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    omatsurikiboon

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    テスト兼ねて再放送 チェカレオ

    #チェカレオ
    checaleo

    じとりと、多量の水分を含んだ風が頬を撫でる。湿気が多く、自身の身体すらも膨張しているような感覚はかなり鬱陶しい。雨季に入ったばかりのこの季節は、国中そこかしこで水浴びや水遊びが行われていた。

    王宮内の庭園の隅にあるベンチは、この時間帯木陰に隠れていて丁度良い寝床だった。祭事を執り行うから、と連絡が来たのは二ヶ月前。出席する気などさらさらなく、サボりを決め込んでいたにも関わらずレオナがここにいるのは、それを見越した王宮から学園長に連絡が入ったからだった。半ば強制送還となったレオナは、度々祭事の段取りを抜け出しては王宮内で昼寝を貪っていた。

    「おじたーーーん!水浴びしようよっ」
    うとうととし始めた頃、背後からキン、と耳に刺さるような声がした。振り向いて目を向けなくてもわかる。この場所で屈託無く自分のことをおじたんなどと呼ぶのは、一人しかいなかった。

    ぱたぱたとチェカがレオナに駆け寄る。その様子を召使いたちが遠くから心配そうな、腫れ物に触る者を眺めるような顔で見ているだろうことが感じられた。
    「家庭教師が来てるんじゃないのか」
    レオナの真横に跳ねるように座る。視線だけを動かして、じとりとチェカを見る。
    「さっき終わったよ!お母様が宿題の時間まで遊んでいいって!だから水浴びのお誘いに来たんだ」
    周りから絶え間なく愛情を注がれて育てられた者しか作り出せない笑顔が向けられる。レオナはとうに忘れてしまった表情であり、今は身が灼けるほど眩しいものだった。じりじりとした感覚を覚えていると、無言を拒否と捉えたチェカの表情が弱々しいものへと変わっていた。そんな顔をさせたいわけではないのに、そんな顔をさせてしまう。構わなければいいのに、自分に無条件に向かってくる姿にどこか安心してしまう。心臓がちくりと刺された瞬間、仔ライオンの頭に手を伸ばしていた。
    「あー……ったく、わかったよ。どこがいいんだ」

    こっちこっちと、レオナの手を引いたチェカが真っ直ぐに進んだのは庭園内の噴水だった。
    「ここでいいのか?」
    噴水の水は循環しており冷えてはいるが、景観上水浴びに向いているとは言い難い。
    「ここがいいの!」
    靴を脱いで台座によじ登る。地面に脱ぎ捨てられた靴がそっぽを向いている。
    「ほら、裾捲ってやるから貸せ」
    濡れないように脚の付け根近くまで裾をあげるや否や、噴水へと飛び込んだ。
    「っ……おい!おいチェカ!!」
    捲った意味があったのかどうなのか。飛沫が飛んでレオナの顔を濡らした。
    「おじたん!おじたんも早く入ろう!」
    「あーあーわかったから待ってろ」
    自らも裾をあげて噴水へ浸かる。先程チェカが飛び込んだ時に台座まで濡れたので、裾は捲ったがあとで服ごと着替える必要があるだろう。
    ひんやりとした水が気持ちいい。じめじめとした空気は変わらないが、気持ちが透くような気がした。

    「なんだって水浴びなんだ?遊ぶなら本でもなんでも良かっただろ」
    「んーとねえ、暑かったのもあるけどね、」
    チェカはちゃぷちゃぷと水を蹴り上げながら、考えるように俯いた。
    「僕の勉強してた部屋からおじたんが見えたんだけどね、なんかね、うまく言えないけど窮屈そうに見えたんだ。だから、水浴びしたら楽しいかもって思ったんだ」
    心が、さくりと音がした気がした。
    思ってもみなかった言葉に息がつまる。周りから絶え間なく愛情を注がれて育てられるとはどのようなことなのか。自分が取りこぼしてきたもの、受け取りきれなかったものがどういったものなのか。考えずにはいられなかった。
    「おじたん?あれっ聞いてる?おじたーん?」
    だからどうか、せめて、願わくは、この子供がこのまま真っ直ぐに太陽の光の下歩いていけることを祈った。
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    DONE「milky way」

    早く大人になりたい甥っ子と、可愛い毛玉の成長が嬉しいような寂しいようなな叔父の話

    *付き合ってないチェカレオ
    *年齢操作有
    賢者の島。ここは辺鄙な場所にあり、電車やバス、そして船を乗り継がないと来れない場所で。この島に住む者以外はわざわざ近寄る者はそう多くない小さな島だ。
     その両端に位置する場所にあるのが名門NRCとRSAの二校。どちらも名門魔法士養成学校として世界的に有名な学校で、各国から優秀な学生が集まっている。王族や富豪などのご子息も多く在学するからこそのこの環境なのかもしれない。
     今年RSAには一人の王族が入学を決めた。夕焼けの草原、王位継承権第一位のチェカ・キングスカラー。獣人である彼は体躯に恵まれ、長身に引き締まったしなやかな筋肉を持ち、1年にしてすでに頭一つ抜きん出ていた。そしてその強靭な見た目に反して、穏やかな性格のベビーフェイス。それでいて奢り高ぶった様子もなく、入学早々校外からも注目を集めていた。

    「すみません!外出許可証の提出は、こちらで大丈夫ですか?」

     鮮やかな夕焼け色の豊かな髪を低めに一つに纏め、爽やかな笑顔でそう問いかける。成績も優秀、温厚で教師陣からの評判も良く、入部したマジフト部でも有望視されている。まさに絵に描いた王子様そのもの。

    「あら、キングスカラー君、お出 6758