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    ゆずぅ

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    ゆずぅ

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    自創 源太と平太の話 若干腐向け

    平ちゃんと源ちゃんの話 バリバリ自創設定「ははっ…俺に木太刀の一本なりともあれば……」

    何度も何度も同じ夢を見る。
    目の前で君が敵相手にろくな抵抗もできないで、ずるずると血溜まりの中に倒れて死んでいく夢。
    おぼろけでどこにいるかもわからないし、はっきりと源ちゃんとは分からないけど、なんとなく君だと思った。
    初めの方は夢だからと割り切っていたがそれだけでは説明出来ないほど同じ夢を見た。きっかけは多分本当に些細なことで喧嘩したから。釣った魚をどう調理するとか、そんなことだった。
    「   !」
    何かを叫んだその瞬間、僕は目を覚ます。目先には何かを掴もうとした自分の手。その手は虚しく宙を仰いでいた。
    (…また、)
    毎夜変わらない夢は自身の精神状態を確実に辟易させていっていた。

    「平ちゃん」
    「わっ起きてたの」
    「また怖い夢見たの?ははっガキだなぁ…漏らしてない」
    「………。」
    「無言は肯定とするけど」
    「漏らしてない」

    源ちゃんは最近父親や兄弟と上手くいってないみたいで僕の屋敷に住み着くようになった。最初は迷惑だったけど彼女が死んでいない事をすぐに確認できるのはいい事だった、そしてなんとか説得して2人で寝るようになった

    「…でも起こしちゃったねごめん。なんか勝手から取ってくるよ、何がいい」
    「ん〜…くるみ」
    「はいはい」
    「早めにね〜」
    「……」

    前は喧嘩をすることが多かったけど夢を見始めてから喧嘩の回数も減ったように感じる。多分この夢の終わりが来るまで言い合える関係に戻れそうにない。今は只々君の存在を確認するだけで精一杯だ。

    「源ちゃん、持ってきたよ。運ぶのぐらい手伝って…、源ちゃん?」

    さっき起きてきて、どこに行った?屋敷の中に居るんだろうな。居なかったら?夢だけじゃなくて現実でも、ああなってしまったら、

    「平ちゃんおかえりーちゃんと殻割るまでしてきたー」
    「…居るなら返事ぐらいしてよ。」
    「あら、ごめん。寝巻き整えるのに時間かかっちゃって……ってえ、やだ無視したの泣くほどやだった軽口言いすぎたちょっと…」

    伝えてないからしょうがないのに、僕の気持ちも知らないで僕を揶揄かってケラケラ笑っていつも通り過ごす源ちゃんが憎くて、そしていつも通り軽く返事をするのもできない自分も嫌でグズグズと感情が抑えきれなくなった。
    そして堪えきれなくなった自分は心配してこちら見上げる源ちゃんを抱きしめた。
    (大丈夫、生きてる。ちゃんと此処に居る。)
    時々焦る。自分のいない所で死んでしまったらどうしようと、毎日毎日気が気じゃない。

    「……源ちゃん死なないれね…」
    「はぁ毎晩毎晩怖い夢ってそうゆう…ははっ可愛い〜」
    「本当に心配して言って…」
    「大丈夫平ちゃんよりは長生きする気でいるから」
    「うぅ…それもやだぁー…」
    「じゃあ戦で一緒に死ぬの」

    ケラケラと笑いながら源ちゃんは僕を抱きしめ返す。一瞬ドキってしたけど背中に回されている手に力が入る感覚と源ちゃんがイタズラする時のニヤニヤ顔をしてたせいですぐにその感覚は消えた。

    「よっこいせ」
    「ほわぁ」
    源ちゃんは急に倒れて僕も巻き込まれるように倒れた。
    「ちょっとあぶなっ…」
    「あははははぁ…どうせその時は君が助けてくれるだろ」
    「ま、まぁ…出来たら」
    「で君が盾になっている間に僕が刀で斬りつける、相手が巷で世間で騒がれている人斬りなら上のやつに突き出して2人で恩賞を貰う、そして源平共に出世ふふっいいじゃないか」
    「こんな落ちぶれ真っ最中の武士団の子、狙う奴なんていないよ。平家ならともかく」
    「あ、言ったなぁーーーこんにゃろ」
    「ぎゃ」

    首元を掴まれて左右に振られる。
    久々に僕が言い返したのが嬉しいのか嬉々としている顔が見えた。
    源ちゃんは出世やら官位やらにこだわってるけど僕としたらこの騒がしくて楽しい日常が続くのであれば地位なんてどうだって良かった。

    「で、でも源ちゃん、木刀はずっと持っとくんだよ」
    「んんわかった…っておぉ枕投げるの反則、当たったら痛いんだから」
    「刀でしか僕に勝てないのに木刀持ってないのが悪い」
    「あ、そうゆうことか素手でも勝てるんだからこのっ」

    その日は夜遅くまで2人で遊んで、起きてしまったじぃやにこっぴどく叱られた。ついでにくるみも回収された。
    この時俺は、その時が来れば君を守る側だとそう信じて、疑うことすら考えてなかった。
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