ちぎれた糸「再生しない部分がある、調べてくれ」
そう言ってデジモン病院を尋ねてきたのはこれまた厄介なお客様だ
「うちではあなた程のデジモン診れないよ」
「ねぇ?」と受付のエンジェモンが視線を逸らすとそばに居た医師のケンタルモンとマミーモンは目を合わせず焦った表情で首を横に振る。相手は何しろ関わったら何されるか分からない厄災を引き起こす、この世の悪、正体不明のデジモン、それがアポカリモン
「そもそも自己再生能力をお持ちのあなたが再生できないなんて、調子悪いんですか?」
「実は生まれつき…なんだ」
「え」
「生まれついた時にすでにこの腹から下半身を繋ぐコードの一本はちぎれていたのだ」
アポカリモンは腹部のコードの束の中からちぎれた一本を取り出す。
「これは、何だ?」
「何でしょう?」医師全員がまじまじと観察する
「触ってみても?」「良い」と許可を得て触れてみる。恐る恐る近ずけばアポカリモンの脈動する音がやたら煩く聞こえる。
「このコードだけやたら硬いね」「ただ硬いだけじゃない、コードが切れた事で腐敗してしまったと見た」「いやいや超再生能力あるのに腐敗なんてそんな…」「まさか…」
「何か分かったか?」
医師を見下ろすアポカリモンがゆっくりとコチラの目線に合わせて屈んできた
「これはあなたの前世の出生を知らない限り分かりませんね」
「何故だ?我は何処か悪い訳では無いのか?」
「あくまで予想ですが、このコードはあなたがアポカリモンに"成る前"に付いていたものです」
「付いていた?それは一体何だ?」
「それは…あなたの前世を知らないと分かりません」
「我の…前世…」