではない。たくさんの犠牲を払って、苦労して手に入れたこの平和な世の中でも、こうして争いを求めてやまない人間の浅ましさに、純粋にあきれているだけだ。

    「そんなおもちゃじゃなぁんにもできないよ?」

    「うるせぇ……!これがありゃお前らなんか……!」

    「ん~、オニーサンのそれさぁ、禁止されてるやつじゃない?左馬刻のところのうさちゃんに連絡しなきゃだ」

     堂々と振りかざされたそれに、本日何度目かのため息が零れ落ちた。私や乱数くんが所持しているそれとは、明らかに形状が異なる。未だに出回っているこのまがい物は、正直扱えるものなど存在しない。それもそうだろう。きちんとした工程を経て作られたヒプノシスマイクとは違い、素人が好き勝手改造を施した代物なのだ。好奇心でこれを使用して病院に運ばれてくる人も一定数存在する。それでも自分だけは大丈夫だという得体もしれない自信が、この男にもあるのだろう。そう頭の中で結論づけてもう一度、大きくため息を吐いた。時代が変わっても人は変われない。

    「……違法マイク、でしょうか。乱数くん、危ないから一応こちらに」

    「も~、心配性すぎない?大丈夫だって」

    「つらい治療がやっと終わったところなのだから、心配にもなりますよ。この場はどうにか私が納めますから、私の後ろにいるように」

    「は~い!……、ぁ」

    「乱数くん!」

     私の方へと駆け寄ってきていた乱数くんの体がぐらりと傾く。テーブルか、それとも椅子の脚に足を取られたのだろう。反射的に私も手を差し出す。小さくて華奢が腕の中に落ちてくる。あぁ、間に合った。そう思った。心の底からそう思った。しっかりと乱数くんを抱きとめる。ほんの少し困ったように眉を下げた彼に笑いかけようとして、私は、思い知る。間に合った。私は確かに、彼を抱きとめることに関しては間に合った。でも、それが故に盾となることに間に合わなかった。私の腕に収まった乱数くんは、激高した男の視界にきっちりと映り込んでいた。ぞわりと背中を何かが駆け上る。駄目だ、このままではいけない。頭の中で警報音が鳴り響く。でもそれに体が付いていけないのだ。

    「くたばれ、飴村乱数ァ!!!!」

     大声とほぼ同時に、ぐらりと体が傾く。でもそれでも、と必死で腕の中の乱数くんを抱きしめる。まがい物のマイクによって生み出される攻撃はどこまでも歪で、まるで脳みそを両手でつかまれて揺さぶられてるような、そんな気分だった。腕の中から、小さなうめき声も聞こえてくる。周囲からは悲鳴が上がる。一度乱数くんを物陰に避難させて、それから私が直接ーーそんな物騒なことを、脳が勝手に考えてしまう。でも、今だ。動くのならば未だ。そう思って地面をけりだそうとした瞬間、攻撃がぴたりと、止まった。それと同時に何かが倒れこむような鈍い音が響く。

    「……あ、自滅した」

     ぼそりと呟かれた言葉にふっと肩の力が抜けた。先ほどまでマイクを握りしめていた張本人は地面に倒れこんでいる。マイクの出力に本人の精神力がついていけなかったのだろう。なんともーー、いや、この先を言葉にするのはやめておこう。急な幕切れに周囲の人々からも安堵の声があがる。ほんの少し腕の力を緩めて、そっとピンク色の髪を撫でた。そして指先から熱が伝わる。

    「……そのようだね、大丈夫かい」

    「とりあえずは平気~、にしても扱いきれないおもちゃは使うのよくないよねぇ。あのオニーサン大丈夫かなぁ。寂雷みてくる?」

    「……誰かが救急車を呼んでくれていたみたいですね。隊員の方がいるので、あちらはおまかせします。それよりも」

    「うん?って、わぁ」

     ほぼ強引に乱数くんを膝の上に座らせる。そのはずみにしずくが舞った。寂雷、と私の名前を呼ぶけれども、どこかけだるげで。慌てて額に触れる。でも熱があるというわけではなかった。そのまま手首をとって、指先の神経をとがらせる。

    「本当に大丈夫かい。どこにも違和感はない?」

    「大丈夫だってば」

    「……少し脈が乱れているね。近くに車を停めているのだけれど……そこまで歩けるかい?」

    「え、なんでそんなに心配してんの?大丈夫だよ?ほんとだよ?」

    「……さっきからすごい汗だよ、乱数くん」

    「え……?あれ」

     不思議そうに首をかしげる動きにつられるように、再び汗がぽたぽたと伝い落ちた。頬は真っ赤で、息も上がってきている。鞄からハンカチを取り出して、そっとそれを拭う。乱数くん特有の、ふんわりと甘い香りがして、くらりと眩暈がした。コットンキャンディのように甘くて、でもどこかほんのりスパイシーな、香りがする。

    「気づいてなかったんだね……気分が悪いだとか……そういうこともない?」

    「え、あ……へいき、なんだけど……、はぁっ、ぁ……?あれ、あれれ……、なんか、あつい、かも」

    「お水を買ってこようか」

    「~っ、ぁ」

     びくんと、跳ねるように体が震えて、私の腕を握る手に力が入った。半開きの口から、とろりと唾液が零れ落ちる。そこからまた、甘い匂いがした。

    「じゃくらい、これ」

    「らむ?」

    「っぁ、うそ……うそうそ、やばい、でしょ」

     口元をてらてら光らせて、涙で瞳を潤ませた乱数くんが小さく首を振る。それからもぞもぞと太ももをすり合わせてーーそこでようやく私も察する。慌ててジャケットを脱いで、彼の腰に巻き付けた。でも乱数くんは耐えられないと言わんばかりに首を振って、それから熱く硬くなったそこをぐりゅん、と私の膝に擦り付けた。その感覚に、私の体が震える。小さな手が伸びてきて、私の横髪をそっと耳にかける。そして一言、呟いた。寂雷も汗、やばいよ。その言葉に私もようやく自身の息が上がってきていることを自覚した。

    「どうしよ、じゃくらい」

    「……うん」

    「勃っちゃった……かも、さっきのマイク、たぶんえっちな気分になるやつ……みたい……っ、たぶん、これ……、じゃくらいも……やば、いかも」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💕🌋🙏🙏🙏💞💞🙏💞
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works