薫って、触って、縺れて、絡まりあった果て。
「あ、虎於くんおはよう」
「……おはよう」
静かに、けれどてきぱきと動く足音が目覚ましとなった。休みの前日に、恋人と過ごす夜にアラームなんて無粋なものはかけていない。同じベッドで寝ていた恋人は先に起きてすでに身支度を整えているらしい。薄く目を開ければ、仕事用の雰囲気を纏った龍之介が虎於を覗き込んでいる。
「今日休みでしょ。まだ9時だから寝ててもいいんだよ」
「……ん、いや、起きる」
虎於が今日休みだということを知っていたため起こさずにおいたが、思いの外早起きするらしい。
「先にシャワー借りちゃった。虎於くんも浴びておいで」
すっきりするよ、と言いながら昨日脱ぎ捨てた服を集めた。シャツ、靴下、下着、バスタオル等々。バスルームの洗濯機に入れてスタートボタンを押した。これで龍之介が出かける前には乾燥まで終わっているだろう。寝室に戻ると、のろのろとベットから降りようとする虎於がいた。まだ目が覚めていないらしい。勝手知ったる恋人の家、洗い立てのバスタオルやら下着やらを揃えて虎於をバスルームへとそっと促した。
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