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    ゆずぅ

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    自創 義平×朝長の添い寝の話 健全な方 兄ちゃんが危うい

    朝長が義平に添い寝してもらう話 腐向け バリバリ自創設定最近、朝長はよく眠ることができないでいた。
    京にいる時は父上の屋敷の自分に宛てがわれた部屋かそうでなければ兄離れしていない頼朝の部屋で寝ていた。
    (父上のせいだ…)
    父上があの日から弟たちを睨みつけるようになったから。酒を飲んでは暴れて播磨殿(清盛)や武蔵殿(信頼)への怒りを自分たちにぶつけてくるようになったから、源氏一の郎党 鎌田正清や東国にいる兄上の協力もあって東国へみんなで逃げてきた。
    東国の暮らしが久々で慣れてないからか最近は何度寝ようとしても寝つけず、やっと眠れたらと思えばうなされ、四半刻も経たずに起きてしまう。夢見の問題ではなく、耳元で大きな音がなり続けたり、目の前で酷い明滅が起こったり、金縛りにあったりなど、様々な原因で起こされるのだ。なんなら眠ったほうが疲れるまであった。
     仕方が無いので、朝長はしばらくの間はこっそり起きて漢詩や和歌の勉強に励んでいた
    そうして、しばらく経ったある日の夜。
    「…珍しいですね夜中に来るなんて」
    「偶然近くに寄ったから」
     そう目の前で嬉しそうに話すのは、無官で、父上から東国の統治を任されていて、長兄である義平兄上だ。
    偶然近くに寄ったなんて絶対嘘で毎度毎度小さな弟たちにわざわざ逢いに来てるのだ。というか1回遊びに来たらその後3ヶ月は何も問題が起きない限りこの松田亭に居座る。だから兄上に部屋も用意してある。
    でも小さい弟たちは義平を慕っているから、義平が自分たちの弟目当てで赴いてくれることが、朝長は嬉しかった。

    「白湯でも飲みますか」
    「あぁ…って侍女は」
    「もうみんな寝ましたよ」

    こんな夜中に書状もなしで泊まりに来る無法者のために起こす訳にも行かない。
    一応狩の帰りでもあったのだろう。兄上が弓籠手や行縢を外している間に部屋に行き、白湯の用意をしようとした直後、視界が端の方からじわじわと暗闇に侵食されていき、朝長はその場で止まった。
    兄上が振り返り何か話しかけているのが見えた気がするが、声は全く聞き取れない。

    (───倒れる。)

     寝不足による体調不良だ。
    この感覚に陥るのは初めてではないため、後にどうなるかもだいたい予想がつく。

    (この場で倒れてしまえば、弟たちも起きるだろうし兄上にも迷惑がかかる…)

     瞬時に判断して行動に移そうとしたつもりだが、実際にはそこまで早くなかったのだろう。壁に手を当てようとした朝長の腕を、義平が掴んだ。
     さすがに腕を振り払うことはできない。そもそも、立っているのがやっとの状態であるため、動くことさえできない。視覚も聴覚も不良だ。

    (……今、兄上は何を話されているのだろうか。)

     ずっと義平の声は聞こえているのだが、音として耳に入ってくるだけで言葉として認識することはできなかった。何か答えたい気持ちがあっても、聞こえなければ返事もできない。最低限は、と思い「申し訳ありません。」と口を動かしたが、果たしてちゃんと言えたかどうかも定かではない。
     目線も合わせられずしっかりと話すこともできなければ、更に心配をかける可能性だってある。どうしたらいいのかわからず、立ち続けるのも限界に達しようとしていたとき、不意に体が浮いたような感覚がした。
     始めは倒れてしまったのだと思っていたが、柔らかな寝床に降ろされてから、自身が抱えられていたことに気づいた。恥ずかしさと焦りからさらに頭が混乱する。
     朝長を寝床へ運んだ義平は、一旦その場を離れたが、部屋の奥から桶を持ってすぐに戻ってきた。寝床に腰かけると、桶から取り出した濡れ布巾で魈の顔を優しく撫でた。気づけば多くの汗をかいていたようで、ひんやりとした布巾が気持ち良く感じる。

    「………無理はして欲しくないんだが…」

     やっと少し落ち着いたところに、そんな呟きが聞こえてきた。朝長は顔だけ義平の方へ向ける。

    「……無理は、していません。」
    「ん、起きたか。でも今倒れてるだろ」
    「それは……」
    「寝とけ。俺のことは気にしなくていい。」

     義平は朝長のことを珍しく気遣って休ませようとしている。しかし、睡眠をとることが困難な状況にある朝長には、それが難しい。
     どう説明するべきか悩んでいると、義平が朝長の頭を優しく撫でた。

    「やはり俺は出て行った方がいいか。」
    「っ、いえ、そんなことは!………ただ、その……」
    「……?」

     話している間も、義平は触り心地がいいのかもふもふの頭を撫で続けている。紅の瞳が眩しく、真っ直ぐと目を合わせることが出来ない。

    「……最近、寝つきが悪く……眠りにつくのは、難しいかと思われ……」
    「倒れた原因はそれか。」
    「………」

     事実を述べてから後悔が襲ってくる。これでは兄上に心配をかけてしまうだけではないか。さすがにもう動けるはずだ、早くこの部屋を去ろう。そう考えていた時、義平が徐に水干を脱ぎ始めた

    「……兄上?」
    「俺も一緒に寝る。」
    「はっ」

     どうしてその考えに至ったのか全くわからず、動揺が隠せない。

    「あ、あかんいやや。この歳になって兄上と寝るのはいやや」
    「急に京言葉出てきやがったな…お前も明日明後日もこんな調子じゃまともに動けないだろ」
    「それは、そう、やけ…ですが、」
    「原因は」
    「たぶん…こっちの生活に慣れてないから…」
    「…昔のお前はお兄ちゃんが背中叩いてよしよししてやればすぐ寝たろ」
    「それ3歳ぐらいの話やん」

     そう言いながら、準備が終わったらしい義平は、朝長のほうを向いて横たわり、掛布団を肩まで引いた。

    「朝長、頭を俺の腕に乗せろ」
    「、え」
    「そっちの方が寝やすい」

     淡々としている義平とは違い、朝長は心臓が破裂するのではないかってぐらい脈が上がっている。
    (大蔵での戦とか、荒れた人が多い東国を上手く納めてるあたりは尊敬してるし…)
    一応不敬を働くことを恐れていたのに、もう何が不敬なのかわからなくなってきていた。
     逡巡した後、義平の方へ向き直し、そっと頭をその腕に乗せた。

    「し、失礼、します……重くは、ないでしょうか。」
    「重くない。お前だって、枕のほうが寝やすかっただろう。すまない。」
    「いえ……別に…その…」

     実際朝長にとっては枕よりも心地が良かったのだが、なかなか気を抜くことができない。そんな朝長の頭を、義平はまた優しく撫でた。
     今までは、眠りかけては金縛りや魘されること思い出して無理やり起きていたが、義平の腕の中ではそれを上回る安心感があった。送られてくる気は暖かく、そのうちだんだんと瞼が重くなってくる。
     意識を手放す直前、兄上より先に眠る無礼を詫びなければ、と口を開いたが、ちゃんと音になったかはわからなかった。






     余程疲れていたのか、思っていたよりもかなり早く眠りについた朝長の顔を、義平はじっと見つめていた。恐ろしいほど端正な顔立ちではあるが、自身の腕の中ですっかり気を抜いて眠っていることもあってか、あどけなくも感じた。

    「…まぁこっちが原因だろうな」

     朝長を起こさないようにゆっくり起き上がって壁に立て掛けてある朝長愛用の弓を手に取る。その先には紙の切れ端がくっついており、書かれている文字や模様から呪符であると推測できた。
     おそらくこの前の戦で義朝に恨みを持つものが八つ当たりにつけたのだろう。切れ端では一般的には効果が無いはずだが、残った部分に書かれた文字や河内源氏自体がこうゆうことに縁が多いことなどが組み合わさって、彼自身に悪影響を及ぼしていたと推測できる。片手で呪符を綺麗に剥がし、これで大丈夫だろうと朝長の横に戻った。
     朝長に対してシラを切ったのは申し訳ないが、こうして共に眠る口実ができたため、義平は満足していた。朝長が自ら己を頼ったり、ましてや甘えるなんてことは滅多にない。
    そう、この兄は単に弟の思春期が寂しいだけなのだ。

     義平は、朝長に弟らしく甘えてほしいと思っている。しかし、朝長が本当に仮に甘えたいと思っていたとしても、それを上回る年上への畏敬の念を持っていることも知っている。義平が望めば、体調が悪くても共に白湯を飲んでくれるし、ぶつくさと文句を言いながらも意図を汲めなくても言う通りにしてくれる。
     散々甘やかして観念させるのと、無理難題を押し付けて選択させるのではどちらがいいのだろうか。どのようにすれば、昔みたいな近い関係になれるのだろうか。いつも悩んでしまうが最後には考えるのをやめる。まだ自分は十七だし朝長は十三、時間ならいくらでもある。少なくとも、朝長は自分と横になることを選んだのだから、焦らずともいつかその日はくる。

     そんな風に考えて気持ちを落ち着かせようとはするが、こんな弟を目の前にして、いったいいつまで持つだろうか。義平は気持ちに蓋をするように朝長の額にキスをして、自分も眠りについた。
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