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    ざだるおん

    @Hita06221

    もふもふ生やしたっていいじゃないの
    気楽に生きやしょ

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    ざだるおん

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    まだまだ話は続く
    長すぎて中と下に分けたほうがいいかもしれない

    終焉の旅路に祝福を(作業具合)ピコの魂の波長が途切れた

    ヴァンデモンは魔眼を用いて魂の糸を手繰り寄せピコの魂の欠片を回収する。
    だが、すでに生命活動は完全に停止している
    ただならぬ状況を察して汗だくのヴァンデモンに不死王の臣下が駆け寄る

    「ピコ様はどうされました!」

    ピコに反応がない
    それもそのはず、ピコはアポカリモンに食われてしまったのだ
    ピコの体は間もなく消滅する
    ヴァンデモンは悔しそうな顔を浮かべる

    「彼女の魂が殆ど喰われてしまった
    更に終焉の王が敵の手に堕ちた…!」

    「「なんだってーーーー!!?」」

    「…………?」

    「ん?臣下、我々以外に他にいたか?」

    「………あー、もう隠れる必要はないな」

    茂みの中から赤いフードを被った成長期デジモンが現れる。
    彼はロイヤルナイツのひとりジエスモン
    今はハックモンの姿だが彼はアポカリモンの監視を担当している

    「ロイヤルナイツが一体何用で?
    まさか我々の邪魔を?」

    「えぇっ!?ロイヤルナイツゥ!!?
    この餓鬼が…むぐっ!?」

    「ヴァンデモン様口の利き方に気をつけなさい。我々だけでは手も足もでません」

    不死王の臣下がヴァンデモンの口を塞ぎ黙らせた後、ハックモンに手短に今の状況を話した

    「かくかくしかじか…」

    「うんうん、なるほど理解した!
    今師匠達に情報を転送したよ!
    安心して!すぐに終わるよ!」

    「そんな余裕持ってて大丈夫なのか?
    世界滅亡案件だぞ?」

    「大丈夫だって!
    俺以上に強いロイヤルナイツがいるんだよ?
    それに俺達がいるこの世界ってなんだかんだロイヤルナイツよりも有能なヤツもいるし
    なんとかなるって!」

    「有能なヤツですか…
    例えばどなたでしょうか?」

    「例を上げればアポカリモンかな
    アイツのおかげでロイヤルナイツの仕事も厄介な案件回ってこなくなったし実力もオメガモン以上だし………………………あ」

    「やばくね?」ハックモンは青い顔を浮かべながら小刻みに震えだす
    その様子からしてロイヤルナイツはアポカリモンに業務を任せていたのだろう

    ちょうどその時

    ドカンッ

    ダークエリアの上空で何かが爆発する
    それと同時に遠くの方で爆発に巻き込まれた何かが地面に叩きつけられる

    「あれはグランドラクモン様!!!」

    不死王グランドラクモンが全身の骨を折りマスクを破られるほど重症を負っている
    それだけでも信じ難いのに、さらに追い討ちをかけるかのようにダークエリアの空から巨大な影が現れる
    王を攻撃したのは先程話していた敵の手に堕ちたアポカリモン

    その手には全てを無にする暗黒(ダークネスゾーン)が放たれようとしていた

    「逃げて─────────」

    ダークエリアに住まう誰もが危険を察知して逃げ出そうとしたが手遅れだった
    次々とデジモン達の声が途切れ、音も空気も暗黒に呑まれる。



    暫くしてダークエリアだった場所に地層むき出しの巨大なクレーターが出現する

    残ったのは塵と砂と消去されたデジモン達の残留データだけがパチパチと火花を散らしながら浮遊していた

    「いいぞぉアポカリモン!
    このまま他世界のデジタルワールドも全て消しちまえ!」

    楽しげに語るのはアポカリモンを操るアバドモンコア

    全てのデジモンと星を消す
    ただそれだけの為に生まれ、最後は自身も自らの手で消滅するという悲しきデジモン

    しかしこのアバドモンコアは違う

    終末装置として創られた言わば生けるリセットボタン
    世界が存在する限り生かされ続け、例え全てが無に帰してもイグドラシルは再びデジタルワールドを創造し気に食わなければ消すという作業を永遠と繰り返していたのだ

    「初代イグドラシルは死んだ!!!
    2代目だかなんだか知らねぇが」

    アバドモンコアは時空をこじ開けアポカリモンを平行世界へ誘う

    「イグドラシルみてる?
    これから世界全て星も全て消してやるから」


    だから、早く俺を殺しに来い


    アバドモンコアとアポカリモンの進撃が始まる。その様子を見つめる二つの影、影はやがてアバドモンコアに認識されない別空間へ転移する

    その特徴は二つの頭を持つ巨大な龍と大きな黒い翼を生やした堕天使

    破壊を願い無を願うもの同士引かれ合いやがて潰し合いになるのは先の話だ


    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





    ピコというかけがえのない存在の記憶を消されたアポカリモンは朧気に自身の触手状の腹を撫でる

    はて、何か異物が混じった様だ

    胎内で小さな火花がパチパチと静かに燃え尽きる
    ソレの正体が分からないまま他のデータと混ぜながら緩やかに吸収する。
    その様子をおびただしい数の眼球がニタニタと不気味に笑ってコチラを見ている。
    状況が分からない。理解できる思考が奪われてるせいか今はもう何もかもがどうでも良くなっていく

    それからというもの目玉に提示されたことを淡々と実行する
    その行動に疑問を持たない
    指示されればひたすら攻撃、攻撃、攻撃、攻撃…


    アポカリモンの技に触れれば物は消滅、命は瞬く間に死す

    悲鳴、血飛沫、涙、憎悪、全てが我が身に吸収されていく

    そうだ
    我々が生まれた目的は世界を"無"にすること

    我々は世界を滅ぼす者、終焉の王だ
    そう有れと無念の魂達のデータから生まれたアポカリモンという存在なのだからそれを全うするのだ
    時空を歪ませ、デジタルワールドに降り、大地と海を引き剥がし生きとし生けるデジモン全てをバラバラにデータ化してアポカリモンだけが存在する世界にして、そして、そして?


    「無にした後我々はどうするのだ?」


    アポカリモンは胸に手を当てて考えてみる
    聴こえてくるのは自身の心臓の鼓動
    トクトクと波打つ度に穏やかな気持ちに包まれる。周りは阿鼻叫喚で死屍累々と化している。それにも関わらず自分はとても落ち着きながら攻撃の手を止めない
    しかし攻撃の最中違和感に気づく

    自身は何処から来て何処へ向かっているのか
    そもそも全てを無にしてどうするというんだ
    この世界は理想の世界だ
    何処が理想か、それは生まれて初めて見た人間の家族が仲睦まじく愛されてるのを見て……



    「そうだ、我はこんなことをしたいのではない」


    アポカリモンは正気を取り戻し攻撃を中断する。どうやら生きる意味について疑問を抱いたことでアバドモンコアの洗脳から解放されたようだ
    その様子を見ていた複数の眼球が『なにをしてる』『早くこの世界を壊してしまえ』と囁く


    無理だ、"私"には出来ない


    『終焉の王よ、お前は無にすることが本望なのに何故否定する』


    「この終末に意思が全く感じられない。
    ここは意識世界なんだろ?」

    アポカリモンの視界がクリアになり辺り一面闇の世界へ変化する
    ここはアポカリモンの意識の世界

    ここが現実ではなく意識の中だと認識したアポカリモンは細長い腕でまとわりつく眼球を振り払う
    襲ってくる目の大群を押し退けるため巨体では不利なので人間の姿へ変身し、無我夢中に光に向かって手を伸ばし泳いでいく

    『そっちに行ってどうする』
    『この世界にいれば楽だというのに』
    『光の世界はお前らを受け入れない』
    『お前らは闇の世界でしか生きられない』

    変わらず囁く闇に翻弄されながらも、触れれば自身は消滅するかもしれない光を前にアポカリモンは"勇気"を振り絞って手を伸ばす
    光は彼の手を拒むと思いきや、光の中から暖かな人の手が優しくアポカリモンの手を掴んでいるではないか


    「お前はダレだ?」


    手の主からは返答はない
    アポカリモンはそのままゆっくりと光の世界へ誘われる

    眩い光の中では誰かに優しい抱きしめられる感覚だった。間もなく意識が回復し現実世界に戻されるだろう


    『これを持って行きなさい』
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